ロシナンテ 生存IFプロット

ロシナンテ 生存IFプロット

プロットたてるだけたててもう書ききれなかったどころかプロットさえ途中で終わったクズがおれだ……

【タイトル案】

海兵Rの献身

駄馬の意地

海軍本部ロシナンテ准将



一章 聖メリーダ島の男

新世界のとある島。数年前に世界政府に加入したというエルガニア王国、温泉が有名なその島は、天竜人さえ訪れる。ハートの海賊団はログがたまるまでの間その島に滞留することに決定した。パンクハザードから激戦の続いた湯治も兼ねている。


世界貴族や富豪の集まる界隈の裏通りには海賊たちのための町さえあった。娼館や飲み屋の並ぶ界隈の中で一等賑やかな飲み屋に楽しげに駆け込んでいくクルーを横目に悠々と踏み入る。畏怖の視線が向けられる。最悪の世代、カイドウを打ち倒した海賊団のひとつであるローたちはそれだけ名高いようだった。

ざわめく周りを気にもとめずに料理と酒にありつくクルーとロー。そこに声をかけてきたのはこの島を縄張りにしている海賊、コロラド海賊団の船長だった。コロラドは元々非加盟国だったエルガニア王国の反政府組織で構成されている。四皇に次ぐ勢力であるローへの忖度として歓待されたらしい。

コロラド海賊団での歓待の宴に辟易としたローがふらりと外にでると、大男がコロラド海賊団のクルーに叱責されている。下働きの下っ端らしいが、いくつも皿を割っているらしい。思わず顔を覗かせると、その大男は逃げるように去る。胸騒ぎがして彼を追いかけようとするローだが、船長が声をかけた。

――世界貴族への襲撃をともにしないか。ローが驚くと、元々この海賊団はエルガニアの反政府組織だったらしい。世界政府に屈し、国土を蹂躙した現政府への復讐のために世界貴族を殺すのだという。それをしたら悪ければバスターコールの対象になるというローに船長はそれで本望だと吐き捨てる。

関わらぬのならそれでいい。邪魔だけはするな、するならばここで殺すと意気込む船長にローは呆れる。そもそも世界貴族には護衛として将官がつく、ロー一人でも壊滅させられそうなこの海賊団に将官を相手取ることができるとは思わなかった。だが、ローには関係のないことだ。ローは了承する。

ローには関係ない、と思っていたがクルーたちがそわそわと帰船を促す。理由を聞けば、大きな背の男が世界貴族暗殺に巻き込まれたくなければ去れと忠告してくれたらしい。面白い見物じゃねえかと笑うローにペンギンが顔を顰めた。



二章 駄馬の十年

時折、朝目が覚めるとシーツを濡らすほどに出血している。決まって古い傷のいくつかが開いてだらだらと血を零すのだ。破裂しそうなほど恐怖に脈打つ心臓を抱え、血と汗に濡れたシーツの海の中で目が覚める。

海軍本部ロシナンテ准将は、たいがいそういう朝を迎える。

ロシナンテは十三年前に一度死んだらしい。記憶が殆ど失われていることから除隊は免れなかった。しかし当時の大将であり養父であったという――今の大目付センゴクの計らいと本人のたっての希望で十三年前にずいぶんと薹が立った見習いからやり直し、今は立派な准将として正義のために生きている。

そのロシナンテの悩み事は、毎夜のように見る悪夢と、なぜか血を流し続ける、記憶のない古い銃創であった。完治しているはずの銃創から血が流れる。シーツにこびりつく自分の血がなければ、ロシナンテとて信じられなかっただろう。軍医に見せるべきかと悩んだが、結局、ロシナンテは黙ったままでいる。

記憶を失う前のロシナンテは裏切りものだったらしい。大きな任務を失敗し記憶をうっちゃって帰ってきた腰抜け。そういう噂がまことしやかに流れているのは知っていたので、ロシナンテはこの悪夢も毎夜シーツを汚す血と痛む銃創のことは誰にも秘密にしていた。正義の任務に没頭していれば平気だった。

ナギナギの実の能力は潜入任務にうってつけだった。ロシナンテ自身にも向いていた。ちょっとドジなところはあるが、それをリカバリーできなければ見習いの時にすでに海王類に食われて死んでいただろう。ロシナンテの任務は闇から闇、陰から陰に足音を殺して動き回るもので、ロシナンテはそれを好んだ。

CPナンバーではなく、海兵として隠密任務に当たることのできるロシナンテは重宝されていたし、着々と昇格した。准将となったときに、センゴクは微笑んだ。記憶を失う前の最終階級らしい。

そこで与えられたのは、新世界とある島での潜入任務だった。

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