上層部一名、独白

あー、あー、聞こえてるかな？

この動画が出回っているってことは私は死んだと仮定して良いんだろうね。

なんてね。

ビデオテープと言えばこれな気がしてて……ちょっとやってみたかったんだ。

えっと、どうも……君らに嫌われているかもしれない上層部の一名だよ。

君達の中だとここで聞く気無くす人が多いんだろうね……はは

それで、聞いてるかわからないが話を始めるよ。

あのさ、上層部って……一まとめにしないでくれないか？

中身も知らずに一まとめにするのは、よっぽど頭が悪いか、偏見の酷い奴しかやらないと思うぞ？

私達の中にも、秘匿死刑を伸ばすような慈悲深い奴や、死刑を減らそう、呪霊を倒そう、人を沢山救おうとする奴らは居る。

ただ……腐った奴らに埋もれて使い潰されてるだけだ。

あぁそうだな……まぁこれは自己管理が出来ない奴らの自己責任かもな。

因みに他にも上層部が嫌いで復讐を企み上層部の内情をばら撒く為に上層部になった奴や、上層部を殺す為にとか、そんな奴らも居るぞ。

まぁ私はこいつらについては流石に狂ってると思うけどな正直……

私？私は、猫被りが得意で上層部が嫌いな……普通の上層部だよ。

あぁ、というか一まとめにするなと言っているのに一まとめにして話しているな……

まぁしょうがない。人は矛盾を孕む生き物だ。

まぁ、あれだ。

脳死で上層部を嫌ってないで自分で色々と変える努力をしたらどうだ？

上層部にも上記の奴等みたいな奴等が居るんだから、君達も頑張れよ。

なんて……難しいか。

私も、努力しているが猫被りが上手くなっていくばかりで……

君たちが嫌うような、私でも嫌いなそんな上層部の奴等の提案も却下出来ず…、…

腐った者ばかりが上にいて、多くて、改革なんてとてもでは無いが無理で……

はは、どうしてあんな屑ばかりが上に行けて、救おうとする奴は救われず、死刑を減らそうとする奴は私刑にされて、呪霊を減らそうとする奴は呪霊に食われ…………復讐に燃えてた奴等は、燃やされて……何故、こんな、結果に……はは、上層部はくそしか居ないなもう……いや、違うか。

私の知っていた良い奴ら、仲の良かった屑では無い奴らが全員消えただけか。

……私も、消えるか。もう……」

ﾌﾟﾂｯ＿＿＿

ビデオレターに移った彼女は、自分の胸に自らの手で短剣を落とした。

真っ白なスーツに赤色が滲み、それは少し薔薇の花のように見えた。

その後ぷつりと音がし、黒くなった画面に映る自分の顔をぼーっと眺めていた。