マドルチェ・ミッシング

 マドルチェ・ミッシング


 「応対するのが女王でなくお前とはな、俺も舐められたものだ」

 「そういわないでよ。これでも次期女王よ」

 プディンセスは客人をシャトーの一角にある小さな部屋に案内した

 「それで要件は?」

 「俺をまた仕官させろ」

 客人の名はインヴォーカー、真の名はソウザ

 インヴォーカーはかつてシャトーにおいて雇われの指揮官であったが投獄されてしまった

 長い月日を経てようやく釈放が叶ったため再び指揮官に返り咲くつもりであった

 「悪いけどそれは無理よ。あなたの所業は調べさせてもらったわ」

 インヴォーカーは優秀な指揮官であったが非常に素行が悪く、仲間への扱いは冷酷であり、主にメッセンジェラートから度々苦情がきていた

 だが、その能力の高さ故に咎めることができず泣き寝入りをするものも多かった

 だが今は違う

 彼の力を頼らずともマドルチェは戦える力を手に入れたのだ

 「今のシャトーであなたの悪事が明るみになればタダでは済まないわ。でもあなたには恩もある。大人しく国から出ていってくれるなら不問にしてあげる」

 「フン、わがままを言うばかりでなにもできない身分だけの姫が偉そうに」

 「ええ、そうだったわね。でも私は変わったのよあなたがいない間に」

 過去のプディンセスはインヴォーカーの言う通りの人物であった

 だが騎士であるシューバリエと恋人になったこと、妹であるプティンセスールの誕生によって考えが変わった 

 愛する恋人と妹に恥じない自分になりたいという想いから彼女は苦手だった勉強にも真摯に取り組みながら立派な女王になるために日々努力するのであった

 「女王になるものとしてあなたのような存在を受け入れることはできないの。悪いことは言わないから国を出ていきなさい」

 「黙れ小娘!お前ごときが俺に命令するなど100年早い!」

 インヴォーカーはプディンセスを無理矢理押し倒す

 「ちょっと、なにするのよ!!離しなさい!!」

 インヴォーカーはプディンセスを組み伏せながらニヤリと笑う

 「俺はお前のような乳臭い小娘に興味はないが、生憎ムショで禁欲生活を強いられていたものでな。女日照りが続いているんだ。相手をしてもらうぞ」

 「失礼な、私はレディよ!!シューバリエとだって毎日愛し合っているわ!!」

 「ハッ!そんな貧相な身体でよくいうな」

 インヴォーカーはプディンセスのドレスを破り捨てる

 「このドレスお気に入りなのに……ふざけないで!!」

 「知ったことか、しかし色気のない下着だな」

 「わかってないわね。シューバリエにはこういうやつのほうが刺さるのよ」

 「知るわけないだろう!!」

 いまから犯されようというのに余裕を見せるプディンセスに調子を狂わされるインヴォーカーであったが頭の弱い子供の戯言だと心を落ち着ける

 「まあいい、あの騎士のガキでは味わえないような快楽を与えてやろう」

 インヴォーカーはプディンセスのドロワーズに手をかけようとしたその時だった

 「おねえちゃん、なかにいるの?」

 プティンセスールはドアの向こう側から声をかける

 「少しでも変なことしてみろ。わかってるだろ」

 インヴォーカーはプディンセスの首筋に剣を突きつける

 「スールちゃん、いまはなかにゴキブリュレがいるから入っちゃダメよ」

 「わかったー」

 プティンセスールはなんの疑問も持たずに立ち去る

 「ゴキブリュレってなんだ?」

 「ゴキブリュレはスールちゃんがもっとも恐れる存在よ。だからその名前を聞けば好奇心旺盛なスールちゃんでも絶対に部屋に入ってこないわ」

 プティンセスールはプディンセスにとって目のなかにいれても痛くないほど可愛い妹だ 

 しかし姉が好きなあまり恋人であるシューバリエとの逢瀬を邪魔してしまう困った一面がある

 そのためゴキブリュレなる架空の存在を生み出すことで妹の行動をコントロールしていた

 「騎士のガキとヤる口実をこんなことに使うとは…まあいい、せいぜい楽しませてもらおう」

 インヴォーカーは再開とばかりにプディンセスの下着を剥ぎ取ると自らのズボンを脱ぐ

 「ちょっと、まさか本気でやるつもり?冗談でしょう?」

 この期に及んでそのような態度をとるプディンセスに神経を逆撫でされたインヴォーカーは乱暴に挿入した

 「いたっ……ちょっ、いきなり挿れるとかありえないんだけど……」

 「黙れ、お前の起伏に乏しい身体など触れてもつまらないからな、これで十分だ」

 インヴォーカーは激しく腰を振る

 「だから痛いって言ってるじゃない。4年半も捕まってたからセックスのやり方忘れたんじゃないの」

 「そうなふうにしていられるのも今のうちだ」

 しかしインヴォーカーの思い通りにはならず、プディンセスの反応は芳しくなかった

 「お前、不感症の類か?」

 「違うわよ、言ったでしょシューバリエとは毎日ラブラブだって。ただあんたが下手クソなだけよ」

 「ふざけるな!!」

 インヴォーカーは再びプディンセスに覆い被さると今度はゆっくりと動き始めた

 「うーん…イマイチね。痛くはないからさっきよりはマシだけど全然気持ちよくないわ」

 「何故だ?俺はこれまで多くの女を屈服させてきたというのに…」

 「昔がどうとか知らないけど。普通は無理矢理こんなことされても感じるはずないでしょ」

 「うるさい、黙れ!」

 インヴォーカーはありとあらゆる手段でプディンセスを責め立てる

 しかしプディンセスの言う通り快感を与えることはできなかった

 そうこうしているうちにインヴォーカーは限界を迎えようとしていた

 「おい、そろそろ出すぞ。お前の中にたっぷり出して孕ませてやる」

 「ええ、いいわよ。ちゃんと避妊薬飲んだから孕まないけど」

 プディンセスはインヴォーカーが凶行に及ぶ可能性を想定して事前に避妊薬を飲んでいたため妊娠することはないのだ

 「そんなことを……」

 「普通あなたみたいな元凶悪犯を相手にするなら護衛とかつけるでしょ?それをしないってことはあなたなんて一人でどうとでもできるからよ」

 「クソっ!!」

 「だからあなたが私の中に出したところで無駄よ。あなたの遺伝子なんて後世に残さないから」

 「うぐっ!!」

 インヴォーカーはなにも残すことのできない無駄な射精するのであった

 「はあ…はあ」

 獄中での生活が長かったためかインヴォーカーの体力は低下しており、息を切らしている

 「大丈夫?Xセイバーだっけ……確かあれって何度か代替わりしてんでしょ。じゃああなたっておじいちゃんじゃない?あんまり無理すると身体壊すわよ」

 「黙れ!俺はまだ戦える!!」

 インヴォーカーは再び剣を抜く

 「できるだけ穏当に帰ってもらうつもりだったから我慢してたけどもう無理ね、力ずくでも追い返すわ」

 プディンセスは身構える

 「このアマぁ!!」

 「小娘からは一応昇格なのかしらね」

 インヴォーカーは斬りかかるがプディンセスはひらりとかわす

 「あなたいなくなってたから忘れてたんじゃない?マドルチェは……」

 プディンセスは拳に力を込める

 「騎士より姫のほうが強い!!」

 「ぐあっ!!」

 プディンセスのパンチを受けて吹っ飛ぶインヴォーカー

 「クソっ…この俺が」

 「あなたならここに拘らなくてもうまくやっていけるわよ。もっと広い世界で生きて頭を冷やしなさい」

 「………」

 インヴォーカーはプディンセスを無言で見つめる

 「あっ!いい忘れてたわ。ゴキブリュレにはもう一つ特徴があるの」

 プディンセスはなにかを思い出したかのように手を叩く

 「私とシューバリエが一緒じゃないと倒せないのよ。だからスールちゃんが呼んでくるわ」

 すると扉が開く

 「姫様、いくらなんでもこんな時間に……ってなんですかその格好……それにインヴォーカーさん!?」

 プティンセスールに呼び出されたシューバリエ見たものは全裸のプディンセスがインヴォーカーを組み伏せている異様な光景だった

 「まさか……」

 シューバリエは引き裂かれたプディンセスのドレスをみておおよその状況を把握し、インヴォーカーを拘束する

 「わ~ん!!怖かったわシューバリエ」

 プディンセスはわざとらしく泣く真似をしながらシューバリエに抱きつく

 「私すごく傷ついたわ。お嫁にいけないわ。でもシューバリエがいまここで慰めてくれたなら立ち直れるかも」

 こんな状況なのにセックスする口実を得ようとするプディンセスにシューバリエは呆れるよりない

 「そもそもゴキブリュレ退治に来たってことわそういうことでしょ?」

 「うぅっ…」

 プディンセスはシューバリエの耳元で妖しく囁く

 結局シューバリエは誘惑に抗えなかったという

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