モルガンス曰く「世界政府よりもCP0よりも恐ろしい物、いや者は確かにいた」後編
偉大なる航路を進む一隻の遊覧船、否海賊船「ゴーイングメリー号」
その甲板に一羽の鳥が降り立ったところから今回の騒動は始まった
「やーやー麦わらのルフィ先生!約束通り今回の売り上げを渡しに来ましたよ!」
ニコニコと作り笑いとやや高めの声であいさつをしたのは世界経済新聞社の社長、モルガンズである
彼は現在、諸事情(※)により長らく連載をストップしていた「ROMANCE DAWN」、その再開した最初の章「リトルガーデン編」、そして「ドラム王国編」を掲載した新聞達が歴代でもなかなかの大ヒットを打ちだしたことを記念し、菓子折り(というか肉)とともに売り上げを一味に私に来たところであった
「おっほー!!!肉!!!肉ー--!!!!」
「まて落ち着けルフィ!!それはモルガンズだ肉じゃねえ!!!!」
「やべぇ今のルフィは執筆疲れによるバーサーカー状態だ!!!モルガンズを逃がせー!!!」
「うっわまるで締め切り間近の内の会社みたいだ」
思わず遠い目をしそうになったモルガンズはスーッとルフィから距離を取り、甲板に置かれたチェアーに座っていた航海士への元へと向かった
「はい、ではこちらが約束の原稿料になります」
「ありがと♡今回も大盛況だったみたいね?」
「そりゃあもう!!七武海、サー・クロコダイルの失脚に加えてそのクロコダイルの手先に襲われる海賊団の冒険譚!!!伝説の巨人海賊団の2大船長の決闘に冬島に咲いた奇跡の桜!!!
あーもうなんで自分がそこにいなかったのかこれほどに悔しく思ったことはない!!!!キー!!!」
ジャーナリスト魂が燃えて原稿を読んだ後に現地の島に向かった彼が見た物、それはこの原稿に書かれた物語が現実のものである、という証拠に他ならなかった
火山の噴火を合図に殴り合う巨人、そして新たな王として祭り上げられたドルトンに取材による確固たるものとなったそれに、モルガンズの少年心が擽られた物だ
「ああ、それで例の「アラバスタ編」についてですが…」
「あー、今ちょっと行き詰ってるっていうか、その…」
珍しく歯切れ悪く目を逸らすナミに「おっ?」と目を光らせるモルガンズ
長年のジャーナリストとしての経験から、これは何かおもしろいことがあったな?と口を開こうとして
「小僧どもおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
突然海から飛び出してきた1人の老婆に遮られた
「うわあああああなんだあああああ?!?!?!」
「うわあああああ人魚の干物ゾンビの襲来だああああああああ!!!!!」
「何ぃ!?俺に任せろぉ!!!」
「って、あれ、ドクトリーヌ!?」
へ?という誰かの相槌とともに騒がしくなった船上が静かになった
そこに立っていたのはドラム王国で船長、コック、そして航海士を治療し、そしてこの船の船医となったトニー・トニー・チョッパーの師であるドクトリーヌこと「ドクター・くれは」が立っていたのだ
「お、おお!彼女が噂の!?
いやぁどうもどうもわたくし世界経済新聞社のモルガンズt「あんたか…」へ?」
ここぞとばかりに名刺を渡そうとしたモルガンズ、しかしその名刺は空を切り、
否 メスによって真っ二つになった
「あんたか、この私のことを「魔女のような老婆」とか新聞に載せやがったのはああああああ!!!!!」
「ひ、ひぃいいい!!!!????」
「やべぇ!?ドクトリーヌが怒ってる!?」
「まちなそこのゴム小僧!!!よくも私のことをバカにしてくれたねぇええええ!!!」
「ギャーーーーーー!!!!????」
数十分後、船中にメスやハサミなどの医療器具を刺しまくって暴れまわったドクターくれはによる書き直し命令により、単行本化された「ROMANCE DAWN ドラム王国編」におけるドクトリーヌは「年齢と見た目が釣り合ってない美女」として登場することとなった
それを読んだドクトリーヌは満足そうにワインの瓶を傾け、サクラ王国国王となったドルトンは苦笑いしたという噂があるが、モルガンズは珍しく目を逸らし取材に行くことを拒否したのであった