ミロクの考察と見解
なるほど…君たちの事情は大体把握した。
その上で短いながら私が考えた考察といこうはないか。
まずゼニスの人型化についてだがそのクリス=タブラ=ラーサとやらはとんでもない巨体だったそうじゃないか。
であれば目的の見当はつく。自身の小型化だ。お姫様が連れてきた…勝君だっけ?
先ほど見させてもらったが君はその実験体といった所だろうね。出力を落とさない小型化。その成果が君だ。
その上で更なる実験と別アプローチを並行して行ったのがお姫様の弟さんに施されたものだろうね。小型化と自らの能力の移植。もしくはその逆かもしれないがね。
彼らの使う呪文を見れば効率化によるコストダウンを重要視してたのは明白だ。
その効率化の一端が水晶の華とやらだろう。
全く恐ろしい事を考えるものだ。あらゆるものの漂白化し均一なものとするとはねぇ……これに掛かればどのような文明の力を持つモノでも全てが無色のマナと化す。恐らくはその混沌さ故にマナを生み出せない5色の者達でさえね……
そしてその均一化されたマナを効率よく使用出来る技術をアンノウンとゼニスに埋め込んだ。と言うわけだ。とことん何処まで均一で効率よく出来るかにしか興味がないようだね。私はこういった工業製品みたいなのは嫌いだなあ。
おっと話がズレた。それで戻せるかだって?
多分不可能ではないと思うよ?
どれだけ加工されてるかにもよるだろうけどね。少なくとも勝君のを見るにそこまで複雑ではないんじゃないかな?実際に診てみないと分からないけど
「と言う事で連れてきたぞ!」
「またあんたらか!人の事を巻き寿司みたいにして運ぶのはやめろ!」
じゃあ診てくよー。ふむ…フムフム。
まあ治そうと思えば治せるよ?
「本当か!やったぞリュウセイ!」
とりあえずこの子に施されてる加工は大きく分けて3つ。ゼニス化に必要な感情と思考の封印と肉体の圧縮。そして魂の適合阻害だ。
前者2つはそこまで治すのは難しくない。というか思考と感情の封印はとっくに解かれてる。ただ最後のは少し面倒だね。これを解いたら人格が歪むのは避けられない。
「なんじゃと!?」
そして、肉体の圧縮は適合阻害の下にあるからそれを解かないことには治せないね。
まあ有り体に言うとそれを外したら多分人格が女の子になっちゃうねー。
「それは困るんじゃが!?修羅丸は立派な男じゃぞ」
本人が耐えられれば良いけどそこは私ではどうにも出来ないからね。
まあ適合阻害も緩くなってきてるから何もしなくても解けるかもしれないけどその場合どうなるかは考えれば分かるよね?
とりあえず今日はもう帰りな。私はここに居るから覚悟が決まったらまた来なよ。
治すにせよ治さないにせよそれは君達が決める事だからね。ただあまり時間はないと思った方がいいよ。