ボクの”王子様”
それは、ある日ボクが外出した時のことだ。
ボクはサングラスにマスク、髪が見えないようにニット帽、ヘッドホンは付けずにいった。
今考えると、当時のボクは馬鹿だ。
そもそもそんなチャチな変装ではスグにバレる。ファンの眼力を舐めない方がいい。
そしてボクはルフィの言いつけを無視して外出した。
ルフィの言いつけというのは、ボクのことを狙っている人がいるから、外出する時はルフィもついていく、というものである。
ボクはその言いつけを守らなかったがために、襲われたのだ
前置きもここいらにして、その当時を振り返ってみよう。
彼女は狭い道に入る。近くのコンビニにいくにはこの道が1番近道だ。
そして現れた。向かい側からきたコイツが襲って来たやつだ。
彼女はそっと横を通り抜けようとする。
「バンッ」
だがこの男に押し倒されてしまう。
「あー、やっぱり合ってた。君、ウタちゃんだよね?」
彼女は無視して逃げようとするが、そうは問屋が卸さない。
「逃げようとしても無駄だよ?ほら、こんなに体格差がある。」
彼女は大きな手で体を掴まれそうになる。
そこで彼女は右の道に曲がる。
馬鹿だ。そっちは行き止まりだ。
「あれぇ~自分から追い詰められにいっちゃったかな~?」
おぞましい
「俺、普段強気な女の子をひいひい言わせるの好きなんだよね~」
喋り方がキモイ
生理的に受け付けない
でも彼女は腰を抜かしてそのばにへたりこんでしまう。
「こんな所でやるのもアレだからさ~俺の家でいっぱいやろうね~」
彼女は絶望した。ボクはコイツに、こんな奴に食われるんだと思った。
彼女が恐怖で眼を閉じた。その時だ
彼女にとっての王子様が現れたのは
バゴン!
到底人を殴っんじゃ出ないような音が辺りに響く。
「優しくしてやらねぇとな、プリンセスってのは脆い生き物なんだぜ?」
ルフィだ!思わず叫びたくなった。
ルフィの横の壁をみると、鉄筋コンクリートがへこんで穴になっていた。
「誰だお前~ウタちゃんは俺がお持ち帰りするんだぞ~」
鉄筋コンクリートへこませた人にそんな口きけるのは、逆に尊敬する。
「誰…か、まァウタのファン第1号って所かな」
バリバリバリバリ!!!
その瞬間、彼女を襲っていた男は倒れ、
ルフィだけが立っていた。
「大丈夫か?ウタ、1人で出歩いちゃ駄目って言っただろ?」
先程のルフィとは思えない程優しい声で
彼女に話しかける。
「ごめん…ルフィ…」
「気にすんな、ウタが無事で良かった」
「ありがとう…ルフィ…」
彼女は緊張が解け、ルフィの腕の中で寝てしまった。
これがあの日の出来事だったようです。
おしまい。
「他人事みたいに語っても無駄だぞ!
1週間パンケーキ抜きだ!」
「そこをどうか慈悲をくれないかねルフィ君…」
「…4日で許してやる…」
「ルフィはボクに甘いねぇ~」
「まだ怒ってるからな!」