ミチカケル/五日目

ミチカケル/五日目


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五日目。

 とうとう本番だ。朝食は昨日の夕食と同じく軽く済ませる。

 今日はどうしよっかーなんていってると、ちょっと準備を済ませた後本番を開始するとのこと。

 なんだ、やっぱりルフィも我慢できなかったんだ。そうだとすると今日一日使うことになりそう。いいよ、全部受け止めてあげるね、ルフィ。

 そうして最後の準備に入る。なんでも集中するために誰かから連絡が来るものとかそういうのを使えない状況を作るのだとか。

 部屋は元々静かな場所にあったけど、どこからもってきたのか防音材だか暗幕だかなんだかわかんないもの用意してたのはそういうことか。

 準備も終わり、待ちに待った本番開始。……とはいっても濡らしたり勃起したりしなければ何も始まらないので、五回目の今も昨日まで見たいに性器に触らないようにしてお互いを高めあっていく。

 今回はその先があるため、ルフィも昨日みたいに一方的に攻めるつもりはなくお互いの反応を確かめ合うようにゆっくり、じっくりと愛撫を続けていく。

 私も十分に濡れた頃、当然ルフィは最大限に勃起していた。四日分以上凝縮されているであろうルフィのソレは、心なしか記憶にあるのより大きく見えた。

 い、いやいやそんな数日で大きさが変わるわけ……うん、元々ルフィのはおっきかったし、久しぶりだから見間違いだよきっと。

 挿入を確認する旨の問いかけをルフィがし、私がいいよと答えるとルフィが入ってくる。

 一気に突き込まず、じりじりと焦らすように進んでくる。

 あれ? ちょっとまって? やっぱりこれ普段よりおっき……いや、数日とはいえしばらくしてなかったからまだちょっと馴染んでないだけだ。たぶん、きっと。そうにちがいない。

 押し広げられる感覚に少し息を荒くしながらも全部受け入れる。あはは、ホラはいった。やっぱり色々と記憶違いだったんだ。

 それじゃあさっそく……ルフィが動くかな? それとも、最初から私が搾り取っちゃう? どっちにしろルフィがもう出ないって言うまで……そう考えていたがルフィは動かない。

 ふうん? 私に動いてほしいんだぁ……と思って動こうとしたが、ルフィが私の腰をがっしりととらえていてこれでは動けない。

 これもプレイの一環で、しばらく動かずにお互いの感覚に集中するというのだ。

 むうう……そう言われては動いてとも私が動くとも言えない。まあいいや、動くことが解禁されたら思いっきり……何度も何度もルフィへの奉仕をルフィ自身に待てをされてるんだから、ほんとにもう覚悟してよね。

 ルフィはどれくらいこうしているか言ってなかったけど、まあそのうち根を上げるだろう。

 このプレイが始まってから意識することが少なくなった、快感を感じない私のこの体は癪だけれど、こういう静かな我慢比べみたいな状況なら断然私が有利なのだ。……まあ、欠点が多すぎるのでこの利点だけでチャラになんてできないのだけど。

 触れているところから感じるルフィの温もりや鼓動。互いの息遣い。

 ルフィが中に入っている感覚も鮮明だ。鼓動に合わせた脈付きなのか、ルフィがわざとそうしてるのかわからないけどピクピクしてるのもわかる。

 私の方はというと自分でそうしてるつもりはないけど時折ルフィを締め付けるように収縮してしまう。

 ううーん、この状況は悪くないというか、心地いいから良くはあるんだけどやっぱり動くなり動いてもらうなりしてルフィに気持ちよく射精してもらいたい。なんだかもどかしい。

 そうして何分? 何十分? 静かな部屋だと意外と時計の音も気になるので止めてしまったし、陽の光を入れないようにしてあるのでそれによる時間経過もわからない。とにかく挿入してから時間が経った頃、私に変化が訪れたのだ。

 体の奥底から疼くようなナニカが全身にはい回ってくる。激しく動いてないのに息が少し荒い。暑く感じるのは実際体温が上がってるからだと思う。

 この状態になってもルフィは私の腰をホールドし続けており動かないし動けない。そうこうするうちに私の息はますます荒くなり、はっはっと激しく息を吐いている。ああもう、ルフィ動いてよ……それがだめなら手を放して私に動かさせて。今私にはいってるソレをもっと私に感じさせてよ。

 なんだかそれを言ったら終わってしまうような、決定的な何かが変わってしまう気がして言えなくて、でも何も言わないという事も出来ず、ねえ……ルフィ、そろそろ……なんて曖昧に声をかけるしかできなかった。

 それでもルフィは動かないし手を離さない。わりぃ、もうちょっとかかるんだ。なんて言って。

 我慢する。我慢する。我慢する。ルフィと久しぶりに深くつながってるんだからルフィに気持ちよくなってもらいたいから我慢する。私の欲求だけでスルわけにはいかないそれではルフィの為にならない。だから我慢。我慢、する……。

 じわじわと広がり強さを増す焦燥感にも似たそれを、ルフィが望むからと必死に我慢する。

 気分はまるで待てをされた犬だ。いや、実際待てをされているし、息を荒げた私は大きく呼吸をするように口を開いている。だって、このほうが楽なんだもの。

 いったいいつからこうしてるのだろうか。もしかしてこのまま一日おわってしまうんじゃないだろうか。

 それほど時間は経ってないハズと考える冷静な自分と、これだけどろどろぐちゃぐちゃなあたまになってるんだからじかんなんていみないよなんて考えるじぶんがまざりあって――唐突にその瞬間は来た。

 何かの頃合いが来たとルフィが判断したのか、ウタ、動くぞ。と私が待ち望んでいた言葉を口にして、私が思い描いていたのとは真逆でゆっくりと動かしてきた。

 動かされた瞬間変な声が私から出た。完全に予想外だったので、思わず口を押えてルフィの顔を見つめるが、どうしたんだ?という表情だったので変な声は聞こえてなかったようだ。びっくりした、なんだったんだろう今のは。

 そうしてゆっくり、ゆっくりとルフィが動いていく。依然として私からは動けない。というより、未知の感覚が全身にゾワゾワと広がっていて、おそらく動いていいといわれても集中できなかったと思う。激しい動きではないものの、ルフィが動いれ暮れている今の状況は有り難かった。

 ごめんねルフィ、この変な感覚が抜けるか慣れるかしたら私がしてあげるから。

 そう思いながらじっくりと私の中を動くルフィを感じ、体を巡る感覚を意識し、またいくらか時間が経った頃。

 ずっとゾクゾクゾワゾワと不確かながらも私の身体をはい回っていた感覚がなにか形を成そうとしていた。なにこれ……。

 さすがにそれなりの時間ずっと苛まされてきた感覚が明らかに今まで以上のナニカに変化しようとしているのを感じて、ルフィに訴える。

 何か変だから一回止めよう。落ち着いたら今度は私が動くから。だから抜いて、と。

 でもルフィはそれを受け入れてくれなかった。大丈夫だから、その感覚に身を委ねてみてくれと、私の頭を撫でながら。

 いくらルフィのお願いでもそれはちょっと戸惑われた。こうした短い会話の中でもどんどんと何かが膨れ上がって来てるし、なにか、本当になにか変わってしまいそうで怖いし、ルフィが静かな声で慰めてくれてあたまをなでてくれるのは安心できるけどやっぱりこわっ……!?

 あっ……くっ……なに、これ……ヤっ、やだ。なんか、おか、おかしひっ……わたし、おかしい……こわい。たすけてルフィ。

 大きくなり続けていた何かがはじけるような感覚と共に、自分の体ではないようにビクビクと震える。これまでの人生で経験したことのない強烈な感覚に感情が乱され、ルフィに手を伸ばす。

 私が消えてなくならないように、しっかりと抱きしめてほしい。私を繋ぎ止めていてほしい。

 伸ばした手はルフィの手で掴まれ少し安堵するが、抱きしめられてないので完全に不安が消えたわけじゃない。寂しい……そう思う間もなくルフィに引き寄せられ、こんどは全身をしっかりと抱きしめられようやく言いようもない不安感は消えた。

 それでも先程自身に起きたのはなんなのか不安で、ルフィに聞いてしまう。さっきの私はなにか変だったと。実際今もさっきほど大きくはないが、似たような感覚が体にのこって渦巻いている。

 この状態が続けばいよいよ本当におかしくなってしまうのではないかと考えてもおかしくはないと思う。

 だから、改めて今日はいったん中止にしていつもの私に戻ったらたくさんしてあげると訴えるもまたもや却下された。

 さっき私に起きたのは誰にでも起きる普通の事だと。ししし、俺の手でウタをイカせることができたんだ、と。

 イッた? 私が? さっきのがその感覚だったの?

 いやまって。そのことに言及するってことはルフィはもしかして……知って、た……???

 ルフィ、もしかして知ってるの!?と問い詰めようとした言葉は言い出す前に唇を塞がれてしまう。

 あ、やば……また、さっきのがく、る……!

 声を出そうにも塞がれているため、んーとかむーとかうめき声のようなものにしかならない。唇と膣と両方からくる感覚は、不慣れな私には刺激が強すぎる。

 ルフィに問いかける気力などぐずぐずに溶かされた私に耳元で、ルフィが答える。

 私がずっと悩んでいたのは知っていたと。

 私が一度も絶頂したことがないこともしっていたと、自分がへたくそだから私を満足させられていないではないか、と。

 ルフィは下手なんかじゃないと反論するが、わりぃ、もう少し俺の話を聞いてほしいといわれ、私は黙ることにした。……続きを聞くのが怖いけど、聞くしかない。あのことに触れられ、最悪の結末を通告されても、しかたがない。そうしかたがないのだ。

 男としてのテクニックを独自に調べるうちに、不感症について知ったこと。

 "不感症"。その言葉が聞こえた瞬間ビクリと体が震える。心臓の鼓動も早まった気がする。抱き合った形だからルフィにも通じたのだろう。

 それにによって察したというか確信したという感じでそうか……と呟いた。ああ、だめだやっぱりここでおわるんだ。

  大丈夫、大丈夫だ。安心してくれと、背中をさすり温もりをくれるかのように優しく抱きしめてくれるルフィに、恥知らずにも私は安心感を感じて身を委ねていた。

 知られたからにはルフィから離れなければいけないのに。そんな私の暗い思考を断ち切るように、こちらを向いてくれというようにルフィが言葉を紡ぎだす。

 知ってからはそのことについて私がルフィに言わないようにしていた事も気づいたこと、デリケートな問題だから自分から踏み込んでは私を傷つけてしまうとあえて触れないようにしていた事、口や胸等でする回数が増えたのは嬉しさもあったが滅私的な感じもして私が無理してるんじゃないかと心配だったこと、あの日……私に絡んできた男達の下卑た台詞に激昂してボコボコにしたかったがそれよりも私の事が心配で安心させることを優先したこと、自分から聞くことはできないけど解決できそうなことがあるならそうとは気づかせず実行しようと決意したこと。

 そうした色んなことを切々と語るルフィ。

 知っていた、知られていた。そうとは知らずに、その可能性を思い描きながらルフィには気づかれないとたかをくくっていた、賤しいニンゲンは、私。

 ルフィ、ごめん。ごめんなさい。ずっと黙ってて、貴方を騙しててごめんなさい。やっぱり、こんな女はルフィに相応しくないよね? 嫌いだったよね? ごめんなさい……

 そうして訴える私の言葉を、ルフィは遮ることなく聞き続けていた。最後まで言い切った後、いや、大事な別れの言葉を告げていない。私から言わなければ、罪を犯した私の最後にできる贖罪。

 ごめんね! 本当に、今までありがとう! 幸せだったよ。だから、お別れしなきゃ。私じゃ、ルフィに相応しくないから。

 その台詞は最初の一文字すら言えなかった。私が謝罪を吐露したときは黙って聞いていてくれたのに、なんで? 最後の贖罪すらさせてくれないの? それが、謝る事すら許されないのがふさわしい罰なの? それならば、受け入れるしかない。謝って済むのは私の気持ちだけ。ルフィが望んでいないのなら、謝ることもしてはいけない。

 深い絶望と、ルフィの求める罰ならばそのほうが罰としてふさわしいと考えている私が予想だにしていない言葉を、またもやルフィが紡いでいく。一言一言、聞き漏らさないでほしいと、私に届いて、理解してほしいというように。

 俺が、ウタを嫌いになる事なんかねぇよ。ウタがずっと悩みを一人で抱えて苦しんで、自分で自分を追い詰めて心がいっぱいいっぱいだったのもわかってたから、気持ちを吐き出してもらうためにさっきたくさん謝ってたのは聞いていたんだ。でも、その後はダメだ。

 もう一度言う。俺はウタを嫌いにならねえ。好きな奴が風邪ひいたり他人とちょこっとだけ違うところがあるってだけで嫌いになる奴がいるか? いるわけねえし、いたら俺はそんなの好きとは認めねえ。

 俺はウタが好きだ、愛してる。そして、ウタに好きだといってもらいたいし、愛してもらいたい。

 他の奴じゃダメなんだ。ウタじゃなきゃダメなんだ。ウタ以外の奴となんて考えられないし、ウタが他の奴になんてもっと嫌だ。だから――

 そこまで言って一度言葉を区切り、私の顔を正面に見据えて、目をまっすぐに見つめて。

 だから、これからも俺と一緒に居てほしい。そりゃあ……大切な人同士でも言いづらいことはあるからなんでもかんでも言ってほしいなんてワガママはいえねえ。でも、最後には二人で解決して笑顔になって……。

 お互いしわくちゃのばーちゃんじーたんになっても散歩したり、日向ぼっこしてお茶飲んだりしたい。してほしいんだ。

 ……俺の気持ちは伝えた、ウタはどうしたいんだ? 俺の事が嫌いなら、嫌いって言ってくれ。大好きなウタの嫌がることはしたくないから。

 そうして、全てを言い終えたというかのようにルフィはだまり、じっと私の目を見て返事を待っている。

 わ、わたし私は……。

 る、ルフィにずっと隠し事をしていた!

 さっきもいったけど、大切な人に言いたくねえことはあるから気にしてないし、気にすんな。

 快楽を感じてるかのように演技してずっと騙していた!

 ウタなりに俺の事を考えてしてくれたことだ、騙してたわけじゃねえ。

 ルフィを、信じてっいる、ハズなのに! きら、嫌われるって、怖っくて、信じ、切れずに……。

 俺はどんなことがあってもウタを嫌いになることはねえ。ずっと好きだ。ししし、これだけは誰にも負ける気はねえぞ!

 私は抱えていた気持ちをぶつける、ルフィに失望され、拒絶され、嫌われると思っていた想いを。

 それを一つ一つルフィは否定し、安心しろと言外に強く訴えてくる。

 最後にはしゃくりあげるように、貴方を信じられなかったと、信じていなかったんだと告白してもなお、私の事を好きだといってくれている。

 そのまっすぐな気持ちに、私は泣きながら告白する。

 私だって! 私だってルフィの事が好き、大好き! 愛してる!

 ルフィに好きだって言ってもらいたいし、愛してもらいたい!

 穏やかな日常も、賑やかなデートも、ルフィと肌を重ねるのもルフィを感じられるしなにより暖かくて好き!

 しわしわのおじいちゃんとおばあちゃんになっても一緒に散歩して、お日様の当たる場所でゆっくりお話しできるくらいずっと一緒に居たい!!

 でも、でも……私の身体は欠陥があって、そんな、私じゃ……るふぃの、そばには……ゔっ……うああああ!

 ずっとずっと、心の奥底に抱えていて大切な人に、大切な人だからこそ言えなかった気持ちを吐き出す。

 最後には堪えきれず溢れた嗚咽で言い切れなかったが、ルフィは私を抱きしめて背中をさすってくれた。

 そうして溢れ出した気持ちと涙と嗚咽とを、ルフィは私が落ち着くまで受け止めてくれた。

 大丈夫、大丈夫。俺はここにいる、ウタの隣にいる。ここにいるからと、私をあやして安心させるように励ましてくれた。

 ようやく私が落ち着いたころには、ルフィの体は私の涙やら何やらでびちゃびちゃで、ルフィがそんな状態になるくらいだから当然私の顔も酷いことになっていて。

 ルフィはいつ用意していたのか、ウェットティッシュで私の顔を拭いてくれている。様々な気持ちを一気に吐き出して色々と力が抜けている私は黙ってされるがままだ。こんな時でもルフィの手は優しく私の顔を拭いていく。

 だんだん恥ずかしくなってきたので、私の顔を拭き終わって自分の体を拭こうとしたルフィからウェットティッシュを奪い取り、ルフィだけズルイ、ルフィのは私がやる。と告げると、わかった、頼む。と両手を広げて構えた。

 私もルフィのたくましい体を慈しむように、労わるように拭いていく。……我ながらよく泣いたものだと思う。感情の振れ幅が大きすぎて今は凪いでるかのように冷静だ。

 私の流した涙、や、その、ハナミズ、とかは結構な量で、ルフィの大きい体を拭くのに必要な分以上のウェットティッシュを消費した。……ゴメンナサイ。

 そうしてお互いを拭き終わった後少々の沈黙が流れる。私はルフィが何かを言うと思っていたし、ルフィはきっと私が続きを言うと思っていたのだろう。

 その一瞬の沈黙を先に破ったのは、ルフィだった。

 んでよ! さっきウタがいってた問題は全部問題じゃなかったし、想いも一緒だっての分かったしよ! その……別れるとか離れるとか、いうのはやめてくれよ?

 もし言われてもウタの本心じゃねえ場合は納得しねーしあきらめねーけど! なんて言ってきた。

 いや、ちょっとまって? 全部問題じゃなかったって、私は濡れはするけど性的な快楽を感じないって……。

 そう言いかける私に、ルフィはあっけらかんとした様子で答える。

 イヤ、だってさっきおまえ、イケたじゃん。

 は? はあああああ!? あっ、そうだ私あの時今まで感じたことない感覚が広まって強くなって、なんかヘンになったんだった!

 え、いやちょっとまって? いや確かにあの直後にルフィがそんなこと言ってた気がするけど、そのあと気が動転したり色々言われたり言ったりしてすっかり忘れていたけど!

 へええぇぇ……あの感じがそう、なのか。……へえぇ~。ん? ってことは……。

 ねえルフィ、あの時、その……イケたってことはさ。その前のなんかこう、ゾワゾワーとか、ゾクゾクッてした感じあったんだけどさ、それって……?

 おう、きっとそれが性的な快楽ってやつじゃねーかな! 男と女では感じ方が違うってあったから、俺にはない感覚だとは思うからわかんねーけど!!

 ちょ、そこは断言してほしかったなあ~……。いやでも、改めて思い返して意識してみるとそうなのだろうなという実感がある。そう、思い返し……。かえ、し……!?

 うわああああああ!なんだか今さらながらにすごい恥ずかしい!? あ゛ーーーーーー!!

 一気にマックスまでいった羞恥心が暴走するそのままに、枕をひっつかんでぼふぼふとルフィを殴る。

 突然の私の奇行にルフィは面食らいながらも止めようと、どうしたんだよウターなどとのたまっている。う、煩い五月蠅いウルサイうるさーーーーい!!

 ルフィのエッチ! 変態! スケコマシ! 女たらし!

 ルフィからしたらとんでもない言いがかりだろう。実際ええぇ……って顔で困惑してる。私も理不尽だとわかってるけど、突如爆発した羞恥心の前には論理的な言動など不可能なのだ。

 そうしてしばらく枕を武器にワルイ男を懲らしめて満足した私に、ルフィが笑いかける。にしし、落ち着いたか? なんて言ってさ。ほんと、普段は子供っぽいところもあるのにふとしたことで大人っぽく余裕ある振る舞いするんだから……。

 感情も体も一頻り暴れさせて落ち着いたので、まくらでボコボコにしてごめんねルフィ。と謝罪する。ししし、気にしてないぞ! とまたもや余裕だ。おのれ、ルフィのくせに生意気な……生意気にかっこいいじゃないの……。

 また奇妙な沈黙が降りるが、またもやルフィに先手を取られてしまった。

 んでよ! ウタが気にしてたことはもうなくなったんだし……その、再開、しないか? と。

 あー。えっと、そうか。もう普通にできるのか。そっかそっか。

 当然これまでの問答でとっくに膣から抜けてるし、多少はまだ濡れているが挿入するとなるともうちょっと濡らいしたいなーってレベルだし、なによりルフィの勃起はほぼ収まっていた。連日抜いていないのだからまだ勃起しててもおかしくはないはずなのだが、もしかして意志でコントロールを? いやいやまさかね。そんなまさかまさか。

 しかし、改めてルフィに正面からヤりたいといわれ、見つめ合ったまま答えるのはなんというか……は、恥ずかしすぎる……! またもや羞恥心に乗っ取られそうになるが、ぐっとこらえる。まてまて、ここでまた暴走してはそれこそルフィに申し訳ない。

 ちょ、ちょっと待って! とルフィに待ったをかけて、後ろを向いてスーハ―スーハ―と深呼吸で息を整える。

 ……ふう。うん、私はこれからルフィと、する。ルフィのおかげで普通に戻れた私を、ルフィに抱いてもらえる。

 まだネガティブな思考が出てきてしまうが、私のこれまで過ごした人生の中では短い期間だったとはいえ、濃密に絡みついてきた問題と気持ちなのだ。そうそう簡単には変わらないのだろう。

 でも、と。驚くほどすんなりと、あっさりと気持ちを切り替えられた。これも、ルフィによって救われたからだろう。

 よ、よし。ルフィに、返事をする。抱いてほしいと、これまでの埋め合わせに……ううん、埋め合わせとか関係ない。めいっぱい愛してほしい、私もめいっぱい愛したいと伝えるのだ。

 意を決してルフィにギュルッと向き直る。急な回転にルフィはびっくりしてるが気にしない。勢いが大事だ。行け! 私!

 ……あー、その。ルフィ、えっとね?

 だあああああ何日和ってんだ私ーーーーー! 言えーーーーー!! 言うのよーーーーー!!!

 ……ん、んん゛っ。その、まだアノ感覚に慣れていないと思うから、優しくシテ、ね?

 ……ふうっ、言った。言えた。偉いぞ私。脳内シミュレートとは少々異なるが、シテほしいと伝えたのは事実だ。ミッションコンプリート。何も問題ない。そう思っていたのだが……ガッシとルフィに両肩を掴まれる。

 痛くはない。いつだってルフィは私を傷つけないように力加減をしてくれているのだから。

 でも、なんだろう? この肩掴みからは逃げられない感じがするというか、ルフィからなにかオーラというか決意を感じるというか……あれ、なんかヤバクない? 私。

 困惑しているとルフィが重々しく口を開く。何か、暴れだしそうになるのを堪えるようなそんな雰囲気を纏いながら。

 ウタ、さっきの台詞は、卑怯だぞ……。と

 へぇあ!? 何が!? なんで!? 何が卑怯なの!? そう混乱するが、卑怯だといわれたのでとっさにあの言葉が口からついて出てくる。

 え、えへ? ま、負け惜しみぃ~にゃ゛っ!?

 言い終わるか終わらないかという刹那、ルフィに押し倒された。

 まさに電光石火。有無を言わさぬ速度で圧し掛かられる。こんな速度でもやはり私が痛がるような強さでない。

 なんかルフィから感じたことのない圧力を感じながらもそこはかわらないので安心していると……。

 悪ぃウタ。多分、手加減できねえ。もしかしたら途中から辛いかもしんないけど、俺ももう辛いんだ。覚悟してくれよ……。

 そういってキスをされる。しょっぱなからディープキスだ。

 あ、ヤバ。これだけで凄い気持ちい。なにこれ、これがそうなの!? まだ挿入どころか、胸とかアソコとかまだ全然弄られてないんですけど!?

 そんな私を見てああそうだったとルフィがこともなげに告げる。

 これまでの四日間は感度を上げていく準備段階で、積み重ねていくことで体と心を敏感にしていくものだったのだと。

 五日目の本番も、普通のセックスのように強い刺激を与えるのではなく、じっくりと、深く味わうようにゆっくりやって、積み上げた快感をさらに押し上げる効果があったのだと。

 え、ちょっとまってそれってもしかしてさ?

 だから、ウタの体は今もすっげー敏感になったままだから、大丈夫。安心してくれ。

 そうニカッって笑うルフィ。いやいやいやいやちょっとまって!? 安心できない、それ、全然安心できないって!

 私、今日初めて快感ってこうなんだってわかったばっかなんだよ? それをルフィに手加減抜きでされたらおかしくなるって! いや、ちょ、ダメやめ……んあっ!

 胸を触られただけで自分の意志とは関係なく声が出る。ああそうか、これが喘ぎ声って奴か、自分の声じゃないみたいだーなんて現実逃避する私帰ってこい! いやむしろ今すぐ私と意識をとりかえろ! 私が代わりに逃げる! 逃げさせて!

 今日初めて認識できた快感への期待と、どこまでこの感覚が大きくなるのかそれに耐えられるのかという不安、それらを塗りつぶすかのように走る快楽が私の中で渦巻いてる。

 胸を攻めていたルフィがその手を下げ、お腹、お臍となぞっていく……やだ、体っが、はね、る……。

 そうしてルフィが私の膣に指を入れ……グチュリと明らかに準備ができている音と感触がした。

 いやいやいやいや。うそ、嘘でしょう!? キスされて、胸をいじられて、そこから皮膚を伝って、アソコに触られただけでしょ?

 なんで一週間前ルフィとしたときの前戯かそれ以上かもしれない濡れ方してんの!? 積み重ねて敏感にするっていっても、おかしいでしょう!?

 ね、ねえルフィ。シテ、っていったけど、やっぱなんかコレ異常に敏感になってるっぽいし、やめようっていうか、ちょっと間をおかない?ほ、ほら始めたときは昼間だったし、まだ夕方にもなってないから夜にで――も゛っ……ぉ゛……。

 私の必死の懇願も虚しく、ルフィは深く突き入れてきた。それだけで最初に感じたあの大きな感覚を上回るナニカが弾ける。

 ……ゃ、あ……うそ、ウソ。こんなの……しらに゛ゃっ!?

 いれられただけでこんなになるなんてウソだ。認められなくて、思わず声に出す。するとズルルルルとルフィが抜けきる寸前まで引き抜く。突き入れられた時ほど強くはないが、中をこする感触にまたもや強烈な快楽が生じる。

 そして、ピタリと動きとおめたルフィが再度謝り、処刑宣告にも等しい言葉を発する。

 悪ぃ、ウタ。さっきもいったけど、ほんと、手加減できそうにねえ。ウタが、ウタがそんなに可愛い反応するから、愛したくて愛したくて、我慢できそうにねえ。

 私の身体がゾクリと震えたのは見たことのない肉欲にぎらつくルフィの雰囲気に臆したからだろうか。

 それとも、このままルフィに抱かれ続けたらどうにかなってしまうんじゃないかという恐怖?

 あるいは、めいっぱい愛してくれるという宣言に歓喜したから?

 もしくは、この後襲い来るであろう快楽の波に期待して?

 きっとそのどれもが一つだけでは不正解で、全部が全部正解なのだろう。

 ルフィも私も、息が荒くなっている。これから始まるのは、きっと人同士の優しい交わりではなく、本能のままに貪る獣同士のまぐわいだ。

 ルフィが手の位置をかえ、体重をかけやすいようにする。

 ああ、くる、来る、クルっぁ゛……

 いつ来るかいつ来るか待ち構えていても、そんな心構えは無駄だった。

 深く強くたたきつけられたその一刺しで私の意識は飛びかける。

 完全に飛ばなかったのは耐えたとかではなく、ルフィがピストンを開始したため続けて襲い来る快感に意識を引き戻されたからだ。

 はぁ゛っ、あ゛がっ、ま、だ、めへっ、ま゛っへ、ま゛っで! つよ、イ゛! ごれ゛、ギヅッイ゛ィ!?

 今日は何度これまでの人生での初めてを体験しているのだろうか。

 突かれる度に襲ってくる凶悪な快楽と、リズムに合わせて刻まれた言葉が私の口から漏れ出る。

 嬌声というにはいささか艶の欠ける声。

 待って止めてと懇願してもルフィはとまらない。それどころか、硬さも熱さも大きさも増してる気がする。

 まって、ほんとにまって。この感じは、ルフィがいつも私の中に射精する時の――。

 快感を認識できない時でも、中に出されたときはルフィが私で気持ちよくなった証として精神的な満足感を得られていた。

 それを、こんな、体がこんなになってて、心に抱えていた暗い気持ちもルフィが晴らしてくれた、こんな状態で出されたら――。

 ィヤ゛ッ!ダッ……メ゛エ゛ェ……イッマ゛ッ、ダヘ、ナ゛カッ、にひっ、だサ、だざレっ、たら゛、おかっ、オかひッぐっ!? おがひぐ、な゛る゛ぅ……くる、っるぅ、ぢゃぁう゛……!?

 ゴリゴリ、ゴチュゴチュ、グチュグチュ。

 ルフィは動き続け、私の中を行き来してして二人分の卑猥な水音を奏でている。

 今も強烈な快楽と共に明滅する意識を必死に保ちながらルフィに訴える。どこか冷静な部分の私が言っても無駄だと囁いてるが、わかっていても言わずにはいられない。

 ほんとに、マズイ。この先に行くのだとしても、もうちょっと普通の快感になれて経験を積んでからじゃないとダメなる。ダメにされちゃう。誰に? ――ルフィに。

 ……ゥア゛ッ!? アくっ、カッ……う゛あ゛ぁ……

 ルフィに何もかも塗り替えられると思い至った瞬間私はイっていた。ピストンによる快楽の後押しがあったとはいえ、もはやルフィに愛されているという思考だけで私は快感の波に強く押し上げられてしまっていた。

 ァ゛ヒュッ、ひぐっ、ふっ、うっ、はっ、はぁー、はっ、ひっ……

 ルフィの動きが止まる。私の呼吸音がおかしくなってたので、心配して止まってくれたのだろう。

 でも、動きが止まっても、必死で呼吸を整えてる間も、整え終わっても中で感じるルフィの存在に快楽は一向に衰えない。

 私の呼吸が安定したのを確認できたのか、ルフィが動きを再開する。

 これまで以上に力強く、速く。奥の奥まで突き入れだすと決意するかのように。

 アお゛っ、ごっぉ……おぐっ……っっふっ、あ゛?あ゛っ!?

 もはや私の口から出るのは人の言葉を成していなかった。

 これから襲い来る快感を、満たされる幸福感を、際限なく更新されていく快楽に、ルフィに抱きかかられ、全てを彼に差し出し託すように脱力して寄りかかる。

 否、脱力ではない。指一本も自分の意志では動かせないほどに私の身体はルフィからもたらされる快感に支配されている。

 既に体と心と頭その全てでその時をいまかいまかと待ち続けている。

 そうして、ルフィがッウタ……!ウタ!ウタァ……!と叫ぶように、懇願するように何度も私の名前を呼ぶと同時に、ルフィが射精した。それと同時に私も絶頂する。今までの日で七位くらいの快楽と共に。

 ……ァッ……ァ゛ッ……ぅっ……んっ……ふっぅ……あっ……

 ルフィの射精のリズムに合わせて声が漏れる。下腹から感じる熱と圧力に押されるかのように肺から空気が漏れだすような、絞り出されるような微かな吐息。

 獣じみた嬌声すらだせなくなるほど、私はもっていかれていた。

 五日間の我慢、私をイカせられるようになった充実感、その私との、本当のセックス。実際にルフィの手で乱れに乱れる私。

 その全てがルフィの興奮材料となり、その高まった興奮を象徴するかのように1回目の射精は長く長く、そして大量に私に注がれ続けている。

 その間ルフィは私を逃さない、一滴たりとも余さず注ぎこむという意思を籠めるかのように強く強く抱きしめ、なおも深く尽きれようと腰を押し上げ、私を下に降ろそうとする。

 どれほどの時間射精していたのか、収まりきらず溢れたモノが結合部からあふれ私達をどろどろと汚していくが、それにかまうことなくルフィは私を抱き留め続け、私はルフィに溶けるように委ねていた。

 そうして出し終わる事には私はもはやかけらもうめき声を出せず、ピクピクと震えているだけだった。

 幸い呼吸は止まっておらず、微かながらも呼吸音がしているのが聞き取れる。

 色々と危なかったが、ルフィも射精したし終わった。これ以上は本当に無理だ、体力的にも気力的にも。

 ルフィもそうなのか、一度引き抜いてくれた。

 快楽の余韻が残るこの体は引き抜かれる時も、引き抜かれて私の中にあふれた精子があふれ出る時も感じていたが、それでも終わりは終わりだ。

 今日はもうこのまま寝よう。明日、ゆっくり暖かいお風呂に入って体をほぐして、意識してない色んな声が出た喉もチェックしてケアしなきゃ。

 気怠い中そう考えていると、衝撃が私を襲った。

 ゴヂュリと、ルフィのモノが私の体内に収まっている。

 思考が追い付かないのか、あれ? なんではいってるの? さっきだしたよね? もうおわりじゃないの??? なんて呑気に考えているが、動き出したルフィに現実に引き戻される。

 ヤ゛っ、なンッ!? ナン゛っ、デエ゛ッ!? さっ、っぎぃ だし、だ、だし、しぃ……!

 さっき出したのに。終わったはずなのに。なんで。

 そうした疑問を必死に叫ぶが、返ってきた現実は残酷なものだった。

 手、加減っ、でき、ねえっ! って! イッ、た! だろ……!

 そうだった。なんで私は一回で終わると思っていたのだろう。

 以前からルフィは回数をこなせていた。だから私も楽しくてあれこれできることを覚えて、ときには一日リードを握ってルフィから搾りつくすこともあったのだ。

 今のルフィは、溜めに溜めた状態だ。以前の回数と同等以上できると考えてもおかしくない。

 その現実を認識できなくて、いや、認識しているけど認めたくなくて、イヤイヤをする。

 ヤッ、ヤッら゛ぁっ! もっ、お゛っム゛リ゛ィ! きょっ!? っは、もぅ゛! ゥリ゛ィア゛お゛っごぉっ……ひっ、しひっ、ひぬっうっうぅ! ひんじゃっ、じんじゃう゛ぅぅ……

 本当に脳が焼き切れて死ぬんじゃないかと思うほど明滅して頭を塗りつぶす端からまた塗りつぶし返される。

 ああ、でも。

 ルフィに救われて、ここまで愛されて、気持ちよくされて。

 それでしんじゃうなら もう どうでも いい かも えへへへへへぇ へへはひはふへへへ

 はひっははっひひへへ。と、狂ったような笑い声をあげる私を見下ろし見つめる私と目があった気がして、そうして私の意識は完全な闇に飲まれた――。

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