ユマクル逆転・前半
73「つかまえた❤」
思わず、口をついてそんな言葉が出ちゃった。
ここは、わたしクルミ・ウェンディーが泊まっているホテルの部屋。目の前にはベッド。でも寝ているのはわたしじゃない。
そこですやすやと寝息を立てているのは、わたしがずっと探していたユーマくんその人だった。
「うーん……」
ユーマくんはちょっとうなされているみたい。いつもの探偵の制服姿で、顔をしかめていてもとってもかわいい。って、本人に言っちゃったら怒っちゃうかもだけど。
まあ、怒るといえば、両手にかかっている手錠の方が怒るか。ベッドの柵に付けておいたんだけど、ああいう感じで大丈夫なのかな。
そんなことを考えながら、わたしはユーマくんが目を覚ますのをじっと待っている。どんな反応をしてくれるのか、楽しみにしながら。
「ここは……?」
1時間くらい堪能したかな? ついにユーマくんが、大きな目を開けた。ぼんやりさまよった視線が、やがてわたしに留まった。
「あれ……クルミちゃん? どうしているの?」
「さあて、どうしてでしょう?」
がちって音がした。ユーマくんが体を起こそうとして、手錠が鳴ったみたい。
ユーマくんは一瞬キョトンとして、それから自分がバンザイの格好で拘束されているのに気づいて、慌て始めた。
「えっ!? あ、あれ!? えっ、なにこれ! う、動けな……クルミちゃん!?」
「はーい、クルミ・ウェンディーですよー」
「なんなのこれ、まさかクルミちゃんが!?」
あれ、すぐ疑われちゃった。さすが探偵さん。でもわたしってそういうイメージなのかな?
「そう。ユーマくんが逃げないようにしようと思って」
「に、逃げないようにって……」
ユーマくん、絶句してる。お口もぽかんと開けちゃって、かわいい。
どうしよ、ゆっくりお話しながら、って思ってたのに、なんだか我慢できなくなってきちゃった。
ベッドににじり寄るわたしを見て、ユーマくんの表情が歪んだ。怖いのかな。すごい探偵さんなのにね。
「なにするつもりか、聞いていい?」
「うーんとねー。今からエッチなことをします」
「直球すぎるよ! 女の子なのに!」
ツッコんで誤魔化そうとしたって駄目。いまのユーマくんは抵抗できないんだからね。
それに、なんだか妹にでも言うような言い方。前はこんなこと言わなかったのに。
マコトさんの言ってたナンバー1って人の影響なのかな。
まあいいや。わたしはベッドに乗り上がって、ユーマくんの膝のあたりに跨った。
「駄目だよクルミちゃん! ボクたちまだそんな」
「そんなの、今からそうなっちゃえば問題なしだよ」
「そうかなあ!?」
元気に叫ぶユーマくんを適当に流しながら、わたしは目の前にやってきた獲も……目標に狙いを定める。
ここの、これだよね? えいっ。
「わあ! ど、どこ触ってるの!」
ふにふにとそこを触ると、ユーマくんの悲鳴に近い声が聞こえてきた。いざというときはカッコいいのに、いまはとっても情けない、女の子みたいな声。
でも、大騒ぎしている割に。
「ぜんぜん硬くないね」
「こんな状況で硬くなんかならないよ!」
むう。
ユーマくんって、気づいてないかもしれないけど、会うたびに二ヘラってしてたし、フブキさん相手なんかだと結構胸とか見てたし。
絶対女の子が好きだと思うんだけど、わたしじゃ無理ってこと?
「く、クルミちゃん? なんか怒ってない? って、ちょっとちょっとちょっと! ストップ、ストップ!」
わたしが返事をせずにユーマくんのベルトを外し始めると、彼は目を白黒してパニックになっちゃった。
脱がされるとは思ってなかったのかな? 手錠(それ)のせいで抵抗できないクセに。
ベルトを外して、いつも履いている半ズボンをずり下ろしていくと、さすがのユーマくんも足をバタつかせて抵抗する。
でも、必死なのに、わたしを蹴っちゃわないように気をつけてくれているのが分かる。ユーマくん優しい。
「うぅ……」
1分も経たないうちに、ユーマくんの下半身はパンツ一枚になっちゃった。
こういうのってトランクスっていうんだよね。背伸びしたいユーマくんにぴったり。
耳まで真っ赤になったユーマくんはかわいいけれど、わたしだってそんなに余裕があるわけじゃないから、さっさと次に進みます。
「ユーマくん、これもとっちゃうね」
「だ、駄目だって言ってるのに」
生唾を飲み込んで、ユーマくんの下着を脱がせていく。そうすると、とうとうそれがやってきた。
「あはっ❤」
「もう殺して……」
ユーマくんのは、体格に見合わないくらい大きな気がした。昔見たお父さんのよりおっきいんじゃないかな。
付け根のところには薄く、髪の色と同じ銀色の毛が生えていて、ボクも大人なんだぞーって、主張してるみたいです。
でも、先っぽのところは皮を被っていて、なんだかかわいい。
わたしはユーマくんをじっと見つめた。ユーマくんは顔を真赤にして、目を瞑っていて、恥ずかしくてたまらないみたい。
さあ、やるぞ、頑張れわたし!
「……」
でも、そこで、フリーズしてしまった。
勢いでここまで来たはいいけれど、この先となるといよいよだ。
うまくできるかな。ちゃんと、良かったって思ってもらえるかな。今さらだけど手錠はさすがにまずかったんじゃ……。
我に返りそうになるところをぶんぶん振り払って、わたしはユーマくんのおちんちんに手を触れた。
「い、いくよ」
息を呑むユーマくんの気配を感じながら、ふにふにだけれど、ちょっとゴムみたいなそれを軽く持ち上げる。
わっ、触るとぴくぴくって動く……すご。
「うぁ、クルミちゃん」
ユーマくんが苦しそうな声を上げます。でも、痛いわけではなさそう。
たしかこれを、撫でてあげればいいんだよね? こ、こうかな?
わたしはユーマくんのおちんちんを右手に乗せて、左手でよしよししてあげた。
指先が触れるたびに、ぴくっとそれが震えるのが分かって、わたしも心臓がばくばく言うのが分かる。
「ゆ、ユーマくんのおちんちん、おっきくてかっこいいね❤ わ、わたしを犯しちゃうぞーって、言ってるよ❤」
「く、クルミちゃん、こんなの、どこで覚えてくるの」
「女の子にはいろいろあるんだよ❤」
「いろいろって」
ユーマくんがいない間に勉強したセリフを言いながら、よしよしを続けているうちに、ユーマくんのおちんちんの様子が変わってきた。
ふにふにだったのが、だんだん骨が入ったみたいになって、ぐぐってわたしの手を押し返そうとしてくる。
「わ❤ 見てユーマくん、もっとおっきくなっちゃった❤」
「……」
返事はない。恥ずかしすぎるのかな。でもこれって、わたしで興奮してくれたってことだよね。
わたしは達成感で満たされて、もっと沢山ご奉仕してあげたい気持ちになった。
硬くなったそれを、上下に優しくしごいてあげる。
「うっ」
ユーマくんが一瞬あげた苦しそうな声。でもおちんちんはぴくぴくって嬉しそう。
わたしはいい気になって、しごくスピードを上げた。すると、やがてくちゅくちゅっていう音が響き始めた。
男の人も濡れるって、本当だったんだ。じゃあ、このままいけば。
「クルミちゃん、もうやめて」
「あははっ、だーめ❤ ユーマくんはわたしが食べちゃうの❤」
気分が高まって、わたしはユーマくんのおちんちんをいじりながら笑った。口が勝手に言葉を垂れ流していた。
「手錠で抵抗できないんだから、悔しいよね❤ でも、あんなお手紙一つでどこかに行っちゃうユーマくんが悪いんだからね❤」
「う、く、クルミちゃん」
「ずーっと一緒にいよ❤ ごはんもおトイレも、ぜんぶわたしがお世話してあげるから❤ ね? ね! ね❤ もう謎なんて解けなくていいから❤」
「……クルミちゃん」
このとき、わたしはユーマくんを気持ちよくさせているということに夢中で。
彼がわたしに興奮しているってことに舞い上がっちゃって。
ユーマくんの声のトーンが変わってきていることに、ちっとも気づかなかった。