ルナ冴SS
偽りの手紙で呼び出された旧救護室。
またいつものように犬になりたいなどと宣う輩からの告白を受けるのだろうと億劫がりながら向かえば、残念ながら事態はもっと面倒なことに性欲と加害欲の混ぜ物だった。
つまり、日本から来たあの細くてちっこいのが周りからチヤホヤされて調子乗ってるから俺たちで『わからせて』やろうぜ、とそういう内容である。
品性をフリーマーケットに売って得た収入でプロテインを買っていそうな筋骨隆々で長身の下劣な笑みを浮かべた男達が、扉を開けた瞬間にその太くて日に焼けた腕で冴の手首や腰を掴み、力づくで室内に引き摺り込んだのがつい先程だ。
人数は3人。今は叫び声が上げられないよう口にタオルを噛まされた状態で、寝具ごと取り残されたパイプベッドの上に仰向けに押さえ付けられている。
ベッドサイドに立って両手首をシーツに縫い留めている男が1人。冴の両足に馬乗りになっている男が1人。少し離れた場所でスマホをこちらに向けている男が1人。
拘束、陵辱、撮影を完璧にこなすつもりの布陣であることは想像に難く無い。どいつもこいつも成長途中の冴よりも図体がデカくて跳ね除けるのは厳しそうだ。
「よぉ女王様。普段見下してる相手にこれから犯される気分はどうだ?」
馬乗りになっている男──見下しているどころか見限っているので名前さえ覚えていない、強いて言えば自分が興味を失った以上サッカーがヘタクソだったのだと推測できる相手が、ニタニタと汚い歯を見せながら冴の練習着の内側に手を滑り込ませてくる。
性的な意図を隠そうともしない手つきで腹を撫でられ、不快感と嫌悪感で咄嗟に腰が跳ねた。それを快感によるものと受け取ったか、あるいは恐怖によるものと解釈した上で辱めたいのか。
歯の黄ばんだ男は「さすが女王様は下々の民と触れ合うのに慣れてらっしゃる!」などと芝居がかった台詞を吐き、他の男たちもドッと笑った。
要は遠回しなビッチ扱いだ。ふざけるな。こちとらは純潔も純潔、童貞も処女も未だ失っていないあまりにも清らかな身体だというのに。……周りからは真逆の印象を持たれていることには、まあ、薄々は気付いているが。