狂わされる恋慕

狂わされる恋慕

ベリーメロン


「フフフ、どうですか?気持ちいいですか?」


 暗闇に支配された視界の中で、少女の冷めた声が響く。

 少年は暗闇に恐怖すると同時に、身体を触られる感覚に声を上擦らせた。

 ひんやりとした柔らかい手が少年の薄い胸板を撫で、愚かにも屹立した幼いペニスも扱かれる。

 すぐにでも少年は拒絶したかったが、縛られた身体ではそれも叶わない。


「貴方はレイの大事なヒト。ならばロゼの物にします」


 閃刀姫のレイとロゼ。二つの国の間でぶつかり合う一騎当千の乙女達。

 その中でこの少年は特異な存在だった。

 等身大の少女として扱ってくれる少年をレイは心の支えとし、少年もまた姉のような付き合いのレイを女性として見ている。

 しかし普段は後方支援としてレイをサポートする彼であったが、ロゼは二人の絆を見逃さなかった。

 レイの隙を見逃さず強行突破してきたロゼに不意を突かれて拐われて今に至る。


「ロゼより子供でも素直な身体ですね」


 冷淡に囁かれ、少年は歯を噛み締める。

 レイはきっと助けに来てくれる。だから耐えなければ。それなのに身体はロゼに弄ばれて、愚直に反応してしまうのだ。


「んっ……♡レイだけのモノにするにはっ……勿体ないですね」


 ペニスを包み込む生暖かい感触。今日もまたロゼが少年のモノを受け入れたのだと、嫌でもわかってしまう。

 甘酸っぱい女の匂いが広がり、きゅうきゅうと締め付けてくる。

 自分と背丈はそう変わらない少女は控えめながらも淫らな声をあげていた。


「ふふ……レイがそんなにお好きですか?」


 目隠しで何も見えないが、ロゼがとても悪い顔をしていることだけはわかった。

 冷淡な少女だと思っていたが少年の予想とは裏腹に感情はあるらしい。

 椅子に縛り上げられた少年に跨がりながら今日もまたそのまま腰を揺すられていく。


「あっ……んんっ♡ロゼのナカにまた注ぎ込んじゃってくださいな♡」


 レイ以外とこんなことを何度もしてしまっているという事実に、少年は悔しさに狂いそうになる。

 いつか彼女に想いを告げて繋がることを願っていたはずなのに。

 ロゼの狭い膣は少年の想いを逆撫でするように強く締め上げて行く。


「ほら、イッちゃってください♡」


 歯を食い縛って堪えようとしたが止められない。ペニスが激しく鳴動すると共に、ロゼの狭い膣内へと精液が放たれていく。

 強い快楽を前に、性行為を知って間もない身体が堪えられるはずもなかった。


「はぁはぁ……熱いのがロゼのナカに……♡」


 クスクスと中に出してしまったことを意識させるように囁いてくる。

 そのままロゼは少年の頭を撫でながら


「素直になってくれればロゼのこと好きにしていいんですよ」


 きっと少年がもっと単純な人間ならば簡単にその甘言に堕ちていただろう。

 欲望のままにこの白く小柄な少女を汚す快感は格別だろうから。

 されど少年は嫌だとまたしても突っぱねてしまう。


「相変わらず強情ですね……」


 少しだけ寂しそうな声に聞こえたが、それもすぐに別のものに切り替わる。

 何かを持ってきていたのか、少年の頭に嵌め込もうとしてきていた。


「そういえば今日はサプライズを用意したんですよ」


 そんな言葉を最後に何も聞こえなくなる。耳への圧迫感からイヤーマフのようなものが付けられたようだ。

 目も耳も使えない状況となり少年は竦み上がってしまう。

 何も聞こえず暗闇の中で唐突に訪れたのは身体へのし掛かる重みと強い快感。


「んっ……♡ぁっ……♡」


 生暖かいモノが頬に辺り、ペニスが湿ったものに包まれるのがわかった。

 またロゼが行為を再開したのだと少年は察してされるがままを受け入れていく。


「んぁっ……なさ……」


 微かに聞こえるくぐもった声。耳を覆われているせいでよく聞こえないが喘ぎ声なのはわかる。

 どうしようもない。このまま何も見えず聞こえずのまま自分は犯されるのだと少年は歯を噛み締めた。

 そんなところで身体を強く抱き締められて、違和感を抱く。


「ごめ……なさっ……」


 最初の違和感はロゼとは体格が違うことだった。身長も低く身体も幼いロゼに対して、今繋がっている相手は身体が少しだけ成熟している気がしたのだ。

 そして、髪の匂いだろうか。その匂いはよく嗅いだことのあるものだった。

 恥ずかしいから止めてと言っても辞めずにハグされた時に、思わずドキリとさせられるあの匂い。

 そこで耳を覆っていたモノが外された。


「あっ……んんっ♡ごめんな、さいっ……♡」


 その声を聞き間違えるはずがなかった。

 しかし脳が拒否をする。彼女がこんな声を出すわけがないと。

 ここにいるわけがないと。

 しかし決定づけるように目隠しも外されてしまった。


「ひうっ♡みない、でっ……ふあっ♡」


 ロゼの銀髪とは対照的な金髪。

 姉のような幼馴染みで、家事が苦手な彼女の代わりに、いつも少年が家事を行っていた。

 少しでも近くにいたくて、裏方での情報戦や後方支援を行っていた。

 少年にとって誰よりも大切で、いつか想いを告げようと思っていた少女。


「ごめん、なさい……わたしっ、わたしぃっ♡」


 泣きじゃくりながらも腰を揺らすレイがそこにいた。

 謝りながらもその瞳には快楽の光をたたえており、貪るように腰を揺らしているのはとても本人とは思えない。


「たった一人で突撃してきたんですよ」


 淡々とロゼが真実を告げていく。

 少年を救うために無理な特攻をしたレイがそのまま囚われたこと。

 それをロゼが貰って少年と平行して調教していたこと。


「ロゼに感謝して欲しいです。ロゼが武勲として貰わなければレイは男達の慰み物になってましたから」


 くすりと微笑むロゼ。表情こそ薄いがその赤い瞳は愉悦に歪んでいた。

 そのまま少年の上で乱れるレイの乳房を揉みしだく。


「ひうっ♡」

「レイも強情でしたが、貴方には劣りましたね。素直になればずっと貴方と一緒にいられると告げたらすぐに頷いてくれました」


 困惑する少年と、悶えるレイを楽しげにロゼは眺めている。その瞳にあるのは敵に向ける憎悪というよりも、欲しいものを手に入れた子供のキラキラとしたものだ。

 乱れるレイの腰はさらに激しくなり、少年のモノを締め上げていく。

 このままでは出してしまう。レイを説得しようと少年は試みたが……


「好き、なのっ……♡ずっとこうしたくかったっ……あっ♡」


 赤裸々に語られていくレイの本音。

 両想いであった事実と最悪な形でそれを知ってしまったこと。少年はそれに打ちのめされて喉元まで浮かんだことばを引っ込ませてしまう。


「おとなしくしてるなら、二人とも安全は保障しますよ。今ならロゼも今度好きにしていいです」


 再び囁かれるロゼからの甘言。拒絶しようと口を動かすが、出てこない。

 代わりにレイの唇が少年に重なってくる。


「んんっ……ちゅぷぅ♡」


 今まで姉のようだったレイが、恋人のように少年を求めてきている。

 それは少年が確かに求めていたものなのだ。

 そう考えると少年の抵抗も、これまであった強い覚悟も失せていく。

 カチャリとロゼが少年の拘束を外した。


「ではごゆっくり……今は二人きりにしてあげますよ」


 言いながら部屋から去っていくロゼ。

 全ての拘束は外されている。だが少年の頭の中に脱走の二文字は浮かんでこない。

 やがておずおずと少年の手がレイの身体に伸びていく。

 もはや彼が抗うことはなかった。





「それ、好きぃ……♡」

「んあっ♡いいです、よっ……んぅ♡」


 二人の少女に少年は一人で相手をしていく。

 レイは恍惚とした様子で少年との行為を楽しみ、ロゼにはどうされれば気持ちいいのかを教え込まれながら犯される。

 今の少年の役割は、好きな時に二人の相手をする肉人形同然だった。


 それでも確かな幸せはある。

 形はどうであれレイと想いは繋がったのだから。

 もう二度と昔のような関係にも、本来望んでいた関係にもなることはできないと理解していても。

 少なくともレイは幸せなのだから。

 少年はレイが行くならどこにでも付いていくと決めていたのだから。

 例えそれが歪に狂ったものだとしても。

Report Page