ミミ フォグビートル
「ねえ、リリス。私が王女だったほんとなの?」
「ええ、本当ですよ。ミミ様…あなたは本当はこんな穴だらけ小屋ではなく、大きいお屋敷でキャロットティーを楽しんでるべき方なのですよ。」
「じゃあなんで私たちはここにいるの?」
「…それはですね、ミミ様。私たちが不甲斐なかったせいなんです。あの日…私たちの街が襲われた時に何もできなかったから…だから…女王様から託されたあなただけは守り抜かなければならないんです。なのに…こんな不自由で苦しい思いをさせてしまい申し訳ありません、ミミ様…」
「落ち着いて、リリス。私の今の暮らしを苦しいだなんて思ってないよ?だってリリスがいてくれるんだもん。ほとんど覚えていないようなお母様よりこの雪の中で抱きしめてくれるリリスのほうがずっと大事だよ?」
「ふふっ…そんなことを言ってはいけませんよ。あなたのお母様は本当に素晴らしい方だったんですから。でも…そう言っていただけて至極光栄です。」
--随分と懐かしい記憶だ。
私は小さい頃、リリスという女性と暮らしていた。
彼女曰く私は亡国の王女であり、自分はその王家に仕えていたメイドであったと、そして王家の血を絶やさんとする刺客たちから隠れているのだと。
…けどそんなことは正直どうでも良かった。
私にとって大事なのはリリスだけだった。
けどある日リリスは姿を消してしまった。
最後に泣きながら私に謝っていたのだけは覚えている。
理解できなかった。
あんなに優しかったリリスが私のことを置いていくなんて。
許せなかった。
ずっと一緒って言ってくれたのに裏切られて。
自分の手元にリリスの遺産という名で大金が送られてきた時、私はようやく理解した。
もうリリスが帰ってこないってのを、私は置いてかれたということを。
ようやく頭が冴えてくる。
自分はダンジョンで気を失って…そこから思い出せない。
他のみんなは無事なんだろうか…淫気に犯されたにも関わらず何故が何も感じない体を放って思考を続ける。
今いるのは何か巨大な木の上か?
手と足は自由だ。何かの樹液のようなもので覆われており、無事とは言えないがこれくらいなら問題ないだろう。
…周りからは悲鳴と喘ぎ声…そして甘い香りが漂っている。早めに移動したほうがいいかな?
そう思って体を動かそうとするが…足がピクリとも動かない。
というか身体全体の感覚がない。
不審に思って体の方に体を向ける。
ぽっかりと膨らんだお腹が目に入る。
「…え?な…に、これは?」
普通の妊婦の数倍近く膨らんだお腹に恐怖を抱きつつ目を凝らすと他の異常にも気づいてしまう。
胸は大きく膨らみ、時折り樹液に似た色の母乳を出している。
秘所には固まった樹液と思わしきものが詰め込まれており、お腹の中のものに出てこないように栓の役目を果たしていた。
感覚がなくなっているにも関わらず身体は感じ続けているらしく、よく見ると腰が常にヘコヘコとみっともなく動き続けている。
「…ハハハ、終わりじゃん。…やだ、いやだヨォォォォォ!!誰か…コン!ザラキ!ステラ!誰かいないの!?お願いだから助けてよお!!ヒッッ!?」
彼女の助けを聞きつけてフォグビートル達がよってくる。
そのままミミの腕に止まるとそと小さい体に見合わないほどの怪力で体ごと持ち上げ移動し始める。
「なっ…あなたたち離しなさい…よってえええ!?!?ちょっ…離さないで!落ちちゃう!!揺れてる!揺れてるからぁ!!」
抵抗も虚しく、フォグビートルたちに地下に生えている大木の上に連れてこられると木の上にあったウロらしきところに放り込まれる。
そこは生産場だった。
たくさんの女性たちが乱雑に詰め込まれ、皆が光のない目で時折り喘いでいる。
そこでミミはようやく気づいた。
身体が少しずつではあるが動かせるようになってきている。
そしてなんとなく理解した。
自分の体がすでに完全に手遅れなものになっているということを。
今はフォグビートルの麻痺毒によって自我を保っていられるがこれが解けたら、開発された時の快感をフィードバックされて確実に発狂するということも。
だからウロの中にあの日と変わらない姿で目をつぶって何かに耐えるように喘いでいるリリスを見つけた時迷わず行動できた。
少しずつ感覚の戻ってきた手足を必死に動かして彼女による。
「リ…リス?リリスなの?」
ゆっくりとリリスが目を開けると嬉しそうに、そして寂しそうに微笑みながら手を伸ばしてくる。
「ハハハ…ミミ様がいる。こんなところにいるはずがないのに…?」
伸ばした手がミミの体に触れた時、その笑顔が凍りつく。
「リリス!リリスよかった!もう絶対あなたを離さない!!もうどこにも行かせない!!」
「ミミ…様?本物の?なんで… どうして?じゃあ私は…何のためにこんなことを?」
「リリス!また私と一緒にお話したり、遊ぼ?私あなたがいなくなってからずっと…おびゃあああぁぁぁぁっ!?ぎゅぴぷぃぃぃっ!?!?」
「あっ…あ…なんで…こんなことに?」
「イギュッッッ、ほっ♡今度は逃がさないからね、リリス。イッッ♡」
フォグビートル達の住む木に新たな庭優秀な苗床ができた。
2人の女性が絡み合ってできたそれは片方が幸福に満ちたかのような安らかな表情で絡みつき、もう片方が絶望し切ったかの表情でなすがままにされている。
彼女達は優秀なモンスターをたくさん産みましたとさ。
めでたしてめでたし