ローズクォーツ兄弟の門出

ローズクォーツ兄弟の門出

あの弟妹の誘拐事件からロヴィは弾けた

レヴィは箒に跨り全力で実家へ飛んでいた

あの戦いから日がたって浅いのに兄が実家に戻ったことをドミナから聞いたからだ

本当ならなんで早く教えなかったのかと殴りたい所だが、兄友として退院してから伝えてくれと頼まれていた……と本当に申し訳なさそうに伝えてきたので怒るに怒れなかったのだ


「兄貴!

病み上がりここ(実家)に来た……ら」


実家の豪華な扉をぶち破り父親の場所まで乗り込むと、目を疑うような空間


それは、笑顔で父親の胸ぐらを掴み何度も頭に拳を叩きつける笑顔の兄の姿、その顔や髪、地面には父親の血痕を思わせる液体が散らばっていおり、驚きで口に手を当てる


「あ、あにき……」


レヴィの声に気づいたロヴィが振り向く

スプラッタホラーみたいだ、あの事件から強烈な兄の一面を見たレヴィでもあの父親に反抗し何度も殴った光景には固まった


「レヴィ

 今日からこの家出て行こう」


ピクピクと動く血塗れの父親から手を放す

ハンカチでいそいそと身体についた血痕を拭こうとあくせく動く兄を見てもまだ固まったまままだ

拭き終わると、達成感のある表情をし部屋の隅っこに置いていた荷物を取るとレヴィに笑顔で駆け寄る


「全部、吹っ切れることにしたんだ

 レヴィを守るためにまずはこの家から出て行こうと思ってね

 重たい……かな?」


荷物を持ってない片方の手が差し出される

「なんだよ……それ……」

戸惑いつつも手を握ると笑いと涙が溢れ出した……

オレでも反抗できなかった父親を殴る姿に恐れを抱いたからではない、面白いからではない、ベッドに居た頃とは違う元気で暖かい姿と手に泣いたのだ、そして昔から変わらない笑顔にオレも、兄貴と……


「「お世話になりましたお父様

もう一生会えませんように」」


怨めしそうに睨みつける父親に笑顔でロヴィが一礼と言葉を送ると前を向き歩き出す

もう、ロヴィには父親にも恐怖などなかった

レヴィも父親にも恐怖などなかった

ただ今は兄弟一緒に歩んでいける光る希望に2人共に胸が高鳴り、握った手は強く結ばれていた



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