(ルナ冴SSエピローグ)
(その意図は無いけど一瞬だけルナ凛っぽいと感じるかもしれない台詞があるのでダメなら消して下さい。原作でもセクハラすれすれの煽りかます貴公子なのでこのくらいはセーフと思いたい)
……とまあ、レオナルド・ルナと初めて顔を合わせた時のエピソードは概ねこのような内容である。
あの後は日本から来た天才少年を自国の貴公子が犯したと勘違いしたマネージャーや後続のスタッフたちがパニックになったり、その慌てふためきぶりを見たルナが他人事のようにケラケラ笑っていたり、事態を収集するために1番疲労している身で冴が事情説明を始めたりと色々あった。
結果としてルナの疑いは晴れ、周りで気絶していた3人のゲスどもはどこかに連れて行かれ、それから2度と冴の目の前に姿を現すことはなかった。
これで一件落着。……なのだが。
「──それでね、冴の弟がいたから『冴にそっくりで綺麗な顔だね。俺に兄弟で飼われてみない?』って言ったら急に怒りだしちゃって。キレやすい所まで本当に冴似の弟さんだね。サッカーは冴よりヘタクソだったけど」
あれから数年たって冴が18歳になった今でも、何故かこの男との交流は続いていた。
場所はスペイン某所のバル。観光客も多いので互いにサングラスをかけて変装しているが、それでも顔が良いのも脚が長いのも隠しきれていないから道行く女性たちにはチラチラと秋波を送られている。
冴は飲みかけのカフェ・コルタードのコーヒーカップをテーブルに戻すと、はぁ、と舌打ちの代わりに溜息を吐いた。
「それでか。ブルーロックの連中と戦う時に凛が妙なこと聞いてきたのは」
少し前に終えたばかりのU-20とブルーロックとの試合。
その最中、凛は基本的に兄である自分に言葉でもプレイでも突っかかって来たが、時折意味のわからない文句が混じっている時があった。
あのスペイン野郎と言い触角野郎と言い頭のイかれた金髪が好きなのか、だとか、人間関係の趣味どうなってやがる、だとか。
煽りとしてもよく分からないそれらをひとまずサッカーに集中するため考えないようにしていたが、ルナの話を聞いて納得した。
眼前のレ・アールの貴公子は、いつかの自分が喰らったものより随分と軽めのジャブではあるが日本に行った際に弟のほうにもセクハラをかましていたのだと