ワンピース Film ForH Part.1 8
勝つのは家族か、英雄か落下を利用したレディはまず、キラーを狙った。炎を纏うサイをキラーもパニッシャーで応戦し、レディの後ろをとったキッドが集めた鉄屑を振り下ろす。レディはすぐさまキラーと入れ替わればゾロが斬りかかり、受け止める。そこをルフィが捉えた。
ルフィ「ギア4!!!」
レディ「!」
ルフィ「“蛇男(スネイクマン)”!!!」
素早い腕から逃れるべく、レディは炎雷を解いた。風で速さを高め猛攻をかわしていく。周囲からくる近接攻撃の嵐。だからこそ、いないと“思い込んだ”。
「殴(ボン)!!!」
レディ「あいた~!!!」
聞こえた音に“殴られた”。体勢を直して屋根に乗る。
アプー「アッパッパッパ!どーよオラッチの弦!!」
音が聞こえた方向を見ればアプーが。
レディ「顔やられるのはやだな......てか、こんなによってたかってズルいよ」
ロー「海賊同士の戦いに正当性求めんな」
背後の声に振り向く。
ロー「“カウンターショック”」
電流で一瞬、意識がとんだ。落ちていくレディをホーキンスが藁で掴む。武器を取り上げ、両手足を拘束したら壁に押さえつける。
レディ「......痛いし動けないんだけど」
ホーキンス「悪いがそのままでいてもらう」
敵の無力化が叶ったことを確認し、ルフィ達は集まる。
アプー「こいつもヴィールの手下か?」
セセリ「レディは幹部のひとりだ。能力のことでヴィールから毒とかもらってるから気をつけろ」
ナミ「海楼石があるといいんだけど......そうしたら私とゾロ以外が捕まえてられないし」
ルフィ「別に大丈夫だろ。また暴れたらもっかい殴ればいいし」
ルフィらしい答えに一つ頷く。
代表でホーキンスが問い詰める。
ホーキンス「お前がヴィール直属の部下だというのなら、いくつか奴のもくろみについて把握しているだろう......正直に言え。ヴィールはなぜガープを洗脳し、俺達を襲わせる?俺達の命をわざわざ狙う?そしてお前達が望んでいる禁忌とはなんだ?」
レディ「......」
ホーキンスの問いにレディは答えない。当然ではあるがここで引く気はない。
ホーキンスは締め付ける力を強めた。
ホーキンス「答えろ」
レディ「......その子が種明かししたから話すけどさ」
仕方ないとばかりにレディは口を開いた。
レディ「私、能力は覚醒済みなんだよね。だから自分だけじゃなくて他の奴に何か着せることができるんだー」
ホーキンス「......お前の能力については今どうだっていい。聞きたいことに答えろ」
ホーキンスの凄みも気にせずレディは続けた。
レディ「んでさ、うちの船長は病原菌や薬に詳しいからえげつないことに使えるんだよ。例えば......付着したとこから一気に広がる毒とか」
アプー「!!!」
アプーが気づく。
レディが何かに“着替え”だしていることに。
アプー「下がれホーキンス!!!そいつ、何か出しやがった!!!」
ホーキンス「!?」
レディ「悪いけど、私はこれ以上話さないよ」
藁が緩んだ隙をついてレディの腕は壁に触れる。
レディ「こー見えて、忠誠心はあるからね」
ロー「っ、ROOM!!!」
レディ「“衣装着せ(トップコート)増殖毒”」
壁が、建物がルフィ達が立っている路地が緑色の毒が呑み込もうとする。
ロー「“シャンブルス”!!!」
咄嗟にコインを高く投げたローが毒を真上に移動させる。落ちてくる毒はキッドが磁力で合わせた鉄屑に閉じ込める。
ドレーク「後は任せろ......」
止血は終えたドレークが鉄屑ごと毒を燃やす。これで事なきを得たが、そうしている間レディには逃げられてしまった。そして――――。
ロー「......おい、一応聞くがこの建物に何人いた?」
ドレーク「戦い始める前に咆哮で追い払ったからもぬけの殻だったと思うが......」
キラー「だが、あの女は“増殖毒”と言っていたな」
ホーキンスがレディを押さえていた壁。それがあった建物は、ルフィ達の前で原型を留めていなかった。腐食したかのように溶けていた壁やその周りの無惨な有り様にルフィ達は戦慄した。
ゾロ「こっちを仕留める為に、自分も逃げきれるのかもわからないもんを使ったってのかよ」
アプー「“狂者”なんて通り名つけられてる奴のクルーだ。その辺もイカれてんだろうよ」
残った瓦礫が虚しく崩れた。