ンアーーーッ!ホワイトデーですよ!

ンアーーーッ!ホワイトデーですよ!



タイトルホルダーは、バレンタインのお返しをかねたホワイトデープレゼントを買いに来ていた。

(姉さんには何がいいかな…去年は可愛い熊のチョコをあげたけど他の人とかなり被ってたみたいだし…)

(あ、アザラシ型のチョコなんであるんだ…流石にこれあげたら怒るか…わぁ、ザリガニのチョコもある…今の女の子の中ではこういうのが流行ってるのか…?)

(大人っぽいチョコもちゃんとあるじゃん。よかった…あの子は動物の形のとかよりこっちの方が好きそうだもんね。)

(あとは…)

本命のあの人の事を思い浮かべる。

(ん…?あの人はどんなのがいいんだろう…?あの人の事なんだから、チョコレートなんか貰い飽きてるかな?)

そう考えると最初に選んだ三つもなんだかしっくり来ない気がしてきた。詳しい奴、1人くらいは連れてくるのが正解だったろうか…。

「お兄さん!なにか悩んでるんですか?」

ーーーーーーー

結局初対面の女の人に一緒に選んでもらう事になってしまった。しかも迷ったらうちに結構な量になってしまって、家まで一緒に運んでもらう事になってしまった。

「ごめんね、女の子にこんな荷物持ちなんてさせちゃって。」

「いえ、大丈夫です!そ、それでタイトルホルダーさん…」

女の子が少し顔を赤らめながらこちらを眺めてくる。なにか気に触ることでもしてしまっただろうか。

「私…タイトルホルダーさんのこと、現役のときからずっと…」

「あら!タイくんったら、妹ちゃん達が家で待ってるわよ。」

突然見知った声が聞こえたと思ったら、首に手が回される。

「わあ、マリリンさん!急にびっくりするじゃないですか!」

急に首に触れられたのと、本命の人との距離で心臓がドキドキとする。

急に女の子が顔色を変え、か細い声で「ごめんなさい…!」と言ってからさっきまで歩いてきていた方向に走り去っていってしまった。

「えっ、まって…」

追いかけようとした瞬間に腕を思いっきり掴まれ、そのまま家に連行されてしまった…。

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「うわぁ、タイホ先輩最悪ですね。」

「最低です!最悪です!!ついでに臭いです!ンアーーーッ!!」

妹2人に思い切り罵倒をされまくる。

「あのねぇ!タイホ先輩!タイホ先輩はもしマリリンさんが知らない男の人とウッフキャハハ♡してたらどう思います!」

「別にウッフキャハハしてないよ!ただあの女の子が手伝ってくれるって…」

「甘い!!言い訳にしか聞こえない!!!とっとと謝ってきてください!!マリリンさんに縋りついてきてください!」

そうして薄情にも妹2人に背中を叩かれて、今はマリリンさんと2人きりになってしまった。一向にこっちを向いてくれないマリリンさん。

こういう時はなにを話せばいいのだろう。

妹達に聞いてくればよかった。

もっと自分にこういう経験があれば、こんな風にならなくて済んだのだろうか。

「きょ、今日もお日柄がよく…」

「今日も美しいです…ね?」

「えっと…あの…」「別に怒ってないわよ!!」

いつも穏やかで余裕があるように見える貴女が声を荒げる。

「ならこっちを見て…」腕をぐいと引いて貴女の顔を見る。その時貴女は泣いていて…

「ううっ…ばかぁ…」

こんな時にショートしそうになる頭が憎い。

「貴女のこと、本当に愛してるんですよ!」

こんなの貴女が泣いている時に言う言葉じゃないなんて自覚しているけど、こんな僕が貴女に伝えられる事はこのくらいしか無くて、ならいっそひたすらにこんな言葉を伝えるしかなくて、

「僕は貴女に一目惚れしたんです!今までにないくらいに大好きなんです!」

「貴女を傷つけてしまったのは自覚してます。」

「けど、信じられないかもしれないけれど、僕は貴女を世界で1番愛している自信があります!」

「だから、お願いです…貴女のそばにいたいんです…」

なにをしているんだ自分は、と冷静になった瞬間に途端に恥ずかしくなる。貴女だからいいけれど、これを姉や妹達にでも聞かれていたら恥ずかしさも越して、その場で介抱を頼んでいたところかもしれない。

今の自分の顔を鏡で見たら酷いことになっている気がする。ここは潔く逃げウマらしく逃げようとしたところを腕を掴まれ、耳元で囁かれる。

「ねぇ、私タイくんに泣かされてさっきの全然聞こえてなかったの。だから、もう一回言ってもらえる?」



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後日うっかりアースちゃんが「タイホ先輩も熱〜い愛の告白を連呼するようになるなんて…」と口を滑らせ大騒ぎになったのはまた別のお話…

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