不幸者には効かぬ毒

不幸者には効かぬ毒



「ダ・ヴィンチよ、少し相談があるのだが」

「おや、君がここにくるとは珍しいね」

「好きなところにかけてくれたまえよ、あと、私のことはダ・ヴィンチちゃんと呼んでほしい」

ダ・ヴィンチ…ちゃんの言葉に頷き、近くの、へんな椅子に座る

「マスターのことなんだが、その、あんな堂々と不貞行為に走るのはどうかと思うんだが」

相談内容はマスターのこと…

カルデアに召喚されてからマスターは常に女を侍らせている…そこまではまだよいとしても、だ

女英霊相手に挨拶ついでに胸や尻にさわるセクハラ三昧

遊戯室や談話室に入ってきたと思ったら、その場にいる英霊たちに性奉仕を命じるなどヤリたい放題…

かつては操をたてた旦那がいるものも少なくないだろうに女たちも当たり前のように受け入れている…

異聞帯ではカッコいいと思っていたが…今は、この男に惚れている英霊が大勢いるというのがよくわからない…特殊な方法だが前のカルデアから彼のことを知り、それなりの立場の人間に抑制して貰おうと考えてきた

………のだが

ダ・ヴィンチちゃんはポカーンと口を開けて呆然としている


「…不貞???不貞…?セクハラ…?」

しばらく考えた後、ダ・ヴィンチちゃんは

「あー、そっか

君『幸運が低い』んだっけ?そうかそうか、いやー、アラクシュミーに愛されてるだけはあるね

か わ い そ う」

私の言葉を聞いてダ・ヴィンチちゃんは嘲笑うような顔をしながらの言葉だけの憐れみを返す

私はさすがに憤慨し、抗議しようと立ち上が

ろうとして転倒した

しかも机に頭をぶつけて、上から降ってきたディルドが後頭部を直撃

…何も言い返せない


私がショボくれているとダ・ヴィンチちゃんがホワイトボードを持ってきた

変な数式が書いてある

(20+幸運)×or÷補正…?


「藤丸立香様はね、カルデアにきた当初から格好よく、美しく、ただいるだけで魅了されてしまう…そんなお方だった」

「そして人理修復が始まり、最後のマスターになった彼はマシュと二人で特異点を巡り歩いたわけだが、当然行く先々でも女性からモテた」

ダ・ヴィンチは一枚のメモを出した

『セクハラを繰り返すのに異様に女性に好かれる』と書いてある

「そこで前の私は、彼が何らかの特殊なスキルを持っており、それを使い女をものにしているものと仮定

そのスキルに彼の苗字に入っている植物、藤には毒性があることから【藤の毒】と名付け、調査を開始した」

「藤の毒………

英霊達にすら通用するほどの呪いを生まれな「全然違うよ」のか…え?」

ダ・ヴィンチちゃんはあっさり否定する

「結論を言おう

『このスキルを発動しているのは私達』だ」「は…!?」

なにを…言っている???スキルを発動できるのは当人だけだろう?

ダ・ヴィンチちゃんはホワイトボードを叩き説明する

「先ずだ、前の私は英霊人数が多くなるにつれ、【幸運】が低いものは彼の…セクハラを拒む時があることに気づく」

「そしてその様子から導きだしたのがこの数式さ」(ホワイトボードを叩く)

「この数式は『彼のセクハラに対する好意を抱く』確率を表す…人妻や恋人がいると何らかのプラス補正が付くみたいだけど

君の幸運はE-だから…(ペンを持つ)

20+10÷2=15%の確率ってことさ

…もっともこれは当時の計算式で彼が成長している以上、実数値はもっと上だろうね」

…こんどはこちらがポカーンとしてしまった

「それに【直感】等『最善を選ぶ能力』を持っている英霊たち

彼らは初対面で無意識にスキルを発動、立香様に一目惚れするしていたこともわかった

彼と合う以前の旦那や恋人を平気で捨ててね


…これらを総合すると

『幸運な者ほど彼のやることなら一般的にセクハラやレイプでも好意的に考えられる

最善を選ぶ能力に長けていれば一目見ただけで惚れる』ということになる」

「つまり、私が彼を『嫌える』のは…」


ダ・ヴィンチちゃんは再び、嫌な

「君とってそれが『不幸』だから…だよ」

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