マーリン完堕ちss
「…うん。どうかな旦那様、私の衣装は」
月明かりに照らされた純白のドレスをたなびかせ、マーリンが目の前の少年に問う。
その絶世の花のような微笑みに、少年は思わず息を呑んでしまった。
「ふふ、気に入ってくれたみたいだね♡」
「何せ一世一代の結婚式、牧師も参列者もいないが、装いだけは綺麗にしなくちゃね♡」
ここは街の外れにある小さな教会。今は誰にも使われていない廃屋だが、マーリンの幻術により、今日だけは美しく聳えていた
「それじゃ早速行こうか」
マーリンが杖を振るうと、二人の足元からレッドカーペットが伸び始める
「さあ、手を取ってくれるかい?…よろしい♡」
少年がおずおずとマーリンの手を抱き寄せ、その真紅の路が向かう先、二人が永遠の愛を誓う壇上へと歩み始めた
少年はかつてこの国で起きた戦争で生まれた戦災孤児であり、その容姿から場末の娼館へと買い叩かれた。
どこに逃げ出すこともできず、来る日も来る日も偽りの愛を繰り返す日々。
無垢だった少年の心は、その現実から目を覆うように仮面を作り上げていた。
それは突然だった。他の客と同じな「はず」の、自分を買い情欲を満たそうとする彼女の姿を見て、少年の心は小さく揺れ動き始めた。
快感に善がる彼女を見て、被っていたはずの仮面が綻び始めた。
そうして彼女に身請けされ外の世界に再び出て、そして彼女と共に過ごすことで、少年の心は輝きを取り戻していった
「…まだまだ短い時間だけれど、君とは色んなことがあったねえ」
マーリンは目を瞑り、少年と出会い今に至るまでの思い出を回想する
「僕が君を勝手に連れ出してしまったんじゃないかとばかり思っていたけど、まさか君から結婚しようだなんて誘ってくれるとはね、正直驚いたよ♡」
いよいよ二人の足が壇上へ到達する。
マーリンはゆっくりと少年の方に向き直ると、
「さあ、マイロード …僕に永遠の愛を誓うかい?」
白く煌めく指輪を輝かせ、その手をかざした。
「こ、こちらこそ…」
意を決し、応えるようにその手を取ると、少年は精一杯の背伸びをし
「……!?」
「……♡」
花嫁へと口付けを。深く深く、どこまでも溺れるように愛を確かめていった
「…んもう、優しいんだね君は?お陰でまた惚れ直してしまったじゃないか♡」
おどけるように微笑むマーリン。
赤面する少年の背に手を回し抱き寄せると、もう一度啄むようなキスをした。
「…ありがとう、マイロード。病める時も健やかなる時も、僕は君と同じ物語を歩むとするよ」
そうして二人は正真正銘の夫婦となり、密やかで華やかな式はこれにて終わり…のはずなのだが
「…んふ♡こんなに大きくして、私の花嫁姿がそんなに良かったのかい♡」
「まあそこは私も同じさ。ほら?見てごらん♡」
「君と夫婦として交わる事を考えたら、こんなことになっちゃった♡」
「ふふ♡もう我慢できないって顔だね?」
「じゃあ、早速新婚初夜と行こうか…♡」
淫らで愛欲に塗れた二人の夜は、刻々と更けていくのだった…