ルスカイナのハプニング
週に一回季節が変わる島、ルスカイナ島。ここでルフィは2年後の再集結に向けて特訓を行っていた。
「じゃあ、おれメシ獲りに行ってくる!」
ルフィは師匠であるレイリーにそう告げ、本日の夜食に使う食材を探しに行った。相変わらず森ばかりで視界は悪い。ルフィは、目を凝らしながら目的の物を探す。そうして進んでいくうちに丁度海が見えるところまで出てしまった。
「やべえ・・・行き過ぎた」
ルフィは慌てて引き戻ろうとする。だが、その足は突然止まった。ふと奥の茂みに人の気配を感じたのだ。
「んー・・・」
ルフィは、気配のした茂みの方を見つめる。この島には現在ルフィとレイリーしかいるはずなくこの周辺の海は不思議海域で海王類がたむろしているはずだ。その中でもこの島に来れる者といえば・・・
「お前、またハンコックに頼まれたのか?」
ルフィに、そう言われ茂みから出てきたのは女ヶ島で友達になった少女、マーガレットである。
「ばれちゃったね・・・結構気配消してたんだけどなー」
マーガレットはそう言いながらルフィの方に向かう。ルフィの方もとりあえずそこらに座って話始める。
「あのなぁ。何度も言うけどおれは大丈夫だからな。わざわざハンコックにおれのこと報告するために来なくてもいいんだぞ」
女ヶ島の皇帝であるハンコックはルフィのことを好いており、ルフィが危険な島で修行していることも知っており大変心配しているのだ。自ら安否を確認したいが、それは恥ずかしいのでこうして島の中でも特にルフィとの親交が深いマーガレットを使いとして出している。
「私も大丈夫だとは思うんだけどね・・・蛇姫様に頼まれると断れないというか・・・まあ、それ以外にもあるけど」
最後の方は小声で聞き取れなかったがマーガレットも少し疲れ気味に笑っていた。ルフィの方も苦労してるんだなという感じの目を向け、二人で少し話をし始める。そして数分立った後ルフィは立ち上がった
「じゃあ、俺もう行くから。レイリーにメシの調達頼まれてんだ」
そう言いながらルフィはその場を立ち去ろうとする。だがそれはマーガレットの手がルフィの腕をつかむことにより阻まれた。ルフィは驚いてマーガレットの方を見ると、彼女は先ほどとは違う雰囲気を出していた。
「えっと・・・ルフィ。ちょっと聞きたいことがあるけどいい?」
「・・・なんだよ。早くしろよ」
ルフィは、何か嫌な予感がしたが友達の頼みを無下にはできず聞き返す。マーガレットは少し顔をうつむかせ話し始めた。
「あのね、私もっとルフィのこと知りたくて、ならまず男のことを知ろうかなと思ったんだ。でも、あの島には男に関する記述はあんまりなくて、思い切って昔島を出て子供を連れて帰ってきた人に話を聞きに行ったんだけど・・・」
マーガレットはそこまで言うと少し言葉を詰まらせた。ルフィは、何か大きな不安がよぎるがそのまま話を聞く。マーガレットは少し顔を下げ話を続けた。
「この前ルフィと話していた時、ルフィの下の“キンタマ”の部分が膨らんでいた時のことも話したんだけど・・・あれは男が女性に“せーてきこーふん”・・・つまりその女性に魅力を感じたときに起きる現象だって言ってて・・・それで」
マーガレットがそこまで言ってルフィの方を確認する。そのルフィの顔は・・・かなり申し訳ないというような顔になっていた。そして、マーガレットを振りほどき勢いよく土下座する。完璧な土下座だ。
「ごめん! やっぱり嫌だよなこんな奴!気持ち悪いよな!」
マーガレットは突然ルフィが謝り始めたことに困惑する。そして、そんなルフィをかばうかのように話を続けた。
「ち・・・違うの! 別にルフィのことを気持ち悪いと思ってはいないよ! 確かに話を聞いたときは驚いたけど、でもなんでだろ? 嫌じゃないというか、むしろなんか嬉しいような・・・なんだろね? 私自身もよくわかんないや」
ルフィはその話を聞き、とりあえずは嫌われてないことをしれて安心する。
「そうか・・・良かった~」
ルフィはそう言いながら、笑顔で顔を上げる。マーガレットも安心した顔をしていが、なぜか顔が少し赤くなっていた。
「嫌いになるわけないよ。・・・それでね、その相談した人に、ルフィに対して何かできないことがないかも聞いたんだけど、そしたらその人にこうしてみたらと言われて・・・」
マーガレットはだんだん声を小さくしていく。ルフィは首を傾げマーガレットを覗き込もうとした。が、マーガレットは突然ルフィに迫り、勢いよく抱き着いた。
「えっ?!」
ルフィは、突然のことに驚く。いきなり抱き着かれた・・・その事実はルフィを混乱に陥れる。その豊満な胸部が体に直接あたる。女性特有のにおいが鼻を通る。それは、この島に来てからあまり襲ってこなかった自分の男の部分を呼び起こすのに十分だった。あの久しぶりの感覚が全身を包み込む。ルフィはやばいと判断し、即座に対策に出た。
「おい、ちょっと離れてくれ・・・」
ルフィは急いでマーガレットを離そうとするが、マーガレットはルフィにすら予想していなかった行動にでたのだ。
「うっ・・・ん・・・」
なんと・・・キスをしたのだ。時間は1秒にも満たないほど短かったが、確実にルフィの唇を奪った。マーガレットは顔を真っ赤にしていた。
「なんでこんなに、恥ずかしいんだろ・・・。えっと・・・どうだった?」
マーガレットの問いにルフィは答えることができなかった。ルフィはキスされた時点で限界を迎えていたのだ。ルフィはそのまま後ろ向きに倒れた。
「えっ?! ルフィ?!大丈夫?!」
マーガレットは 倒れたルフィを介抱しようと駆け寄るが、それは誰かに遮られた。
「全く、なかなか戻ってこないと思ったらこれだ」
レイリーである。ルフィが食料を調達しに行ってだいぶ時間がたっており、心配になって探しに来たのだ
「ルフィ君以外の気配がすると思って来てみたら・・・まさかこんなことになっていたとは。今度、直接抗議しに行くしかあるまいな」
レイリーはそう言ってルフィを担ぎ上げる。そしてマーガレットの方を向いて一言声をかけた
「君ももう帰りなさい。あとは私に任せて」
マーガレットは素直に応じて船のある場所に帰った。レイリーはそれを確認するとルフィの方を見る。
「全く・・・気絶しているのに、こんなに立派に男が主張しているとは」
ルフィの下半身は、今立派な山ができていた。
「いつも思うがルフィ君にこんな弱点があるとはな・・・もういっそのこと誰かと関係を持てとでもいうべきか?」
レイリーは、彼の仲間の航海士と考古学者を思い浮かべる。まあ彼はそんなのは断ると思うが・・・。レイリーは弟子の意外な一面に頭を悩ましながら帰っていった。
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一方、マーガレットも自分の船に戻る最中あの時のことを思い出していた。
「何やってるの私・・・なんであんなことを」
マーガレットは顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込む。確かにああしてみろと言われてたがキスまではするつもりはなかった。ただ、ルフィが本当に自分の女の部分に反応するのか確かめたかっただけだ。そもそもなんで確かめたくなったのか・・・考えれば考えるほど頭が混乱していく。
「いったん考えるのはやめよう・・・蛇姫様に報告しないと」
マーガレットはふらっと立ち上がり船の方に戻っていった。
彼女が、真に理解しルフィに対して積極的になるのはまだ先の話