世界の扉絵『ゴードンのパンケーキを笑って食べるウタ』
「ゴードンのパンケーキ美味しいね」
「あ、ありがとうウタ。そう言ってもらえると作ったかいがあったよ」
「うん」
(よかった・・・。ウタはまだあの新聞は読んでいないようだ。彼女にはシャンクスが死んだ件はまだ辛すぎる・・・)
世界的な大号外であり大ニュース。そのため、このニュースは加盟国非加盟国関係なくどんな人たちでも読めるように配布されていたのだ。
ゆえにゴードンは彼女の心に配慮してできる限りこの情報を秘匿した。ゴードンは彼女を守るとシャンクスに誓った。ゆえに彼女の心を壊すような情報は与えたいと思わなかった。
「~♪」
笑顔のウタは鼻歌をつぐむ。ただの鼻歌だが、それだけでもこの世界の誰よりも隔絶した歌声だとゴードンは確信をもって言えた。
この歌声ならただちに世界を魅了することだって可能だ。できればすぐにでもエレジア外で活躍させたいと思っている。
(だが、いくら時代が変わったとはいえ外はいまだに危険だ。なによりもあの子自身も・・・)
「ごちそうさま、ゴードン。片づけるね」
「あ、ああ、そうだね。もういいのかい?」
「うん、いいんじゃないかな。お腹すいてないし」
そうウタは笑顔で応える。
「しかし、ここ最近は食べる量減らし続けているし・・・」
「うーん、そうだね。ダイエットのためだったけど、体の健康は大事だもんね。しっかりと食べるよ」
ウタは自然な笑顔でゴードンの心配にこたえた。
(最近はウタの笑顔にも陰りが無くなっている。少しずつだけど、ウタも前に向けるようになってきているのか・・・)
「ウタ、君の健康が何より一番なんだ。しっかりと食べなさい」
「うん、体のために食べるね、ゴードン」
ウタは幸せに見える笑顔でパンケーキを食べ始めたのだった。