ルナ冴SS③

ルナ冴SS③


押し付けられているモノが自らを貫く想像に嫌気から身を震わせる。

そうこうしている間にも男は冴のシャツをたくし上げて上半身を露わにし、そこに散らばっているちょうど赤みやサイズ感がキスマークにそっくりな虫刺されたちを見て口笛を吹いていた。

これはもう完全にヤりまくりだと思われている。どうしてこれからレイプされるという日に限ってややこしいものがついているんだろう。解答、昨日は窓を開けて寝たのに蚊取り線香を焚いていなかったため。自業自得だ。これからは電気式の置き型殺虫剤に切り替えて夏場はずっと付けっぱなしにしよう。

この場から逃げ出す方法が浮かばなくて、現実逃避みたいなどうでもいいことばかりが脳裏をよぎり続ける。良くない兆候だ。

「おい、アップで撮っとけよお前。さすが男タラシの女王様だぜ。俺らがヤる前からもうこんなんだ。昨日はここで何人の男から搾り取ってきたんだ? ええ?」

スマホを構える男を手招いて指示を出した後、人の胸元を見てニヤつきながらズボンの裾から手を突っ込みボクサーパンツ越しに尻を触ってくる男。

指先の動きが性行為を連想させるいやらしさで大変に気色悪く、ゆったりとしたスピードで撫で回されると二の腕に鳥肌がたった。

そしてズボンの中でボクサーパンツのウエスト部分に指が引っ掛けられる感覚がする。マズイ。ずり下ろして一気に勝負を決めるつもりだ。

「んむ、んんっ!! んー!!」

唾液を吸ってべちゃべちゃになったタオルを噛まされている口でなんとか助けを呼ぼうとする。

しかし声は意味のある音にはならず、くぐもった微かな悲鳴として旧救護室に響くのみだった。

それでも死ぬ気で叫び続けていると、元から呼吸の片方が妨げられていたのに無理やり発声しようとしたことで酸欠が起こり、苦しさからじわりと生理的な涙が目尻に滲む。

首を横に振った拍子に頬へと伝い落ちたそれに、歯の不衛生な男は押し付けているモノの硬度をますます増させる。

高飛車で生意気な女王様を自分が怯えさせて泣かせたという誤解ゆえの思い上がりと快楽。それが男を興奮させて血の巡りをよくしていた。

ケダモノじみて息を荒らげベロリと生臭い舌で冴の涙を舐めとる。酷い口臭が鼻をついた。この口にキスもされるのか、最悪だ。いっそ虫でも食わせろ。

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