ワンピースFilm ForH Part. 11

ワンピースFilm ForH Part. 11

勝つのは家族か、英雄か

ブルックが呟いた直後だった

ルフィ「メシー――――っ!!!」

キッド・ロー「「うるっせぇっ!!!」」

ポーラーダンク号からゾロとキラーがよく知る雄叫びと怒号が聞こえてきた

ゾロ「大丈夫だったな」

キラー「ファッファッファッ。違いない」

2人が笑いあうとポーラーダンク号から勢いよく影が飛び出しサニー号に手を伸ばす

ルフィ「サンジ、飯だぁーっ!!」

ゾロ「起きてすぐそれか」

ツッコミを入れながらも笑うゾロはちらりとルフィが出てきた場所を見遣る

そこには義手を作り直して堂々と立つキッドとあきれながらも安心したと空気で語るローの姿が

キラー「......まったく、無茶しすぎじゃないか?相棒」

キッド「うるせぇよ」

いつものやり取りができてキラーはやっと心から笑えた


船を並走させていたドレークとホーキンスも混ざりサニー号で食事に入るルフィ達

ルフィ「だーかーらー!!!俺の方が早く起きたんだって!!!外に早く出たし!!」

キッド「あぁ!?俺の方が早かったに決まってんだろうがバカザル!!!てめえは義手作ってる間に起きたんだよ!!!」

ロー「どっちもどっちだバカども。それと起きたタイミングが違ったってお前らがジジイに沈められた敗者なのは変わらない」

ルフィ・キッド「「敗者ぁ!?」」

ナミ「しょーもないケンカはしないっ!!!」

3人はナミの拳骨に沈んだ

ホーキンス「ルフィの所の航海士を怒らせた場合、敗北の確率は......93%......思ってたより高いな......」

ドレーク「見ればわかる......弟達が申し訳ない。食事の席を設けていただいたというのに」

フランキー「アウ!気にすんな。飯は賑やかにして食うもんだ」

サンジ「かといって嫌いなもんルフィに押し付けるのは頂けないがな」

ホー・ロー「「!」」ぎくっ

キラー「ファッファッファッファ」

サンジが用意してくれた料理はあっという間になくなっていく

後は食後のお茶くらいになった所でロビンが切り出した

ロビン「本題に入らせてもらうわね。今までの話をまとめるとドレーク、キッド、キラー......三人のお兄さんがたはルフィ達のおじいさんに攻撃された。その時点で明らかに海軍ではない集団と一緒にいたのね」

ドレーク「あぁ......その後離脱したがキッドが負傷。治療のために航路を急遽変更し近くの島へ......そこでルフィ達と合流した」

ゾロ「ローのおかげでキッドは助かったが、敵はお前らを追ってきた」

ロー「ペンギンとシャチの報告じゃ雑兵は何かを使って自分達を強化していたらしい。予想だが薬物によるドーピングだろう」

ホーキンス「他におかしな点は......」

ホーキンスは気遣わしげにルフィに視線を送る

ルフィ「......じいちゃん、俺達のことわかんなかった」

ルフィは呟くようにポツリと語った

ルフィ「孫なんかいないって言われて......キッド達がひでぇことされたって聞いても信じられなくて......でもじいちゃん、俺達を本気で殺そうとして......」

ドレーク「ルフィ......いいから」

皮肉にも実父から虐待を受けていたドレークは義理とはいえ祖父から受けた仕打ちに対する持ち直しは早かった

ガープの言ったことが信じられないのもあるが言われたという事実で僅かに震えるルフィを落ち着かせるよう手を握る

ドレーク「(ここにエースがいてくれたら、ルフィも安心できただろうか......)」

いなくなってしまった彼を考えても仕方ないと理解してもやはり思ってしまう

あの悲劇は誰も何もできなかった

エースの死を目の当たりにしたルフィもルフィを助けたローも離れた場所でそれを知った自分達も口には出さないだけで今も見えぬ傷として残っている

だからガープの拒絶からあの殺意からせめて末弟を守りたかったのに結局守られてしまってる

ドレーク「(俺もまだまだ未熟......いや、無力だな)」

ロー「可能性でいうと、同じように薬を盛られてるかも知れねぇが......」

ブルック「あ、そうでした」

兄弟達の会話を見守ってたブルックが思い出したと声を上げる

その後すぐに頭蓋骨を開けると中からアンプルのようなものを取り出した

ブルック「実は、戦ってる途中一本だけ敵が持ってた薬を取り上げたんです。良くないものだと思いまして......でもルフィさん達が起きてくれたのが嬉しかったし食事してたら忘れちゃってましたヨホホホホ!」

全員『先に教えろよっ!!!』

サニー号にツッコミが響いた

とにかく手がかりが一つ手に入ったのは僥倖である

チョッパー「この薬、おれに調べさせてくれないか?ルフィ達がちゃんと戦えるようする為に、力になりたいんだ!」

ロー「......頼めるか?正直薬学だとトニー屋がついてくれると心強い」

チョッパー「エッエッエッ!そう言われても嬉しくねぇぞコノヤロー!」

ロビン「じゃあその薬はチョッパーとハートの海賊団にお願いして......ルフィ、提案なんだけどご兄弟のビブルカードを見せてくれないかしら?」

ルフィ「いいぞ」

ロビンに言われたとおりルフィは自分以外の兄弟のビブルカードをテーブルに並べる

2年前に死んだことで燃え尽きて灰となったエースのものを除けば11枚

うち6枚はここにいるゾロ達のものなので本人達に寄っていく

残る5枚はというと3枚はバラバラの方向に向かい2枚は同じ方へ動いていった

ゾロ「サボとベッジにウルージは別々に行動してるが......アプーとボニーはちょうど同じ場所に向かってるってことか?」

ロビン「そう考えられるわね。それと、幸い5人は命の危険に晒されてる様子はないようだわ」

敵と様子のおかしいガープがドレーク達を襲いルフィやゾロにも攻撃を加えたあの状況からロビンは『最悪の世代』と呼ばれる彼ら兄弟を狙っているのではと予想していた

ここにいるルフィ達以外の兄弟が襲撃を受けていれば燃えだしてる恐れはあったし1人ずつでも合流した方がいいのではと提案した

ルフィ「お、他のみんなにも会えるのはいいな!」

キッド「遊びにいくんじゃねぇんだよバカザル!」

キラー「だが......誰がどの方向にいるのかはわかってもどこにいるかはわからねぇ」

ロー「サボに至っては革命軍だから俺達でも気軽に会えるか......」

立場上ドレークがいる状態で会うのは難しい気もする

かといってまたいつ狙われるかわからない状況で怪我が治りきってない兄弟を放り出すのはルフィが絶対嫌がるしそこまで薄情でもない

誰から会いにいくべきかと頭を捻っているとカードをめくる音がした

ホーキンス「......現在、会いに行こうとするなら......」

ホーキンスのタロットに誰もが注目する

彼の占いはよく当たるしこういう悩む話では頼ってみるのも一興だ

ホーキンス「遭遇率......サボは9%......ウルージは17%......ベッジは23%......そして、アプーとボニーが51%。同確率ということは、2人は一緒に行動している可能性が高い」

進路が決まった

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