三船長の過去鑑賞会【序章】

三船長の過去鑑賞会【序章】




【序章】

 

―とある島―

その島はとても美しい島だ。どこまでも青い空に枯れたものが一つもない木や花、建物には汚れが一つもなくまるでその物の最高の時間が切り取られたようだ。しかしこの島には人間は一人しかいないようだ。今その子は海を見つめながら電話をしていた。

「今日の朝刊見ましたかぁ?ベガパンク…いや善ですかね?麦わら、トラファルガー、ユースタスが四皇を二人倒したそーですよぉ」

「…そのようだな。おいお前まさか…」

「もちろんやりますよぉ?私の記憶には重さがあるのかという研究にはまだまだデータが必要ですから!」

そういいながらその子がスイッチを押すと小さかった孤島は一気に何倍にも広がった。

「よし!これでワノ国からどこに出航しよーがこの島を越えなければいけませんね!あっもちろん研究結果はあなたに送るので安心してください!」

「おい話はまだおわ」

これ以上なにかを言われる前に電話を切る。そして再び海を眺めた。幼子ののような顔で白い目を細めるその子はメモメモの果 モデル映画(シアター)を食べた能力者だった。


***

 

「「「おいっ!なんでお前らがいるんだよ!!?」」」


ワノ国で方角を決め3つの航路に分かれた3船長。だがそのわずか1時間後になぜか同じ島に合流していた。流石に戦う気の起きなかったキッドやロー(ルフィは戦うとは微塵も思っていなかった)とその船員たちは一時休戦として周囲を散策することになった。


「うわーこの島、、ホントに綺麗だな!」

あたり一面に広がる花や空の風景の素晴らしさにイッカクが思わずが叫ぶ。

「ホントね町も風景もーー綺麗すぎて逆に不気味ねなにか潜んでいそう」     

「イヤ怖ぇよ!!まあ確かに、、町の綺麗さの割に人気がねぇな」

ウソップの言った違和感をほぼ全員が感じ始めた時歩いていた道の向かいにある扉が動いた。

各海賊団は少し身構える。はたしてそこから出て来たのは

「あれぇ?ここに人なんて珍しいですねぇあなたたちはどなたですか?」

そこから出て来たのは白髪の美しい青年?だった。

その子の質問に真っ先にルフィが答えた。

「オレはモンキーDル」

名前を言われる前にサンジがルフィの顔面を地面に蹴り付ける。

(な、、なにすんだぁぁ!サンジ!!)

(バカかお前は!?本名バカ正直に話したら俺たちが海賊だってバレちまうだろうが!!)

ライバルの一人の一船の船長とは思えない姿にあきれた二人。そしてローはすぐさまフォローに回る。

「あー、、俺たちは旅をしている者だこの島にせっかく上陸したんで散策して帰ろうと思っているんだがここに住んでるのはお前一人か?」

「はい!この島は無人島なんですよぉ!なのでここには私一人しか住んでなくて、、あとみなさんこの島から出るおつもりでしたらこの島の海図がないと難しいと思いますよ?」

その子曰くこの島は特殊な海流が流れており出る時は特定のルートで100メートル進まないと船は海流に飲まれてしまうのだという。

「そんな複雑な海流があるのか、、、じゃああんた海図貸してくれない?すぐ返すから!」

航海士であるナミがその子に頼む。するとその子の目がかすかに怪しく輝いた。微笑みを浮かべながらその子は

「海図は全然いいですよぉ!でも一つお願いしてもいいですか?」

そう言いながら3船長の手を引き自分の入っていた部屋の前まで移動させた。

「さわんじゃねぇよ!気色悪ぃな」

「あはははっすみません!あなた達三人へのお願いなので!あなた方には私の作った映画を見てほしいんですよぉ!」

「お前すっっげぇなぁ!映画作らんのか!?」

「えへへっでもあまり誰かに見てもらったことないのでデータ、、、じゃなくて感想が欲しくて。見てもらえますかぁ?」

「もちろんいいぞ!なぁお前ら!」

キッドとローは目を合わせて互いの感情を読み合う。

「まぁ」「いいぞ」

「よかったです!じゃあこちらへどうぞぉ」

開けた扉の中に入った3船長を見届けたその子はとても楽しそうな笑みを浮かべると

「再生」

 パチンっと指を鳴らしたその瞬間外にいた船員たちは倒れる。

「あははっ楽しみですねぇ大海賊の記憶…興味深いデータがたくさん撮れそうです!」

そう呟いたカコは白衣を身につけるとさっそくデータを取り始めた。


***

 

「おいっ!ルフィ!!起きろ!!」

「んんーー?なんだよウソップ、、ってどこだ!?ここ!なんでおれ寝てたんだ?」

ルフィが部屋を見渡すと思いもよらない人物たちがいた。

「じ、、じいちゃん!!?なんでここにいんだ!?」

「じいちゃんに向かってその言い草はなんじゃ!ルフィ!!」

「ぎゃああああ!!」

その声に他の眠っていた人たちも目を覚ます。

「おいキラーどういう状況だ」

「ファッファッファ俺も今起きたとこだからなイマイチ状況が飲み込めねえ」

「…?どこじゃここは?  ル、、ルフィ!?まさかわらわに会いに来てくれたのか!?」

「んー、、ここは…?って海賊!?スモーカーさんっ起きてください!」

「…なんだたしぎ…な!?麦わらにロー!?他にも海賊どもがうようよいやがる!おいお前らなにを企んでる!」

「そう焦るな白煙屋俺たちもこの部屋については何もわかってねぇんだおまけに海楼石の手錠まで付けられてるしな」

辺りを見渡す限り海軍から海賊、最悪の世代、革命軍まで様々な人がこの部屋に集められていた。

「ローじゃねぇか、久しぶりだな」

!!!?

ローは物凄い速さで声の主に向かって顔を向ける。

「…!!ドフラミンゴ…なぜお前がここに…!」

そこにはドフラミンゴだけでなくファミリー全員がいる。ローは力の出ない体を無理やり動かし刀を構えた部屋の中に緊張が走る。その空気を破るかのように一つの古ぼけたスピーカーから声が聞こえて来た。

「あーーテステス?聞こえますかぁ?」

全員の意識がスピーカーに注がれる。

「皆さん今回はこの上映会にお集まりいただき誠に有難う御座います!皆さんには私の記憶に関する実験のために三人の海賊たちの過去を見てもらいます!注文してくだされば食べ物や飲み物は出しますし鑑賞の際は声をだして頂いて構いません!ただし…」


くすっと笑う声がスピーカーからかすかに聞こえる。

「この上映会では盗撮や盗聴、暴力行為は禁止されています!そして…皆さんが全員最後まで上映会をご覧にならなければ出ることは出来ませんのでご了承を」

「おい何言ってんだてめぇ!今すぐここから出し」

「では最初はユースタス"キャプテン“キッドの上映です!題名は不屈の男 どうぞお楽しみくださいませ」


***

 

その声と同時に真っ黒だった部屋は姿を変えスラム街のような街並みに無数に置かれた元は座席だったドラム缶や木箱。部屋の隅にはゴミ山があり部屋の中央には山賊の使うようなアクセサリーやボロボロになった無数のロボットが散らばっている。

「キッド…このアクセサリーは…」

「…なるほどな、、趣味の悪ぃ部屋だ」

なにかを察したキッドたちとは対照的に状況の掴めない者達は慌てふためいている。

「うおおおっ!!ロボットがある!みろよルフィ!ウソップ!」

「それどころじゃねぇよチョッパー!俺たちとんでもねぇことに巻き込まれてるんじゃねぇか!?」

「ルフィ!久しぶりだなっ!」

「サボー!」

「る、る、ルフィ先輩!!?突然麦わらの一味の方々にお会いできるなんて今生に悔いなしだべぇ!」

「おいお前ら!状況分かってんのか!?一生出れないかもしれねぇんだぞ!」

「そ、、そんなぁぁぁ!」

「ナミ落ち着いて。さっきのアナウンスが本当なら今から流れる映像を全員が見ればこの部屋から出られるはずよ」

ロビンが話をまとめると全員がひとまず落ち着いていき映像を見るために座り出した。

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