ワッカネズミの養子

ワッカネズミの養子

最後の方ホラー注意

ボロアパートの一室で、数日に一度しか帰らない母親が食べ物を持ってくるのを待つ男の子。そこに、食べ物を求めて一組のワッカネズミが迷い込む。♀ネズミのお腹には大きな傷跡があった。

話相手のいない男の子はネズミ達とすぐに仲良くなり、家にある食べ物を分けるようになる。

ネズミ達が進化すると子供が産まれる事を知っていた男の子は「いつ赤ちゃんが産まれるのかなあ」「僕が学校に行くようになったら家族みんなをボールに入れて連れてってあげるね」と期待するが、♀ネズミは過去に他のポケモンに襲われた際に腹部に重傷を負い、子供を産めない体になっていた。


やがて彼らは家中の食べ物を食べ尽くしたが、母親は戻ってこない。空腹の中、男の子は自らの境遇を語る。

「他のみんなにはパパとママがいるけど僕んちにはママしかいない」「ママは男の人とデートで忙しくて、たまに帰ってきても食べ物置いたらまた出て行っちゃう」

それを聞いたネズミ達は顔を見合わせ、何かを決意したように頷き合う。


その夜、いつもは寄り添い合って寝るネズミ達が、何故か男の子の方に顔を向けて両隣に横たわる。

男の子は怪訝に思いつつも「慰めてくれてるのかな。ありがとう。おやすみ」と眠りに落ちる。


(大丈夫、明日から私達があなたのパパとママよ…)

(いつでも、側にいるからね…一人にしないよ…)


翌朝、やっと母親がアパートに戻ると男の子の姿はなく、代わりに川の字で眠る3匹家族のイッカネズミの姿があった。

それを見た母親は我が子の失踪すら忘れ、珍しい一人っ子のイッカネズミを『捕まえれば高く売れるかも』と

手を出そうとするが、目を覚ましたネズミ達は組体操のようになって母親に襲い掛かり…


血の海に横たわる若い女の骨を尻目に、開け放たれたドアからイッカネズミが去っていく所で終わり。

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