ワンピースFilm ForH Part.1 7

ワンピースFilm ForH Part.1 7

勝つのは家族か、英雄か

アロサウルスのままドレークが突っ込んでいき、レディも正面から駆け出す。

噛み砕かんと開かれたドレークの顎をかわし真下に滑り込んでサイを突き刺す――――が、その切っ先は弾かれる。

レディ「武装色......だけじゃない!?」

黒く変色した腹はただ強化されたように見えたが、サイで突いた感触がそれだけでないことを伝えてる。

まるでそう、鉄塊がそこにあるような。

ドレーク「弟達が言うには、恐竜の鱗は鉄の硬さを持ってるようでな」

ドレークは尻尾で払いにかかる。それもレディにかわされるが攻撃は終わっていない。

ドレーク「ボニー!!!」

レディ「!!!」

ボニー「“オイルショック”!!!!」

レディが着地しようとした地面を、建物をボニーが“老化”させていく。レディは異様に速い。捕らえようにも逃げられやすい。ならば、逃げ場を潰せばいい。

ボニーの能力で急激な老朽化を起こした建物がレディの上で崩れる。そこから抜け出したレディにまたドレークが尻尾を振るうがそれも軽々――――縦横無尽にかわしてみせた。

ドレーク「!!?」

ボニー「どうなってやがる!?」

くるくると、まるで飛んでるかのように空中を回るレディ。

ドレーク「考えられるのは、悪魔の実の能力者か......」

ならば。

ドレーク「早々にケリを着ける!!!」

恐竜の姿のまま、ドレークは熱を宿した喉を赤く光らせる。これもまた弟のおかげでできた、遠距離の技。

ナミ「攻撃が当たらないのなら、当たる攻撃でいく!!!」

セセリの手当てを終えたナミが武器である天候棒を構える。

ナミ「ゼウス、お願い!!!」

ゼウス「任せてナミ!!!オイラの攻撃は当たるまで終わらない!!!」

ナミの掛け声でゼウスはその体を黒く染め、雷を帯びていく。

それを見ていたセセリは焦った。ヴィールが襲撃してきた時、レディは何をやったかを思い出して。

セセリ「ダメだ......雷は......」

ナミ「“雷霆”!!!」

ドレーク「“アロ・ブレイズ”!!!」

セセリの制止も空しく、ナミの指示のもと放たれた雷が、ドレークの喉から放たれた炎がレディに向かって放たれる。


レディ「!!!」

ドォォォォォン


二つの攻撃をかわせず、それらはレディに直撃する。

ボニー「やった!」

ナミ「ちょっとやりすぎたかしら......」

セセリ「ダメだ!!!雷や火じゃレディに勝てない!!!」

その場で上がる炎を見てセセリは声を張り上げた。


セセリ「ヴィール海賊団の幹部は、3人とも全員パラミシアの能力者なんだ!!!」


レディ「あー、びっくりした」

炎の中からなんでもないような声がした。

レディ「火は熱いし雷はピリピリするのになー」

ゼウスの雷も、ドレークの炎も直撃したはずのレディは傷一つなく。

レディ「でも......時々ならいっか。というわけで、“衣装合わせ(ドレスアップ)・炎雷”」

むしろそれらを纏ってそこに立っていた。

ナミ「嘘!?」

ボニー「炎も、雷も、服みたいに......」

ドレーク「!!!それがお前の能力か......!」

レディ「そだね。そっちの子がバラしちゃったからタネ明かしするよ。私が食べたのは“キルキルの実”って言ってね、文字通りなんでも服みたいに体に纏わせることができるんだ。さっきまではスピードが欲しかったから“風”でドレスアップしてたの」

ボニー「要は着せ替え人形か。かわいい趣味だな!」

ボニーの挑発にムッとなったレディは言い返す。

レディ「そっちこそ、若作りオバサン容疑者の癖に」

ボニー「あぁ!?今なんつった!!!」

ドレーク「ボニー、よせっ!!!」

レディ「隙あり」

ドレークが挑発に気づくも遅し。レディのサイが炎雷と共に翻る。

ボニー「!!!」

ドレーク「おおぉぉっ!!!」

雄叫びを上げてドレークがその間に割って入る。ボニーを庇って受けた雷はゴムの皮膚で流せばいい。

しかし――――。

ドレーク「ギャオォォォ!!!」

ナミ・ボニー「「ドレーク!!!」」

炎は鉄の鱗を切り裂いた。

血を流して倒れる恐竜から人の姿に戻ってしまった兄へボニーが駆け寄る。が、彼女もレディの蹴りに吹き飛ばされた。

ボニー「が......」

ナミ「ボニーっ!!」

気づけば、レディはナミとセセリの前にいた。

レディ「これでよーし」

セセリを庇うように抱き締めるナミを見下ろしてレディは笑った。

ナミ「あ......」

レディ「やっときたいのはその子だから、あっちは後でいいんだよね」

ゼウス「ナミ!!!逃げて!!!」

レディ「邪魔」

咄嗟に出てきてくれたゼウスはあっけなく蹴飛ばされ、天候棒も遠くへ弾かれたナミは青ざめるしかなかった。

両側からゆっくりと、そしてしっかりとレディのサイがナミとセセリ、それぞれの頭に狙いを定める。

レディ「さっさと終わらせて、返して欲しいの返してもらいたいから、すぐ終わるよ」

にっこりと、まるで散歩に戻るような感覚で。

レディ「じゃ、バイバーイ」

その言葉とともに振り下ろされたサイから、せめてセセリだけでもとナミはその小さな体に覆い被さる。くるだろう痛みに備えて目を閉じて、どうか当たりどころが悪くないことを祈って―――――。


―――――――ガキィン


それらはナミ達を貫く前に、三本の刀で防がれた。

ゾロ「......人の仲間と兄弟に何してやがる」

ナミ「ゾロ!!」

サイを受け止めたゾロはギロリと睨んでいた。その直後、覇気を感じ取ったレディは咄嗟にそこに落とされた拳と2つの鉄をかわす。

レディ「ありゃ、増えちゃった」

宙を舞うレディが見下ろしてみるとさっきまでいた場所にルフィとキッド、キラーが。ドレークとボニーのそばにはすぐにでも離脱できるようにローとホーキンスが控えている。

ルフィ「お前......覚悟はできてんだろうな」

反撃が始まった。

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