不安
甲板へ出た私は、歌おうとしたが、ハッとして歌うのをやめた。
「そういえばゴードンさんに人の前で歌うなって言われたな。」
数時間後...
船が島に着いたようだ。エレジアを出港した時みたいなガタン!という音が聞こえ、しばらくして船員の人が来た。
「ほら、荷物を持って、この船から降りて預かってくれる人のところへ行くぞ。」
私は当然だが警戒心丸出しだ。あんなことを聞いちゃったらこの言葉が本当なのかも分からない。
「はーい。」
警戒しながら返事をする。
結局特に何もなく下船できた。今から預かってくれるという 人のところへ向かう。
ただ、さっきから周りの人が見てくる。
みんな新聞片手に私を驚いたように見つめてくる。
結局私が見られている理由は分からず、預かってくれる人の家についた。
船の人が家のおばあさんと話をして、おばあさんは何か頷いた。なんの話をしていたのかは分からないがとりあえず私はこれからここで暮らすのだろう。
「よろしくお願いします。」
「あなたがウタちゃんかい。元気が良さそうな子だね。」
優しそうな人だ。でも私はまだ警戒をとかない。こういう人は裏で何を考えているか分からないから。
船の人が帰ると、おばあさんに自分の部屋に案内された。おばあさんが私の部屋から出ていくと、私はこれからどうするかと考えた。
「お金は多少はある。食べ物もたくさんある。ここにいても海軍の人が来たら私は捕まるよね。」
私はここから逃げ出すかこのままここにいるか迷っていた。
結局今ここにいてもあまりメリットはないので、とっとと逃げ出すことにした。
しばらくしてお昼ごはんになったのでおばあさんが読んでいたであろう新しい新聞を読もうとして固まった。
「え....」
一面にエレジアの事が書いてあったからだ。
よくよく読んで見ると私のことやゴードンさんのことが書いてあった。
ゴードンさんが海軍の音楽隊の教師になったという記事もあった。
「あぁ、あのあと海軍について行ったのか。」
端の方に私の記事も書いてあった。
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エレジアを滅ぼした疑いのあるこの少女を探している。
情報を届けた人には協力金が渡される。
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「は?」
すごい速度で頭が回転し始める。
さらに、どこで撮ったのかご丁寧に私の写真まで載っていた。
やばいやばいやばいさっきから周りの人がなんか見てくるなーって思ってたけどこういうことだったのか!
だとするともうここから離れなければまずい。きっとおばあさんが私を預かっているのもこれ目当てだろう。
私は自分の部屋に戻り、荷物を持つと部屋の窓から逃げ出した。
彼女のことを理解してくれる人と出会うまでもうすぐ...