『二人だけの合図』
ウソップはのんびりと釣りをしていた。いつもならルフィも一緒にやるがルフィはというと遊びに来たウタと楽しくやっていた。
「しかし、あいつがなぁ・・・いやぁ、色々と不思議な事があるもんだな」
ルフィのウタへの恋心を仲間達と知っているウソップは今でもそれが意外だった。そんな中で見聞色の覇気で軽く2人の気配を探ってみると2人は甲板の芝生の上で頭を抑えて蹲っていたのでウソップは何だと思って釣りを止めてそっちへ向かった。
「痛い〜」
「わりぃウタ」
「もう、ルフィのバカ!!」
「なっ!?バカはねぇだろ!!そもそも最初にやろうって言ったのはウタだろ!!」
「何よ!!私が悪いって言うの!?」
ルフィとウタは珍しく喧嘩していた。ウソップは取り敢えず止めようと思い2人の間に入った。
「おいおい、ちょっと待てどうしたんだお前ら?珍しいな」
「ウソップ聞いてよ!ルフィが酷いんだよ!!」
とりあえずウソップは2人の喧嘩の原因を聞いてみると呆れた。何でも2人だけの合図を考えていたらしく、それがあろう事がデコとデコを合わせる物で決めた直後に一回やってみたら2人共はしゃいでやったのもあってデコ同士を強くぶつけたらしい。
ウソップは何とも言えない理由に苦笑いしつつもそっぽ向き合ってる2人を見た。お互いにはしゃいだのが原因でどっちが悪いかという問題では無いがどちらかと言えば幼い感じで付き合ってる2人ならではの問題かな?とウソップは思った。なのでウソップはこのまま変に拗れてもそれはそれで後味が悪いので嘘をついてみた。
「そう言えば俺が2年間の間で出会ったおっさんが言ってたんだが喧嘩したままのカップルの友達がいたんだ」
「ふ~ん」
「それがどうしたんだ?」
「いや、それがな。喧嘩したままでそのまま別れて次に会ったらお互いに別の人とカップルになってたんだとよ」
ウソップのこの話はお得意の嘘だ。まぁありきたりな話ではあるが何分純粋な2人はそれを聞くとビクンと体を震わせた。
「だから、お前らも喧嘩が長引くと別れちまうぞ〜?」
そんな風に云うウソップの言葉にルフィとウタはある想像をしてしまった。
それはお互いに隣には自分が居なくルフィはウタの隣にローがいる光景を想像してしまい、ウタはルフィの隣にレベッカがいる光景を想像してしまった。すると2人の顔は青白くなった上にウタは考えたくないのか頭を抑えてルフィは胸あたりを擦っていた。
想像以上に効果覿面な光景にウソップは少し修正しようと声を出そうとしたがその前に2人が動いた。
「「ごめんなさい!!」」
ルフィとウタはお互いに頭を下げて謝っていた。ウソップはそれを見ると下手にこれ以上関わるとまた拗れると思ってその場を離れて釣りに戻ると「離れたくねぇ〜!!」「一緒じゃなきゃ嫌だ〜!!」と少し泣き声になってる2人の声が聴こえた。
「いや、効果ありすぎだろ」
ウソップはその声に反応して呆れつつも冷や汗をかいた。
〇〇〇
後日、今度はルフィ達がシャンクス達の所へ遊びに行くとルフィとウタは迷わずに向かって行った。
「ルフィ〜!!」
「ウタ〜!!」
そして2人は互いに向き合って止まるとルフィは自分の胸を擦ってウタは自分の耳を抑えた。それを見ると2人はギュッと抱き締めた。
「おいルフィ・・・ウタから離れろ」
シャンクスが少し殺気を放ちつつ、そう言ってきた。
「だめルフィ〜」
「分かってるぞ〜ウタ〜」
シャンクスの言葉を聞いてもイチャイチャしてる2人。シャンクスは無理矢理離させようとしたがベックマン達に連れて行かれた。
もはや何時もの光景とかしたそれに一味は無視しつつハグする前にやった行為が気になってウソップが聞きに行った。
「なぁ、そのままで良いんだけどハグする前にやったアレってなんだ?」
「ルフィが私以外をハグしちゃダメって合図〜」
「ウタは耳で俺は胸を抑えるんだ。だからそれを見たらハグするんだ」
何とも独特なジェスチャーにウソップは困惑しつつもまぁ2人が喧嘩してないのは良かったと思った。
「しかし、お前らそんなにずっと熱々でこりゃ案外早く結婚するかもな」
「「えっ?」」
ニヤニヤしながら言うウソップの言葉を聞いて2人は顔を見合わせた。
するとボンッと一気に顔を赤くして固まった。
「いや、それで固まるんかい!!!」
色々とマイペースに進んでる2人にウソップのツッコミが炸裂した。