三毛猫のぬいぐるみ
三毛猫ルカのとある島での出来事の人ホビルカIF妄想SS
先行潜入√
ドレスローザの路地裏でルカは途方に暮れていた。
◆
兄と別れひとりドレスローザへ足を踏み入れたルカ、その目的はスマイルの製造工場を見つけること。
悪魔の実の能力で猫の姿になりドレスローザで順調に情報を集めていたのだが、ある日運悪くドンキホーテファミリー幹部のシュガーと出会ってしまう。
〔まずい……今騒ぎを起こしてしまえば兄さまが立てた作戦が無駄になってしまう…。〕
「なに、この猫?…なんか目障り、消えて。」
ルカの存在が気に障ったのかいきなりシュガーが攻撃を仕掛けてくる。
流石はドンキホーテファミリーの幹部、一瞬で距離を詰められ躱しきれずシュガーの指が体を掠めた。
触れられた瞬間嫌な違和感を感じたが隙を突いて走り出す。
◆
どれほど走っただろうか、追っ手が来ていないことを確認し足を止める。
ルカはなんとか逃げ出すことが出来た事に安堵し大きく息を吐いた。
〔はぁ、まさか幹部と鉢合わせるなんてついてないな…。あ、そういえば…。〕
シュガーの指が掠めた時嫌な違和感を感じたことを思い出し近くにあった窓ガラスに映る自分を見た。
〔え……!?〕
窓ガラスに映るルカの姿は青年でも猫でもない。
三毛猫柄の顔、瞳はボタン。そして胸には黄色いハートのアップリケがついた可愛らしいネコのぬいぐるみになっていた。
◆
〔え、え?どういうこと…なんで??〕
騒ぎを起こすまいと逃げることに集中していたため、ぬいぐるみになっていたことに気付かなかった。
動揺を隠しきれずルカは自分の体を触って確かめる。
身体中を叩けばポフポフと綿がきっちり詰まった人間からは絶対にしないであろう音がする。
それは紛れもないぬいぐるみである証拠だった。
〔ドジった…どうしよう、こんな体じゃ作戦どころじゃないよ!〕
〔兄さまに知らせないと!!まさかこんな能力者がいたなんて…〕
〔ん…?まてよ、ぬいぐるみにする能力…?まさか…。え、じゃあドレスローザにいるオモチャ達って!?〕
ここ数日ドレスローザで見てきた事と今自分に起こったことをつなぎ合わせると、一つの仮説がルカの頭に浮かぶ。
あり得ない、しかし悪魔の実の力ならば出来てしまうであろう真実に、ルカの頭はショート寸前だった。