『モヤモヤ』
その日は珍しかった。本当に偶々寄った島で知り合いが集まっていたので一晩だけ宴をしていた。そこにはハートの海賊団や偶々親のキュロスと観光をしていたレベッカなど普段会えない友達もいてルフィは喜びながら宴の音頭を取った後でウタを探した。
そんな風に探してるとルフィはウタを見つけて止まった。
なぜならウタはパンケーキを食べつつローと話をしていて笑っていたからだ。
ルフィはそれを見た瞬間に胸の中に変な感覚を覚えた。モヤモヤとする初めての感覚に戸惑いつつもルフィはウタとローが何を話してるのか気になって近づくが同時に何故かそれを聞きたくない感覚もあった。
「ルーシー!」
そんな風にモヤモヤした状態でウタに近づこうとしたルフィにレベッカが声をかけてきた。
「レベッカ、楽しんでるか?」
「うん、今日は呼んでくれてありがとうね!」
「気にすんな友達じゃねぇか!」
〇〇〇
「本当にエレジアの時はごめんね」
「気にするな。それにサインは感謝する」
ウタはエレジアの時に迷惑を掛けてしまった事を謝罪しつつローが色紙を持ってきたのでサインをしてあげた。
「これでベポに泣かれずにすむ」
「あのクマさん?」
「あぁ、風邪を引いて今は船で寝てる」
「そうなんだ、そうだ!これも持って行って!!私の新曲が入ってる音貝!」
ウタは音貝を取り出してローに差し出した。ローはそれをありがたく貰った。
「ありがとう」
「喜んでくれると良いなぁ・・・ねぇ?あのクマさんってフワフワ?」
「あぁ、最高だ」
「良いなぁ〜」
「悪いがウチのクルー限定だ」
「えぇ〜・・・ガックシ」
ウタはパンケーキを食べながらそんな風にローと他愛もない話をしていて終わるとルフィを探しに行った。どうせまた肉を食べてるかと思ってあちこち見て回ると見つけて固まった。ルフィの隣にはレベッカがいて楽しそうに話をしていた。ウタはそれを見て胸にモヤモヤした感覚を覚えてルフィに近づいて行った。
「ルフィ・・・」
「ウ、ウタ・・・??」
突然やって来たウタに困惑したルフィ。するとウタはルフィの手を握った。顔は俯いたままで髪も下がっていた。するとルフィもウタに握り返した。
「あ、ルーシー無駄話しちゃってごめんね!私、お父さんの方に戻るよ!じゃあね!!」
「あ、あぁ!またな!!」
(ビックリした〜、ルーシーに春が来たんだ・・・お父さんにも言わないと!)
レベッカはルフィに春が来たことを父親のキュロスに伝える為に戻っていってその場にキュロスと腕相撲対決をしていたシャンクスがそれを聞いてまた泣いた。
ルフィとウタは何も話さないが、手をずっと握っていた。
「ルフィの手って暖かいね」
「ウタの手もあったけぇぞ」
「・・・暖かくて好きな手・・・」
「俺もウタの手、好きだ・・・」
2人はそう言い合うとお互いに目を合わせて笑い始めた。何故か理由は分からなかったが先程感じていたモヤモヤが無くなって暖かいものを感じていた。
「ルフィ、もっと楽しもう!」
「おう!」
2人はそのまま宴が終わるまでずっと手を繋いだまま楽しんだ。