ローグタウン

ローグタウン


東の海から偉大なる航路への玄関口であるこの島でウタの独特なファッションショーに付き合わされていたルフィは、処刑台を見に行くと言った彼女と別れ情報収集を行っていた。

「へー。この町の海軍の大佐ってのはケムリンなのか」

思わず得られた情報から懐かしい名前を聞いたことで少し嬉しくなる。

(会いてェな)

頭に過去の友人の姿が浮かぶ。

しかしすぐに今の自分が海賊だということを思い出すし頭を振る。

出会えば戦闘は必須。ならばせめて出会わないようにとルフィは出港のためウタの姿を探すことにした。

(とりあえずなんか騒がしい広場にでも行ってみるか…)


─────────

「罪人!海賊ウタは"つけ上がっちまっておれ様を怒らせた罪"によりハデ死刑だ!!!!」

私の頭の上で赤鼻くんのうるさい声がする。

でも死刑、死刑か…

「私、死刑って初めて見るよ」

「てめェが死ぬ本人だよ!!」

…………え?

「ええっ!?ふざけないでよ!!」

「てめェがふざけんなァ!!」

クビと手を拘束している枷から何とか抜け出せないかともがく。

「これよりハデ死刑を公開執行する!!」

くそー全然外れない。…こうなったら最後の手段。

「ごめんなさいたすけてください」

「助けるかボケェ!!」

チッ、だめか。

「最後に何か言っとくか?」

赤鼻くんがそんなことを言ってくる。


『この帽子をお前に預ける』

『最後まで見届けるって約束したからな』


「私は!!海賊王になる女だ!!!!」


─────────

「ウタ……」

たどり着いた広場で処刑されそうになっているウタの姿を確認したルフィは持っていた荷物を落としぽつりとつぶやいた。

「やめろー!!」


─────────

歌姫になる。結婚。他にもまだやりたいことも出来てないこともいっぱいあったんだけどな…

涙が自然と出そうになる。

広場の入り口にルフィが叫んで駆け付けようとしているのが見えた。

ダメだ!最後くらいはせめて笑顔で…

最後に大好きな人の顔を見れた。

その瞬間、私はすべてを受け入れた。


─────────


(やめろ…やめてくれ…お前が死んだらおれはもう生きてる意味が……)

ルフィはなりふり構わずに走る。

本来であれば海兵時代に学んだ技術でより早くたどり着けるはずなのに、それを使う頭すら今のルフィにはなかった。


「ゾロ!サンジ!ウソップ!ナミ!…ルフィ!!ごめん私死んだ…」

笑顔になったウタの首にバギーが振り上げた剣が落とされる。


「やめろっつってんだろうがァ!!!!」

………………。

青年が叫ぶとその言葉を最後に広場が静まり返る。

ドサッ…ドサッ…

一瞬で静まり返った広場に人が次々と倒れる音が響いた。



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