レヴェリー本題会議

 レヴェリー本題会議



 一週間前・エレジア、王の間


ゴードン「ウタ……大事な話がある。」


ウタ「うん」


ゴードン「実は……今度のレヴェリーで私はライヴの件で話を進めるのだが、君にあるお願いをしたい」


ウタ「うん、私に出来ることなら何でも言って!ゴードンの……皆のために私は応えたい」


ゴードン「ああ、君を信じて……私はある酷な……とても残酷なことを君に頼む!」


ウタ「?」






─現在・議会場・円卓─


A国王「では議会を進めよう……まぁほとんどの国民や記者達はこの議題に注目するだろうが……ゴードン王一つ良いかね?」


ゴードン「……」


A国王「いや、これは長年の疑問なのだがエレジアが壊滅的損壊を受けた後の12年、天上金は落とさずに加盟国の名前は一応残っていた。このカラクリが知りたくてね……いったいどういうことか」


ゴードン「……この中のほとんどの者は察しているだろうが……復興援助金やボランティア団体の他にウタを一番応援してる人からマリージョアへの援助金を賄ってくれていた……」


A国王「……」


B国王「ファンの一人かね」


ゴードン「そうだな……ある意味では一番のファンだ。一番最初にウタの才能を見つけて、一番ウタの応援をしていた者だ……彼のおかげで形式上だがエレジアは非加盟国にされず荒くれ者に目を付けられることは少なかった」


A国王「ふむ……いやすまなかったな。貴国の事情を深く聞き過ぎた無礼を謝ろう」


C国王「(まぁこれ以上の追及は野暮だな。天上金を払っていたのは海賊でしたなんて結論口にするのも王様としちゃバツが悪いか……特にこの場じゃ確定的な一言が大問題になることもある。しっかし、娘想いな親父さんだねぇ‘二人共’)」


議題進行役の王が次の書類を取り出して、空気を変える。その目は鋭く、圧倒的で、まさに国を背負う者のそれだった。


A国王「では、ゴードン王……あなたの要望に対する議題だ。此度レヴェリ―後のステージ……彼女の‘世界政府認可のライヴ’の公演をしたいそうだね」


ゴードン「うむ、今までは彼女主催のライヴがほとんどだがここで私が後援し世界政府の認可が下りれば彼女は初めて様々な形で世界へ歌を届けられる。

彼女の歌は本物だ。彼女こそ時代を象徴し全ての人を幸せにできる歌手なんだ……だからどうか──」


B国王「ゴードン王、音楽を愛するあなたの気持ちはわからないでもないが……今は彼女の才能は置いといてくれ」


ゴードン「なっ!」


B国王「私たちが気にするのは……国民の一部が懸念してるのは‘危険性’だ。言っておくが公式的には彼女は悪の部類だ。13年前の世界を巻き込んだライヴ……いや、テロ。この前科を帳消しというわけにはいかん。確かに今では彼女を応援してる層がほとんどだが我々王がそれに肖って認めることはできん」


ゴードン「…………」


C国王「まぁ好きだから許可とはいかんわな。知らなかったでライヴが出来る場所でもない……ゴードン王、あなたはウタという歌手が‘確実に’‘誰にも’‘被害を与えない’という保証がありますかね?」


D国王「言っておくが、君の発言のみでは安全の保障にはならんぞ。家の娘は大丈夫ですというよくある父親の言葉では意味ないからな」


ゴードン「────」

 足元に置いてあったバッグから厳重に封じてある箱を取り出す。その瞬間、近衛騎士がいつでも動けるよう構えた。

 箱の鍵を一つずつ開錠していく……


A国王「それは?」


ゴードン「我がエレジアを滅ぼした元凶だ」

 箱から5枚の古い紙を掴んで見せる


C国王「!?!?おいおいおい!……なんてもんを!?」


D国王「ゴードン!貴殿の国の情報は私たちにはほとんど広まっているのだぞ!?それにその楽譜はもう失ったと!」


ゴードン「それを全て説明する……この楽譜、トットムジカは。完全に封じることは難しい……だが、古い文献には一度焼却してから一月はウタウタの能力者の近くにも現れなかったという記録がある。

 だから──」

 片手着火式のマッチを取り出して……火をつける


A国王「ゴードン王が……」


E国王「音楽の物に火を……」


F国王「……それほどまでに」


ゴードン「まず一つの懸念事項はこれで消えたと認識してほしい。そして……もう……一つ」

 そこから彼の額から汗が噴き出す……奥歯が震えで鳴りそうなほど緊張していた。

 一枚の紙を取り出してテーブルの議会進行役のA国王に渡す。


ゴードン「…ふぅ、ふぅ……ライヴ演出外の目的で!……彼女がまた!……ここの王たちを巻き込むウタウタの能力を悪用した時!……ふう!…

 その瞬間に!……サイファーポールによる!……彼女の捕獲を!許可する!!」


A国王「!!?」

 すぐさまその紙──王の捺印が押された宣誓書を読む。ウタが世界政府を敵視したと思われる行動をした時による捕獲容認の内容であった。

 それもウタ本人も連名されている。


ゴードン「私は……私は……ウタを、信じてる!……彼女は……演出はウタウタの力を使えど!もう!人々の気持ちを能力でなく……自らの歌のみで!幸せに出来ると信じてる!彼女も誓ってくれた!!

 ウタウタの実の力で強要せずに!彼女の歌で……世界中を魅了してくれると!!」

 はあ、はあ、と過呼吸になるほど心臓が高鳴る宣誓であった


F国王「…………海楼石による能力封じじゃダメなのか?」


ゴードン「……海楼石は、能力者の能力だけでなく体力全般を奪う……それでは彼女は全力で唄えない」


G国王「そこまで……ゴードン王!異論は無いのだね」


ゴードン「ああ!私もウタも……覚悟はできてる!」


C国王「マジかよ……(こいつはたまげた、あのお人よしのゴードン王が自分の娘とも言える彼女を担保にして……そこまでの覚悟かよ)」


A国王「むむぅ……」


ワポル「まーてまて!一つ忘れてるぞ!!歌姫はあの麦わら……海賊王の女だ!サイファーポールが捕まえた所ですぐさまマリージョアに喧嘩を吹っ掛けてくるに決まってる!

 むしろその方が危険だろ!!」


H国王「ワポルと同意見なのは業腹だが……海賊にとって私たちの認可なんぞ無視というスタンスも有り得る。

 むしろその宣誓書は何の効力も持たず、逆に脅しの材料に──」


ゴードン「ウタは!!!!海賊王の妻の前に歌手だ!!歌に対して不義理はしない!!ルフィ君も彼女の信念に横やりはいれん!!!」


H国王「なっ……」


I国王「ふぅむ…………」


D国王「……人の気持ちや信念の前に確実な保険が欲しかったが、その宣誓書は何よりも保険の一つだ。それに一海賊に右往左往してたらレヴェリ―の意味もないな」


H国王「一海賊て……海賊王とその辺は海賊は違う」


B国王「だとしても、海賊王は法的には何の称号もついとらん。強大な武力であろうと我らが毅然としなければな」


H国王「むむむ」


ワポル「おいおいおい!あの麦わらがそんな大人しくしてるわけが!俺の元国をむちゃくちゃに」


ドルトン「それは何も統治せずに圧政と間違った外交をしてきたツケ払いだワポル。たまたま革命に海賊が手を貸したという結果論だ」


ワポル「ぐ!?ぐぐぐぐぬぬぬぬ!!!」


 そこで一人、挙手をした女王が──


ビビ「新参者ですが意見を……私は彼の勇気ある決断を推します。確かに海賊王の伴侶の起こした事件とそれからまた起こるかもしれないという懸念、またルフ..モンキー・D・ルフィの行動を恐れるのも仕方ないですが……

 それでもゴードン王の決意に私は一国を背負う者として、そして同じく家族を愛する者として賛成に回ります。

 王は気持ちだけで動くわけにいかず、確かにその通りですが……心を望まない国政は必ず綻びが生じてしまいます。

 ですので、諸王方。どうか彼の願い……歌姫ウタのライヴを認めませんでしょうか?」


 凛とした声が議会場に響いた……そして──


C国王「賛成に一票!……ここまでお膳立てして反対じゃ、それはちょっと王としてビビり過ぎかもな」


D国王「昔の罪の清算という意味ではいい機会かもな……私も賛成だ」


B国王「ふふふふ、海賊に翻弄される政府がどこにいるか……賛成しよう」


ネプチューン「うむ、賛成じゃもん」


リク王「それにここまで彼女の人となりを見てきた。それほどあくどい子には見えないな、賛成に一票」


その後も続々と賛成の挙手が集まり


A国王「賛成が9割を超えた。では議決する!

 ゴードン王要望による、歌姫ウタの‘世界政府認可のライヴ’開催を許可する!!」


ゴードン「っ!!!…………ありがとうございます!!」


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