ミネライバレンタイン
2月14日、そう今日の日はバレンタインデー。好いた相手にチョコレートを渡して思いの丈を伝える日。それはキヴォトスでも等しいことで、チョコが行き交う日である。そんな日にライはミネの部屋に呼び出された。
「珍しいな、私を私室に呼ぶだなんて。」
「要件はわかっているでしょう?貴方が今日が何の日か分かってない筈がないのですから……」
頭をポリポリかいて小っ恥ずかしいそうにライが口を開く。
「随分と卑しくなったな……分かってるよ、ちゃんと準備――」
「違います!!」
顔を真っ赤にし、思わず机を叩いてミネが抗議する。
「私が……その……渡すんです。」
「……なるほどね、早とちりした訳だ。ただ、そのなんだ。私も持ってきたからさ、交換して一緒に食べないか?」
「……」
双方顔を赤らめて視線を逸らすことしか出来ない。そんなミネがゆっくりとチョコを掴んだ手を伸ばし、その指に絡めながらチョコをライの手中に収める。ミネの滑らかで少し暖かい指が手の中に収まっているのが伝わる。
「……くれたなら、返さなきゃならないだろ。」
今度は逆にライがチョコを渡す、先のミネと違い普通に袋を渡すだけだった。がしかし、ミネがそれを受け取ってすぐにライはミネに抱きついた。
「……ッ!」
ミネは言葉にならない音を吐く、そんな事をお構い無しにライは唇を触れ合わせる。ただ恥ずかしさが勝ってすぐに離してしまった。
「今日の所は解散しましょう……」
「そうだな……」
帰路の中でもたった数瞬の唇の感覚は鮮明に残っていた。