リターン・オブ・マッドスタンプ/ラミーズ・リバイバル
「うぅん・・・」
男が、ラミーが目を開ける。天井に見覚えはない。
「おい、ラミー!起きたか?!」
すると仲間の一人が気が付いたのか声をかけてくる。確か、こいつは・・・ルビコンのころから手当てがうまい奴だったっけか・・・?
「あぁ・・・ここは・・・?」
「俺たちでこっそり改造した治療室だ!」
「おぅ・・・あ、アリスは?!アリスはどうなってる?!」
そう大声を出しながらラミーは急いで体を起こす。自分がACの相手をしなければアリスが死んでしまう。今彼はその使命感と焦燥感に襲われていた。
「まだ奪還できてねぇ!そしてまだ処分もされてねぇらしい!」
「早く行かなきゃ…!」
そう呻きながらラミーは痛みをこらえてベッドから起きようとする。しかし、仲間の一人がそれを抑えようと両肩をつかんだ。
「待てよ!その怪我で行くつもりか?!まだ傷もふさがりきってないんだぞ?!」
「あいつらまだMTにすら乗れねぇんだぞ?!量産型サーカスにも苦戦してた!放っておけるわけねぇ!!」
「あぁそうだろうよ!今のお前ならそういうと思ってたよ!」
「だからそこをどけ!」
「待て!まず説明をさせろ!」
「なんだよ!」
「お前にいい知らせと悪い知らせがある!どっちから聞きたい!」
「良い方で!」
「よし!向かいながら話すぞ!」
そう言いながら二人は廊下を大股で歩きながら話をつづける。
「お前の機体の応急修理は完了した。動作やシステムに一切の支障はねぇ。あとはコア拡張機能をターミナルアーマーにした。これを使えばより安全にリペアキットを使用できる」
「おう」
「悪いのは、見ればわかる」
「なんだよもったいぶって」
「正直目で見た方が深刻さがわかるはずだ」
そう言いながら緊急のガレージに到着した。
「これは・・・ッ」
「コアや脚部は問題なかったんだ。頭部以外安定と信頼の大豊、俺たちRaDの自慢のレッカー。元々荒い作業や戦闘も想定してる。だが、BASHOがあまりにも損傷が激しすぎる。
腕の装甲は剥がれ落ちて機能が大分低下してるし、頭部もこれでなんでカメラアイ自体に支障がないのか不思議でならねぇ。それでも動けるのは半世紀前からずっと作り続けてブランド化したBAWSの技術力とボスが何故か引いてた改修案の設計図の賜物といえるな」
「・・・」
「ショックを受けるのは無理もねぇ。これは正直、さっきより戦闘になれるかどうか怪しいぞ」
「いや、これでいい」
「は?」
「ちょうど軽くなったんだ!機動力も上がってるだろうよ!」
「お、おいラミー!?」
かけてあった己のジャケットを羽織るとラミーはコックピットに無理やり乗り込んでいく。仲間たちも驚いたような顔をしながらラミーを見た。
そして閉めようとしたコックピットのハッチをガッと止めながら仲間が声を荒げる。
「おいラミー!お前のその態度から止めても出撃するのはもうわかった!だがまだ説明してないことがある!」
「言えよ!」
「うるせぇ!今から言うんだよ!
ショットガンとチェンソーは問題なかった。だから弾丸を補充してそのまま載せてる。だが、アタッシュとミサイルがダメだった。だから、量産型サーカスから回収したバズーカとデリバリーボーイを積んでる」
一瞬の間。だが、答えは決まっていた。
「十分だ。ハッチ閉めていいか?」
「・・・行って来い馬鹿野郎!!」
ハッチが閉まり、又なじみ深いものが目の中いっぱいに映る。急がなくちゃいけない。だが、彼の心はやる気に満ち満ちていた。
「アリスを檻から脱出させる…名づけるなら、マッドスタンプ2・ジェイルブレイクか。ハハッ、いい名前じゃねぇか。最高だ」
『調子はどうだー!やれそうかー?!』
「また脳みそがワクワクしてきたぜ!最高の気分だぁ!!」
『また調子乗って落ちるんじゃねーぞぉ!』『今度はもう修理してやらねーからなー!』『無敵じゃなくなったお前の力見せつけてやれー!』『もしアリスたんを助けなきゃひどい目に合わしてやるからなぁ!!!』
なんか無理やりこじ開けたようなハッチからマッドスタンプ2は飛び出した。
「おうよ!行ってくるぜ!!」
無敵のラミー、再始動。
「・・・ッ」
そしてそれを見つめる白い少女がいた。
【機体紹介】
AC名:マッドスタンプ2・ジェイルブレイク
搭乗者:インヴィンシブル・ラミー
・被撃破後、先んじて潜入していたラミー側の仲間が回収、応急修理を施した機体。
・コア部分と脚部はともかく頭部と腕部の破損があまりにも激しかったが、RaD本部のカーラの机の上に置かれていた大破したBASHOの修理案を参考にしたため性能は著しく下がったものの一通りの動作は保証されている。
・武装はお釈迦にされてしまったデリバリーボーイとアタッシュに代わり、破壊された量産型サーカスから回収したデリバリーボーイと小型バズーカを背中に乗せている。本当はどちらもミサイルにしたかったがENが足りなかったようだ。