ルナがチョキ宮に絡みに行く話

ルナがチョキ宮に絡みに行く話


(ネオエゴに何故かルナが臨時指導者として招かれてる世界線)

(花メンタル強めのチョキ宮)


 ブルーロック内の奥まった場所にある扉、そこを開けると不思議の国…といった事は無くただ日当たりの良い部屋に繋がっている。一見するとただの休憩室だがそんな部屋がある事は極一部を除き知られていない。

 臨時指導者用の特別なユニフォームを身に付けた鮮やかな金髪と翠眼を持つ男、レオナルド・ルナは秘密の部屋を知る者の一人。そんな彼の目線の先には壁にもたれ掛かり温度を感じない瞳でただ虚空を眺めている青年がいた。

「やっぱりここにいた、こんにちは雪宮剣優くん」

「……こんにちは」

「隣、いいかな?」

 尋ねるが返事は無い、最初は挨拶すら返ってこなかったのでこれでも仲は進展しているはずだと思いつつルナは雪宮と呼ばれた青年の隣に座る。

 お互いに何も話さずただただ静かな時間が過ぎていく、指導をしていると何故か騒がしくなり怒りをぶつけられたりするのでルナはこの時間をそれなりに気に入っていた。

「剣優くん、君の事を教えてくれないかな?」

「…どうして?」

「俺が知りたいから、君が凪誠士郎と何らかの関わりがあるって所までは分かっているんだけどね」

 ルナが雪宮の首に巻かれたチョーカーに手を伸ばすとその手を厭うように彼は横に倒れこむ、それを見届けたルナはくつくつと笑い伸ばしたままの手を引っ込めた。

 何らかの関わりと表現したがルナは凪と雪宮の関係に一つだけ心当たりがあった、ネット上の都市伝説としてまことしやかに囁かれている『"花"を売る店』だ。

 恐らく雪宮はその店で買われた"花"であるとルナは睨んでいる、何故高校生の彼がそんな店で売られていたのか、何故凪はそんな店に行ったのか、様々な疑問があるが都市伝説の正体が今目の前にいることに彼は少し高揚していた。

『暇潰しにはなるかと思っていたけどまさかの収穫だよ』

 ゆっくりと起き上がった雪宮に秘められた事情をただのオカルトで片付けるには惜しい。特定の選手を贔屓しないようにと言われていたルナだが彼はマネージャーや同行者みたいなものだし問題は無いだろう。

「俺を楽しませてね、雪宮剣優くん」

「………?」

 言葉の意味が理解できずに首を傾げた雪宮に笑顔を向けつつルナはどう探りを入れていこうかと思案するのだった。

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