ママキタちゃん 5月12日(第2日曜日)編
「かあさん! 今日は何の日か知ってる?」
「ふふ……今日は何の日なのかな? 母さんには分からないから教えて欲しいな♪」
「今日はね……ザリガニの日だよ!」
「そうそうザリガニの日……ザリガニの日!?」
「うん! この日にアメリカザリガニが神奈川? に持ち込まれたんだよ! 元々はうしがえるのえさ? のために持ち込まれたんだって!」
「そ、そっか……ザリガニの日だったんだ……母さん知らなかったよ……」
「でもこのザリガニが逃げ出しちゃって、沢山広がっちゃったみたい……」
「な、なるほど……それでアメリカザリガニが多くなっちゃったのかぁ……」
「ふふん♪ あたしたくさん調べたよ! ほめてほめて!」
「……ふふ、偉いね♪」
「えへへぇ〜……♪」
(まさか母の日以外にも記念日があったなんて……。よくわからない記念日を見つけるところ、誰に似たのかな? ……多分あのヒトだよね)
「……ふふん♪」
「……? どうしたの――」
「ぎゅっ!」
「わわ! いきなり抱きついてどうしたの?」
「かあさん、いつもありがとうね!」
「……!」
「えへへ……ゆだんさせてから言ったほうがこうかがあるよって、とうさんが言ってたけどその通りみたい!」
「……ふふ」
「うれしかった? かあさんうれしかった?」
「……うん、その言葉嬉しかったよ」
「やったぁ! でもこれでおわりじゃないからね! まだまだプレゼントはあるんだから! ちょっとまっててね!」
「えっ? うわあ!」
「すぐもどってくるから!」
「……行っちゃった。あたしの抱きつきを離せるくらいには力が強くなってるんだね……。いや、むしろあたしが弱くなってる可能性が……?」
「どうしたんだキタサン」
「あなた! ちょっと娘の成長に嬉しさと寂しさを感じて……って、それよりも変なことを教えちゃ駄目でしょ!」
「あ、ああ〜……ごめんごめん。何か特別なことをしたいって言ってたからつい……」
「もう……。まあ知らないことを知れたからいいけど……」
「ははは……」
「……母の日ってなんで今なの?」
「えっ?」
「あの子の話を聞いてたら、あなたの話も聞きたくなったの。……勿論知ってるよね?」
「……昔のアメリカでちょうど5月12日にある人が亡き母の参列者に白いカーネーションを贈ったのが始まりだって聞いたよ。その人のお母さんは献身的な方で色んな人の力になってたみたいだ。そんな母のために娘さんは追憶会を開き、母の好きだった白いカーネーションを渡したんだって」
「へぇ……」
「それに感動した人々が母親を敬う日を広めていき、亡くなった日でもある5月の第2日曜日が母の日になったらしい」
「ふふ……なんだか素敵な日だね」
「そして時代が進んでいくにつれて白は亡くなった人に、そうでない人は赤になってたけど、それじゃあ白のカーネーションを贈る子が傷つくから赤のカーネーションを贈るようになった……って言われてるよ。……どうかな、満足できたかい?」
「……うん、満足♪」
「そうか……良かったよ」
「かあさん〜! プレゼントもってきた!」
「あの子が帰ってきたみたいだね、俺はちょっと離れてるよ」
「えっ? 居てもいいのに……」
「今日の主役は君とあの子だからね。……じゃあ」
「あっ……って、なんでそこに……?」
「えへへ……かあさん、おそくなってごめんね! ……あれ、とうさんなんでソファーに隠れてるの?」
「ふふ……さあ、なんでだろうね? そんなことより、何を持ってきてくれたの?」
「うん! はい、赤色のカーネーション! かあさんが好きっていみのお花だってとうさんが言ってた!」
「うん、ありがとうね。母さんとっても嬉しいよ♪」
「えへへ……よかった! あっ、あとね……そのね……」
「? どうしたの、お顔を隠して。何かあったのかな?」
「……ん!」
「……! ほっぺに……キス……」
「うん……ほっぺたにキスしたら……かあさんもっとよろこぶって……とうさんが……。かあさん、うれしかった?」
「……ん」
「わっ! かあさん……なんであたしのほっぺたにキスを……?」
「さっきあなたが言ったでしょ、喜んでくれるって。母さんは嬉しかったからお返しだよ。……嬉しかった?」
「……えへへ、うん! かあさん、だ~いすき!」
「良かった♪ ……最高のプレゼントをありがとう♪」