リトルウィッチランサーズ・後

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前:リトルウィッチランサーズ・中




~断罪・1~


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「……やってくれたよ。なるほどね」


「これは確かに……私にとって、これ以上ない『罰』なんだろうね」

「正直ムカつくけど……それならそれで、構わない」

「こんな結末、絶対に認めないから」


「……あなたが用意したシナリオに、乗ってあげる」


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~断罪・2~


「それじゃ、今日の放課後、モノレールステーション前で待ち合わせだから! 待ってるからねー!」

「うん。気を付けて」



「……マドカちゃんは、何も知らなくていいから」


「大丈夫。あんなことには、絶対にさせない。
 場所は、分かってる。あとは、事件が起きる前に先回りすれば──」


~~~


「──ああ、やっぱりここにいた」


『ひっ!? お、お前はセミナーの! どうしてここに……』

「そりゃあ分かるよ。計画決行の時刻に場所、ご丁寧に爆弾の爆発の規模まで……
 あの時、現実で私がやろうって考えてたこと、そっくりだったんだもの」


「最初の名前入力の時点で……ううん、このゲームを始めた時に気付くべきだったよ。
 このゲームの主役は『私』じゃない。……たとえゲームの中だったとしても、『私』が『主人公』になんて、なれるわけなかったってことに」


「ねえ、そうでしょう? ──『▼▼▼』」







~断罪・3~


「一応、聞いておくけど。どうしてこんなバカな真似をしたの」

『ッ……あなたなんかに! 私の気持ちが分かるもんか!』


『一年生にしてセミナーの生徒会長で、さらにハッカー部とエンジニア部と野球部とスイーツ研究部の部長も兼任しているミレニアム始まって以来の天才で!
 冷酷な算術妖怪「鬼のユウカ」を倒してミレニアムに平和を取り戻したヒーローで! おまけに優しい幼馴染の恋人までいて!
 私が欲しかったものの何もかもを持ってる奴なんかに、空っぽの私の気持ちなんて分からない!
 私は……私はッ! あなたが主人公の物語の、脇役なんかじゃ──』


「……もういい。聞いてられない」


>> Message Skip (ピッ)


「ようやく分かったよ。このゲームの諸悪の根源が誰なのか」


>> 銃を抜く (ピッ)


「お前がいたから、みんなが苦しむんだ。
 お前みたいなやつは、この世界にいちゃいけない」


>> 銃を構える (ピッ)


「だから、これでやっと……ハッピーエンドだ」



>> ▼▼▼を撃つ (ピッ)







~断罪・4~


「──だめ!」


パァン!


「……え?」


「……なんで?」

「どうして、あなたが……そんなやつを、庇うの」

「マドカちゃん」

「また、私は……」



「違うよ、▼▼▼ちゃん」


「だって、そんな終わり方は、悲しすぎる、から……」


「だから、もう一度」



「今度は、ありのままの、あなたで」




<GAME OVER>



>> SYSTEM: TRUE END のフラグが解放されました












~追憶・1~


「また……助けられなかった」


「どう、して?」


「……『TRUE END』? それに、マドカちゃんの、さっきのあの言葉」


「……もしか、したら」


>> NEW GAME (ピッ)

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>> 「あなた」の名前を入力してください


「…………」


>> 「▼▼▼」 (ピッ)


>> SYSTEM: TRUE END のフラグ解放を確認しました

>> SYSTEM: 最終シナリオを開始します







~追憶・1~


「……ああ、懐かしいな。この光景」


「時間も、景色も、あの日のままだ」


「あの時は……決行の直前で園長とエンゼル部隊に見つかって、ボコボコに殴られて……」


「ああ、そういえば、あの時も先生が庇ってくれたんだっけ」


「……私はいつも、誰かに助けられてばっかりだな」



「──ねえねえ、あなたもミレニアムの生徒だよね? 早く学校に行かないと、遅刻しちゃうよ?」

「!」



「……どーなつちゃん」

「え、えーっと……どーなつちゃんって誰? 私はマドカだよ?」


「ごめん。今から言うのは全部、私の独り言だから。
 たとえあなたが本物のどーなつちゃんじゃなくても、聞いてほしいんだ」







~追憶・2~


「私、あなたのことが大嫌いだった」

「…………」

「才能に恵まれて、いつも人の輪の中に居て、将来を約束されているみんなの人気者。私なんかとは何もかも、正反対で」

「…………」

「……私には何もない。あなたみたいに凄いものを作れるような才能もないし、目標に向かって一途に努力できるほどの熱意もない。人の同情を買えるような不幸な生い立ちすらない。
 私はどこまで行っても平凡で、この世界が物語だとしたら、私はその登場人物にすらなれない。名前を呼ばれる価値すらない、ただのモブキャラでしかない」

「…………」

「あなたのことが大嫌いだった。あなたの隣に居ると、私がどんどん薄まっていくように思えたから」

「…………」


「だから、何か一つでも、注目されるようなものが欲しかった。普通で平凡でしかない私でも、非凡になれるものが欲しかった。
 それがたとえ、大勢の人に迷惑をかけるようなことだったとしても」


「私は……私はずっと、あなたに憧れてた。あなたみたいになりたかった。
 あなたみたいになれないことが……辛かったんだ」


「ごめん」


「酷いことを言っちゃって、ごめん……」ポロポロ







~追憶・3~


「……ねえ、▼▼▼ちゃん」

「!? どーなつ、ちゃん?」


「覚えてる? 私達がミレニアムに入学した日のこと」

「え……」

「私は、ちゃんと覚えてるよ。あの日、私をエンジニア部に誘ってくれたのが、▼▼▼ちゃんだってことも」

「……!」


「私、いつも行き当たりばったりで。園長が薦めてくれたミレニアムに入学しても、自分がどんな道に進めばいいのか全然分からなくって。
 そんなとき、▼▼▼ちゃんが誘ってくれたの。『エンジニア部にウタハ先輩ってすごい人がいるらしいから、いっしょに見に行かない?』って。
 それで、▼▼▼ちゃんといっしょに見学に行ったエンジニア部で、なんでも作れるウタハ先輩に憧れて、この人みたいになりたいって思った。
 空っぽだった私が、▼▼▼ちゃんのおかげで、はじめて自分のやりたいことを見つけられたんだ」

「……どーなつ、ちゃん」

「入部試験で▼▼▼ちゃんやハカセちゃんとチームを組んで、協力して頑張って、いっしょにエンジニア部に入れた時、すっごく嬉しかった。
 ▼▼▼ちゃんがいなかったら、エンジニア部としての私も、生体医工学部も、新しいMTR部も、きっと始まらなかったから。

 ▼▼▼ちゃんが何も作れないだなんて、そんなの嘘。だって、『今の私』の始まりを作ってくれたのは、▼▼▼ちゃんなんだから」


「だから、私はこれからも、▼▼▼ちゃんといっしょに新しいものを作っていきたい。
 理屈なんかじゃなくて。私が▼▼▼ちゃんと一緒に、夢を叶えたいんだ」


「だから、▼▼▼ちゃんも、ここから出よう。
 私といっしょに、新しい未来に向かって進んでいこう。
 ……ダメ、かな?」


  手を取る

  手を取らない







~追憶・4~


「……ううん」


  手を取る

  手を取らない

>> (CANCEL) (ピッ)


「こんな選択肢なんかじゃなくて、ちゃんと、自分の言葉で伝えたい」

「……うん」

「きっと私には、そんな……あなたの手を取る資格なんて、ない」

「…………」


「でも、資格があるとか、ないとかじゃなくて……私は。
 叶うなら、もう一度……やり直したい
 こんな私でも、真っ当な道を歩めるなら……また、あなたといっしょに、すごいものを作ってみたい。
 だから……」


ギュッ


「もう一度だけ……私に、チャンスをください」



「……うん」


「おかえり、▼▼▼ちゃん」



<<GAME CLEAR>>



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