【ユゴバズ/特殊設定】The Point of No Return(前編)
@🎲振ってる人だよこれは特殊性癖かもしれない
きをつけて
【ユゴバズ世界のユーゴー×バズユゴ世界のバズビー&バズユゴ世界のユーゴー×ユゴバズ世界のバズビー】概念、提唱したものの誰も書いてくれなさそうだから書いた
前編なのでほとんど何もしてないけど、後半にはたぶんそこそこの性描写あるから未成年は見ちゃダメです
自分ではどうなのかいまいち判断できん
読んでえっちだ!となる文章を書きたいもんだ
軽く設定とか
・ユゴバズ世界
再会直後に酔っ払ったバズビーがユーゴーの自室に押しかけウザ絡みしていたらそういう雰囲気になってキスしたり告白したりセックスしたりした
精神的な満足優先の穏やかでやさしいセックスをしているので激しいプレイや言葉責めには慣れていない
いいところのボンボンらしくやや初心なバズビーと、精神的に余裕があるのでもうひとりのバズをよく煽るユーゴー(シンプルに性格がわるい)
・バズユゴ世界
再会から数百年、ユーゴーの取り付く島もない態度に業を煮やしてバズビーが襲った
ユーゴーは驚きやショックもありつつ、バズビーが自分を貶めるためだけにやっているわけではない、必要とされている…ということを期待してなんだかんだずるずる受け入れ続けている
告白もしていなければキスも(おそらく)していない、しかし夜の営みは激しい
思い詰めた結果性知識を真面目に学んでちょっと擦れたバズビーと、愛されている確信がなくやや元気のないユーゴー
----------
とんだ馬鹿げた話があるものだ。
重苦しい溜息が隣から聞こえ、バズビーはガシガシと項を掻いた。
【セックスしないと出られない部屋】
とんでもない部屋があったものだ。
ぱちりぱちり、ハッシュヴァルトが瞬きを繰り返していると、隣から咳払いが聞こえた。
「何か言いたそうだな、バズビー」
「そりゃ言いたくもなるだろ」
視線を向ければ、赤い瞳とかち合う。見慣れたものに違いなく、しかし。
「…どうかしたのか?」
「何がだよ」
ほんのりと赤く染まった眦の持つ意味は何だろう。
まじまじと見つめれば居心地が悪くなったのか、目を逸らされる。
「バズビー?」
「だから何だよ」
目が覚めた時にはこの部屋に、それもベッドの上に横たわっていた。そこからあらゆる手段を尽くし、脱出を試みるも失敗し、その末に出てきたのがこの馬鹿げた文言である。
こうなると否が応でもセックスを試すしかない、と理解したのはハッシュヴァルトだけではないはずだ。
現にバズビーの仕草や反応は、情事を意識したものであると仮定すれば違和感はない。
それをしているのが、バズビーでなければ。
ハッシュヴァルトの知る彼であれば、こう言うだろう。
----------
「とりあえずヤるか。さっさと股開け」
「は?」
「んだよ。仕方ねえだろ、さっさとしろ」
促すも、ハッシュヴァルトの反応は芳しくない。
常ならば、眉間に皺を寄せて溜息をつきながらも服を脱ぎ始めているであろうハッシュヴァルトが、である。
直立不動のまま冷徹な視線を向けられ、責められているような気分になる。
「お前が横になり、私に身を委ねるのではなく?」
「は?」
「何故このタイミングで慣れないことをしようとする。早く済ませて出るには、慣れた役割を…」
「待て!」
早口に捲し立て始めたハッシュヴァルトに待ったをかける。不満そうながらも口を噤んでこちらの言葉を待つところには可愛げがあった。
いや、今考えるべきはハッシュヴァルトの愛らしさではない。
「いつも抱かれて善がってんのはお前だろ、ユーゴー!」
----------
互いの話を整理すると、状況が見えてきた。
要するに、眼前で困惑しているバズビーは、ハッシュヴァルトとは異なる世界を生きる存在である。
生まれも、育ちも、あの決別すら全て同じに生きて。
何故かその末にたどり着いた関係性だけが、似て非なる。
「俺とユーゴーは…いや、俺のところのユーゴーは、体だけってわけでもねえよ」
なんとも羨ましい話である。
と、別世界の自分に嫉妬している場合ではなかった。
「ここがどちらの世界か定かではないが、条件を満たさない限り出られないとすれば互いに不都合だろう」
「まあ…ユーゴーにも会えねえしな」
なんとも羨ましい発言である。
どのように接していればこのように素直な言葉が聞けるのか。
叶うことならもう一人の自分に尋ねたいくらいだった。
----------
「…バズビーに会えないのは、私にとって不都合だ」
「処理する相手がいなくて困るってことかよ?」
「………品のない発言だな、バザード・ブラック」
軽蔑されている気がする。
わざわざ本名まで呼びやがって。その名を呼ぶくらいなら、かつてと同じく親しげに呼び掛けてみやがれ。
と言うのは堪えた。
なにせ氷のような視線を向けられている。
どうせ呼ばれるなら閨で。可愛らしく蕩けた顔と声で。
一度も実現していない話ではあるが、夢を見るのは自由だ。いつかそれを現実にしようと体の陥落に勤しむのも自由だろう。
「ここから出たいんなら妥協するんだな。さっさと横になって天井の染みでも数えてろ」
「断る」
「なんでだよ」
「お前に身を委ねる気はない」
「俺だってねえよ。そもそもお前、俺相手に…」
----------
「勃たねえ…よな?」
「刺激を与えればなんとでもなる。それより、どちらが…」
「………」
「………」
気まずい。
共に受け入れる側であり、その快楽を知る身だ。あえて挿入する側に回りたいと意見する気にはなれず、しかし相手にねだるほど矜持を捨てられるわけでもない。
進退窮まったか。
「…やってみてもいいぜ」
「何を?」
驚きのあまり反射的に声が出た。
結果として少し食い気味に尋ねると、バズビーは耳を赤くして視線を落とす。
「い、挿れる側…」
照れている。感動が胸に広がった。
ハッシュヴァルトの知るバズビーは閨事に詳しく、あけすけな、時には下品ともとれる言葉を使い、ハッシュヴァルトにまで口にさせようとしてくる。そこに恥じらいはなく、淫らな言葉のやり取りを楽しんでいるか、要求された言葉を口にしようとしないハッシュヴァルトに苛ついているかの二択だ。
それに比べるとこのバズビーは、色事に慣れていない雰囲気を漂わせていた。
「できるのか」
「わかんねえけど…お前も元の場所に戻りたいだろ。悩んでてもどうにもならねえし」
「………」
「なあ…お前が嫌じゃなけりゃ、いいか?」
少し低い位置から、首を傾げて問われる。
目眩がした。
バズビーとは、こんなにも可愛らしい仕草をする生き物だったか。もはや人間というジャンルを超えていた。小動物にカテゴライズしていいだろう。実際、ハッシュヴァルトから見ればバズビーの身長は可愛いものである。本人に言えば蹴り飛ばされそうだが。あるいは、今対面しているバズビーであれば照れた顔を見せてくれるのだろうか。
閑話休題。
こうも庇護欲をそそる生き物に、望まない役割を押し付けるのは気が引けた。他にも手はないかと考えた末、口を開く。
「…その前に、一つ試すのはどうだ」
「何を?」
「挿入せずとも、達することはできるだろう」
「でも、それって…セックスなのか?」
「肌を重ね合わせれば、あるいは」
「…じゃあ、やってみるか」
「ああ」
ようやく話がまとまったかと思えば服は脱ぐのか脱がせてもらうのか問題が勃発し、ハッシュヴァルトは堪らず目元を覆った。
どれだけ甘やかしているんだ、もう一人の私!
----------
自分たちのパートナーが穏便に解決策を模索しているなどとは露知らず。
口論が取っ組み合いにまで発展し、業を煮やしたハッシュヴァルトによって、とうとうバズビーがシーツの上に組み伏せられるところまで来たのが、普段『男役』を担っている二人の現状だ。
「ふざけんな!退けろよ…!どう考えてもお前が下だろ!」
「キャンキャンとよく吠える…私のバズビーはもっと可愛げがあるぞ」
「うるせえ、可愛くなくて結構だ。ついでに言うと俺の知ってるユーゴーもお前より何倍も可愛いんだよ!」
堂々巡りの口論を続けつつ、不埒な手は少しずつバズビーの守りを崩していく。
上着、シャツとボタンを外され、曝け出された素肌。ここまでの争いでじっとりと汗ばみ、息も荒く上下する胸板の形がなぞられる。
気色悪い!と罵倒してやれば、ハッシュヴァルトは不機嫌そうに柳眉を寄せ、深い皺を作った。
「下手くそ」
「お前よりは丁寧な愛撫を施せる自信がある」
「なんだよその謎の自信は!」
「お前には気遣いが足りない」
「無理矢理胸を揉んでる奴が言えたことか!?」
正論である。
しかしハッシュヴァルトは、いっそ哀れなものを見るような目でバズビーを見下ろしていた。驚くほどの可愛げのなさに、目が回りそうになる。世界が違えど、ここまで態度の違いが生まれるものなのか?
向き合った相手が全く同じ疑問を抱いていると気付かないまま、男たちの攻防は続く。