マドルチェ・テンプテーション
ベリーメロン「えっと、姫様にお願いされてたのはこれね?よし」
いそいそとバスケットの中を改めていくマドルチェ・マジョレーヌ。
その中に詰め込まれているのは様々な魔法菓子だ。マジョレーヌの作る魔法薬の入った菓子は味がいいだけではなく、身体に良い影響を与えるものも多い。
今回はお菓子にかける特別なフルーツソースを用意して欲しいとプディンセスに頼まれて、城へと訪れていたのだ。
「まったく……あのワガママ姫様ったらいきなり意中の男と良い空気になるソースを作れだなんて。ほぼ媚薬と変わんないわよ、これ?」
本来はこの手の薬は絶対用意しない。
ただの滋養強壮とかなら構わないが、惚れ薬じみたものは魔女である彼女も作りたくないのだ。
「私としたことが押し通されるなんて」
とにかく生意気でワガママなプディンセスだが最近は妙にしおらしい。彼女らしくない反応に、困惑したマジョレーヌはそのまま依頼を押しきられてしまったのだ。
城内の呼び鈴を鳴らし、しばし待つと城に使える執事のバトラスクが顔を出してくる。
「姫様に依頼されてお菓子をもってきたの。開けてくれるかしら」
そう語ればバトラスクは快く通してくれる。基本的に無口な彼だが、顔をよく合わせるのもあってマジョレーヌとは知らない仲でもない。
「えぇ?姫様がいない?外に遊びに行った?」
そんな言葉にハァ……となるマジョレーヌ。呼び出しておいてこれとはなんたることか。
頭を抱えるマジョレーヌに、バトラスクは「しばらくお茶をして待たれては?」と思い付いたように提案する。
「仕方ないわね!帰ってきたら思いっきり文句いわせて貰うわよ!」
とソファに座り込んだマジョレーヌはご立腹の様子。
こうなれば彼女は非常に不機嫌だ。バトラスクは頭を抱えつつも、マジョレーヌの好物であるマドレーヌと紅茶を用意する。
バトラスクの淹れる紅茶は美味しいと評判で、マジョレーヌもそれは例外ではない。
「そういえば新作のフルーツソースがあったわ!ちょっと待ってね……ええと」
紅茶にはジャムやフルーツソースを入れることもある。バトラスクは甘い紅茶も好むので、きっと美味しい物に仕上げてくれるだろう。
バスケットの中を覗き込んで二つのビンを手に取る。見た目はまったく同じだが、ラベルが貼ってある方が姫様に依頼されたものだった。
しかし……
(えっ!?ラベル剥がれてる!ええと……こっちのはずね!よし!)
城に来る前に覗き込んだ時に剥がれてしまったらしい。いつもはちゃんとしたシールを使うのだが、今回は付箋をラベル代わりにしてしまったからだろうか。
逡巡してから記憶に従って手に取ったビンをバトラスクに手渡し、紅茶の完成を待っていく。
「それで……んっ……本当に姫様は……」
出来上がったフルーツソースを足したソースとマドレーヌを頂いて、マジョレーヌはバトラスクに話しかけていく。
話し相手になって欲しいと言われたバトラスクは彼女におとなしく付き合っていたのだ。
やがて二人は徐々に違和感に気付いていく。
(なんか、カラダが熱いわね……)
魔女帽子を外せば紫の髪もしっとりと湿っているのがわかる。妙に熱っぽくなった身体を少しでも冷やそうと、マジョレーヌは胸元のリボンを緩めた。
それはバトラスクも同じらしい。無口な彼だが、少し息が上がってきている。
「あれ……なんで、こんなに熱いのよ……」
クラクラとする思考の中で、マジョレーヌは必死に考えていく。
もしやとバスケットの中身を覗き見て、もう一つのビンを手に取った。その中身をほんの少しだけ手のひらに出して舐めてみるとすぐに気付いた。
(もしかして、さっき渡したのは……)
そこまで気付いたところで、マジョレーヌの身体が押し倒される。
のし掛かってきたのは……
「ば、バトラスクっ!なにやってっ……ひあっ❤️」
のし掛かってきたバトラスクに汗ばんだ首筋を舐めあげられる。
それだけでマジョレーヌは嬌声があがってしまい、その身体を震え上がらせた。
そして何を渡したのかをすぐに理解してしまう。
(バトラスクに渡した方が媚薬ソースじゃないのぉぉぉっっ!!)
心のなかで叫びつつ、バトラスクを押し返そうとするが力が入らない。
その間にも彼の舌先はマジョレーヌの首筋から耳元までを丹念に愛撫していく。
「ちょっ……だめだって……んっ、ふぅっ……」
服の中に手を突っ込まれて、マジョレーヌはびくりと身を震えあがらせる。
リボンは外され、シャツのボタンも外されていく。
「お、落ち着きなさいバトラスクっ!あなたは紳士でしょう!?」
必死に抵抗するマジョレーヌだが、バトラスクは一向に止まる気配がない。それどころか更に興奮している様子だ。
「ま、待ちなさっ……くぅっ、やぁっ❤️」
晒された肌着をバトラスクの手が撫でていく。凹凸こそ激しくないが女性らしい身体のラインはより男を興奮させるものだ。
さらに媚薬もあってより感じてしまっていた。
「うそ……なんでぇ……んっ、ひぃんっ❤️」
困惑している間に肌着の中に、バトラスクの手が潜り込んでいた。敏感になったマジョレーヌは、指先で軽く触れられただけで絶頂を迎えてしまう。
呆然とする彼女のふんわりとしたロングスカートをバトラスクは捲りあげていき、タイツもビリビリと破くとショーツに手をかけた。
「まって……お願いだから、これ以上は……」
懇願するマジョレーヌだったが、バトラスクは容赦なくショーツをずらした。
抵抗する間もなく秘所が露にされてしまう。そこはもう濡れており、ヒクついていた。
バトラスクの剛直も既に大きくなっており、ズボンを脱ぎ捨てるといきり立ったペニスが現れた。
「ひっ……」
(子供の頃に見たのよりずっと大きい!?)
半泣きになって剛直に目から離せなくなる。マジョレーヌの緑と紫とオッドアイがうるうると揺れ、バトラスクの目と目が合う。
いつもの気丈な彼女が小動物のように震える様子に、バトラスクは誘われるようにその唇を重ねていた。
「ちゅぷっ……んむぅ……んっ……むぅぅぅ❤️」
いきなりキスされたことに驚くマジョレーヌ。当然のごとくファーストキスだったが、そんなことはお構いなしにバトラスクは強引に舌先をねじ込んでいく。
「れろっ……じゅぷっ……くちゅっ……んぅっ……❤️」
歯茎をなぞられ、口内を蹂躙される。唾液を流し込まれ、マジョレーヌはそれを飲み下すしかなかった。
(頭ボーッとしてきたぁ……)
ファーストキスを奪われたという怒りはいつの間にか何処かへ行ってしまい、媚薬の影響かマジョレーヌ自身も舌を絡めていた。
「んっ……もっとぉ……んっ……ふぅっ……れるっ……ちゅぱっ……はふっ……❤️」
いつしかマジョレーヌからも求めてしまい、二人は夢中になって互いの唇を貪り合うように重ねていく。
バトラスクの舌先がマジョレーヌの舌と絡み合い、淫らな音を鳴り響かせる。
「はふっ……んぅっ……んっ……んぅっ……はぁっ……んぅっ……❤️」
濃厚なディープキスにマジョレーヌは何度も達してしまっていた。
ようやく解放された頃にはすっかり蕩けきった表情になっており、ぐったりとして身動き一つできない。
「あっ……」
ソファに身を預けて動けないマジョレーヌ。
緑と紫のオッドアイを蕩けさせ、しっとり汗ばんだ素肌も晒す彼女を前に、バトラスクはもはや止まれなかった。
硬くいきり立つモノがマジョレーヌの膣口押し当てられて沈んでいく。
「やめっ……だめぇっ……はぁっ……んああっ……ああっっっ❤️」
一気に奥まで突き入れられてマジョレーヌは甲高い悲鳴をあげた。
媚薬で高められた性感に、初めて受け入れる男の肉棒に、マジョレーヌの身体は悦びに震えている。
「なにこれっ……こんなのっ……はじめてっ……ひゃうんっ……あああんっっ❤️」
媚薬のせいもあるだろうが、想像以上の快感にマジョレーヌはあっさり絶頂を迎えてしまった。
「はぁっ……はぁっ……❤️い、いれられた、だけで……ひゃうっっ❤️」
マジョレーヌが絶頂しても、バトラスクはまだ絶頂できていない。
マジョレーヌが余韻に浸る時間もなくバトラスクの腰が動き出した。
「だめっ……だめだって……いま動かれたらまたイッちゃっ……ああぁっっ❤️」
制止の声も虚しく、激しいピストンでマジョレーヌの身体は再びイカされてしまう。
しかしそれで終わりではない。
「やぁっ……ま、待って……まだ、イキっぱなし……だから……ふあぁぁぁっっっ❤️」
絶頂している最中だというのにバトラスクは激しく抽挿を繰り返す。媚薬の効果もあり、マジョレーヌは連続して絶頂してしまう。
しかし絶頂しているのは何もマジョレーヌだけではない。媚薬の影響を同じく受けているバトラスクもまた彼女のナカに何度も精を放っていた。
「とまってぇっ……赤ちゃんできちゃうからぁっ❤️」
涙を流しながら懇願するマジョレーヌだが、バトラスクは止まるどころか更にペースを上げていく。
いくら出しても萎えない肉棒に、完全に振り回されているようだった。
「んっ……ちゅぷっ……はひっ……んんぅっ❤️」
黙らせるように唇を重ねられれば、マジョレーヌは嫌がるどころか自ら舌を絡めてしまう。
そうして何度目かもわからない射精で子宮の奥に注がれたところで、ようやくバトラスクの動きが止まった。
「はぁっ……はぁーっ……んっ……❤️」
互いに荒い息を吐きながらも、バトラスクの肉棒がゆっくりと引き抜かれていく。
それだけでマジョレーヌは軽く達してしまうほどだった。
「こ、こんなに出して……絶対赤ちゃんできちゃう……んっ❤️」
たっぷり注がれた大量の精液を意識して、下腹部を撫でる。心なしか腹が膨れている気がした。
少し冷静になったらしいバトラスクは顔を青くしており、マジョレーヌの怒りを静かに受け入れるつもりらしい。何でもする。どんな罰でも受ける。という言葉の数々。
そんな様子にマジョレーヌも、つい言葉が出てしまった。
「じゃあ、責任取ってくれる……?」
ポツリと出た言葉の意味を自覚した途端に一気に顔を赤くするマジョレーヌ。
バトラスクも呆然としており、マジョレーヌはすぐ訂正しようと思ったものの言葉は出ない。
「や……えっと、今のはちがくて……ええと……」
オッドアイをグルグルとさせてマジョレーヌは顔をさらに赤くしていく。
「その、あの、だから……」
しどろもどろになっているうちにバトラスクも顔を赤くするのが見えた。
部屋はなんとも甘酸っぱい空気に包まれていく。
そんなところで
『姫様がお帰りになられました!世話係は至急、姫様の元へ!』
というプディンセスの帰宅を知らせる報告が部屋に響いてしまう。
それを聞いたマジョレーヌは大慌てて服を着直していく。
「――き、今日のこととさっき言ったことは忘れてよねっ!?」
そう言い残してドタバタとマジョレーヌは去っていってしまうのだった。
バトラスクは何とか服装を正したものの、しばらくの間はこの時のことがずっと頭から離れることはなかったという。
そして忘れろと言った当のマジョレーヌも、家で定期的に思い出しては悶えることになったそうだ。