(ボツネタ)幕間 -トリニティの魔女-(仮)
概念不法投棄の人※この作品は執筆途中で製作放棄したボツ作品です。供養かねて公開します。
製作放棄の為、途中で文章が唐突に途切れています。
元々は「幕間 -甘い茶会- (後編)」の続編になる予定でした。
蒼森ミネが飛び立ち、しつこくなり続ける携帯端末に痺れを切らしたハスミが、ティーポット丸ごと紅茶をラッパ飲みして、冬眠前のリスの如くお菓子を口に詰め込んで頬いっぱい膨らませた状態で出て行ったあと、テラスは静寂に包まれました。
「くそおっ!!ミネの奴めっ!!!」
ダァッン!!とテーブルを激しく叩きつけるのはセイア。彼女の表情は再び怒りに染まっていました。
「毎回、毎回、のらりくらりと躱して忌々しい。あ奴が早く砂糖を口にせねば……ご褒美が……ご褒美が……」
真っ赤な顔で怒り狂っていたかと思えば今度はいっきに真っ青になり震えだす彼女、情緒の安定性がなくなるほど砂糖に侵されていました。
「あら?ご褒美がどうしたんです♡」
その時でした。テラスに凛と綺麗な声が響き伝わります。その声が聞こえた途端、テラスに居た者たちはセイアやナギサやサクラコ、雑用係のモブ生徒までを震え上がらせます。
コツコツと足音が聞こえ近づくたびに皆背筋を伸ばして緊張感に包まれています。まるでこの声の主がこの部屋の主と言わんばかりに。
「すべて見させていただきました。ミネさん堕とせなかったみたいですね?」
姿を現したのは浦和ハナコ。このトリニティに砂糖をばら撒き、ティーパーティーを陰で操る支配者となっていました。
「ううっ、ハナコ様っ!!どうか!!どうか!!お許しをっ」
椅子から転がり落ちるようにセイアは飛び出し、ハナコの足へと縋り付きます。そんな哀れな子狐の耳を鷲掴みするとハナコはそのまま引き摺り、セイアが座っていた椅子へとまるで自分が此処の本当の座るべき席だと言わんばかりにどっしりと着席します。慌てて給仕係の生徒が近づくのを手で制すると、
「ナギサさん――?」
「は、はぃいぃぃ~~」
顔色を変えてナギサが給仕係から奪い取ったティーポットでハナコの前にあるティーカップに紅茶を注いでいきます。
「お、お砂糖はおいくつにしますか?」
「私、砂糖は自前で入れるんですよ?前にも言いましたよね?ナ・ギ・サ・サ・マ?」
「も、もうしわけございません~~」
何度も頭を下げて謝罪の言葉を繰り返すナギサ。その姿にティーパーティーホストの面影はなくハナコの従者へとなり下がっていました。
ナギサが下がるとハナコは胸の間から一本の紙のステックを取り出します。先端を破りそのままステックを傾け、中の砂糖がサラサラと滑るように紅茶の中へ滑り落ち溶け込んでいきます。
他の砂糖とは明らかに違う香りが漂い、気が付けば真剣に見つめるナギサとサクラコは口から涎をポタポタ垂らしてました。
「何です?お二人とも?はしたなく涎なんて垂らして……。このお砂糖はまだあなた達が口にするのは早い物なんですよ?堅物女騎士一人堕とせないだらしない子猫ちゃんたち?」
「ううっ……」
二人を軽く叱りつけるハナコ、空になったスティックを手に辺りを軽く見渡したあと、視線の自分の膝元へと落とします。
「あら、丁度良い所にゴミ箱がありますね♡ ここに捨てておきましょうか♡」
いつの間にか椅子に座ったハナコの足の間から顔を出していたセイアの顔面に空のスティックを落とすと、彼女は口を開けて飲み込み「おいしい、おいしい」と言いながら涙ながら咀嚼していました。
「サクラコさん?」
「は、はい!?」
突然ハナコに呼ばれ目を見開くサクラコ。
「脱走していたお宅の子狐のマリーちゃん。私が捕まえておきましたから。ここに来る前にヒナタさんに預けて来ましたので、次はちゃんと逃げ出さないようにちゃんと躾ていてくださいね」
あなた飼い主でしょ?と呆れた目つきをすれば「は、はいぃぃぃぃぃ~」とテーブルに頭を付けて謝罪するサクラコ。
「で、脱走の件はどうでも良いんです。問題はマリーちゃんが持っていたコレですよ」
そう言うとハナコはUSBメモリーをサクラコへ投げつけます。パシッとヴェールに当たったそれを落とさないように必死に受け取ります。
「サクラコさん、あなたがミネさんやハスミさんと共謀して陰でコソコソと"私達"を嗅ぎまわっていたのは知っています。今朝、改めて砂糖浴びした後の告解で判明した貴方が独自調査していた資料もすべて押収しました」
ですが、
「このメモリーにはあなたが私に語らなかった物が含まれています。私達の、ヒナさんやホシノさんの音声通話を盗聴録音してましたね?よくもよくもこんな汚い真似を!恥を知れこの泥棒猫っっ!!お前にっ!お前たちにっ!ヒナさんやホシノさんの声を聞く権利などないっ!!あのお二人の声を、晒し上げる事など絶対に許さないっ!!!」
愛銃を構え、容赦なく引き金を引くハナコ。5.56mmの鉛の雨がサクラコの頭部目掛けて降り注ぎます。テーブルの上の茶器がテーブルクロス毎粉々になって紅茶の雫と共に周囲に飛び散り、彼女の頭へと降り注ぎます。
「お