ラップバトル 開幕!
1「随分と荒らされてるな...確かあの辺りは食用可能な植物があった覚えはあるが」
旅禍である一護たちが現世へと戻った後に日番谷は十三番隊隊舎へと来た
理由は簡潔 浮竹隊長が『ラップバトル』で敗北させ庭を荒らした人物の詳細を調べるためだ
「隊長~!色々聞いて回ったら檜佐木副隊長も『ラップバトル』で戦ったらしいですよ~」
「松本か 確かお前も戦ったらしいが二人ともその時の状況を教えてくれないか」
庭に松本と檜佐木が来た とりあえず檜佐木から事情を聴こう
「日番谷隊長...あれは俺が旅禍を探してた時のことなんですけど…
─回想─
「そこのお前!一体何してるんだ!」
懺罪宮から離れた位置にいた不審な人物がいたんです
焚火を焚いて鍋に水を入れてどうやら草?を煮炊きしようとしていたらしく
「何って...儂は腹ごしらえでもしようと考えていたんじゃが」
「敵地のど真ん中でもうもうと煙を立たせる奴がいるかよ!?」
しかも食料として用意していたのはぱっと見雑草か何かで相当ひもじいのだろうと思ったんです
「お前…もうここで捕まっておけよ 今なら東仙隊長に言って出来るだけご飯を用意してもらうように俺から言ってやるから!」
そうは言ったんですが聞き入れてはくれなかったようで...
「儂も捕まるわけにはイカンのじゃ ここは『ラップバトル』で勝負じゃ!」
相手はマイクを渡してきてラジカセから音楽を流し始めたんです
「儂が勝ったらここらへんの食料を貰う!負けたら儂は逃げる!」
「こっちに何のメリットもねぇじゃねえか!」
そして...
「──バイブスを上げる形をしているだろ?」
俺は勝った んでもって滅茶苦茶素早く逃げられた
「クソ!息を上げさせるためにラップバトルを仕込んでやがったのか!?」
「大体こんな経緯です」
「なんでお前はそんな妙な決闘に乗ったんだ...」
ツッコミどころはあるが...松本の話も聞くと大体同様の内容だった
「私なんて『完敗じゃ...なんてラップ力(ぢから)だ!信じられん!』って驚嘆してましたよ」
「ラップに勝っても逃げられてちゃダメだろ」
そして十三番隊の庭では浮竹隊長が件の男が侵入時に居合わせ
「『ラップバトル』を開始した浮竹隊長は咽て咳き込みラップ継続不可として敗北...その結果庭を食い荒らされたらしい」
「肺を悪くしていると聞いてますし『ラップバトル』は厳しいですよね」
ついでに盆栽を見て
「これではまだダメじゃ...絵にかいてやるからもう少しこの辺を摘んで この辺は伸ばして...あと容器もいっそこの形の...」
と死ぬほどダメ出しをされた挙句にこの本をみて勉強しろと言われ...実際その設計図を見て『なるほど!』と思ってしまったことに浮竹は傷つき若干不貞腐れ気味に今も寝込んでいるらしい
そして最後は...十二番隊隊舎への侵入と強盗
「こっちは完全に食料目的じゃなく資料が目的だろうな」
盗みだされた資料の中には今十二番副隊長をしている涅ネムに関連する資料が多く
敵の動向により一層注意を払う必要があるだろう
「しかし見た目と草を食う特徴...いやまさかな」
茶屋の店員を少し思い出したがきっと違うだろうと心の内に不穏な考えは置いておいた