ホラー的な何かが書きたかった

ホラー的な何かが書きたかった


・何かよくわからん怪異的なモノに襲われる孫新星達

・時期はルフィまでは山に揃ってる頃のどこか

・勢いで書いたので凄く中途半端かつ尻切れトンボ

・色々と捏造しかない


…………



暗く、月明かりも届かない闇に沈んだ大きな屋敷を小さな子供が駆け抜けていく。

どこまでも続く暗がり。その奥から聞こえる息遣い。何も居ない筈なのに確かに感じる視線と、粘つく様な執着心が手足に絡みつく様な感覚。

ぜいぜいと荒れた呼吸は、普段野山を駆け慣れた子供にしてみればあまりにももどかしくそして焦りを生み出した。転びそうになりながらも懸命に足を動かし、真っ暗な廊下の中で一際大きな扉を見つけた子供は無我夢中でそこに飛び込んだ。

重い音を立てて閉ざされた扉を背に、少年は荒い呼吸を繰り返す。それでも自身を落ち着ける様に深呼吸を繰り返しながら、胸元を手で強く押さえた。

「くそっ……」

その悪態は普段を思えばあまりにも弱々しく、ばくんと一度心臓が大きく脈打ったかと思うと、急速に体から力が抜けていくのが分かる。それと同時に、何とも知れない感情が少年の心を支配した。

その感情の名を子供は知らない。ただ胸の内で暴れ回る感情が何なのか理解出来なかった子供は、ままならない現状と自身の弱さに対する怒りともどかしさを感情の薪に焚べた。

こんな場所で、こんなところで、こんな理由のわからない相手に。折れてなるものかという意地。そして、何処かに居る筈のきょうだいを思って息を整える。

こんな所で、自分が折れてなんていられるものか。強くそう思った子供は、閉じた扉を見据えて改めて強く思う。

こんな所で終わるものか、と。

そう自分自身に言い聞かせ、自身を奮い立たせる様に子供は顔を上げた。その瞬間に感じた気配と背中に走った悪寒に反射的に振り返る。

振り向きざまに見えたのは、薄暗がりの中でも赤々と光る一対の双眸。爛々とした輝きを放つそれが子供の目を見つめる様に見つめていた。

『ド コニ イクノ?』

『オウチニ イマショウ?』

「――ッ!!!」

 酷く耳障りなそれは〝声〟になんて聞こえないのに、何故かそう言っているのだと分かってしまった。

〝にげねェと〟

 そう頭ではわかっているのに、寒気にも似た悪寒で慄える手足は萎えた様に力が入ってくれなかった。

『ズッㇳ イッショ ョ』

伸ばされる腕が目の前に迫って来る。近付く距離に比例してぜいぜいと乱れる呼吸が苦しくて、じわりと視界が滲んでいく。

それでも、その伸ばされた手を振り払う様に大きく首を振った。

『サァ』

『オイデ』

『ワタシ丿』

『カワイイ――』

「やめろっ……」

呻く様にして絞り出した声は、か細くとも確かに音として世界に放たれる。しかし、その訴えは子供の脳裏に直接響く声には届かない。

そして無情にも、伸ばされた手は少年の頭に触れんと近付く。

いやだいやだと首を振るが、それ以上の抵抗が出来るわけでもなく子供は迫り……そして……


――光が、差した

『ア゙アァア゙ア゙ァ゙ア!!!』

あと数センチまで迫っていた影が絶叫して遠ざかる。途端に楽になる呼吸にえずく様にして空気を取り込めば、感覚が無くなる程に冷えていた手足に熱が戻ってきた。

そして、その右手に感じる、あたたかさと、聞こえる、声。

『――ぃ!! おい、起きろ!!』

焦りを多分に含んだ声。有無を言わせない強さのそれはきっとただの子供なら萎縮してもおかしくはないもので、けれど普通ではない子供にしてみれば〝今〟何にも代え難いよすがだ。

ぐん、と右手が光の方へと引かれてつんのめる。少しだけ痛みを感じる程の強さに、けれど恐れも警戒も生まれる事は無い。

のたうつ闇に背を向けて、引かれるままに走って、そして……目が覚めた。


「っ……!!」

ハッと目が覚めて体を起こせば、目の前には見慣れた顔。心配そうにこちらを覗き込む顔に安堵して思わず小さく息を吐き出せば、安堵の声が返ってきた。

視線を巡らせれば、先程まで見ていた景色とは似ても似つかない見慣れた部屋。そして、周りに居る見慣れた相手。

それを見てようやく、あれは夢だったのだと納得できた。それでもじっとりと掻いた汗や冷え切った手足が先程までの感覚を否定出来ない。どくどくと早鐘を打つ心臓が痛い程で、思わず胸元を強く押さえつければ、どんっと身体に衝撃がきた。

痛ェ、なんだ!?と視線を上げれば見えるサイズの合わない麦わら帽子。それを背中にくっつけているのは、いまだ成長途上の子供…キッドよりも尚、小柄な子供……ルフィだ。

「ってェな、なんだよ!?」

「ギッド〜!!!!」

ぎゅるりと伸びた腕に巻き付かれ、抗議しようとした言葉は涙混じりの絶叫に搔き消えた。最近は随分と泣くことも減っていた一番下の弟の久しぶりに見る大号泣に、さしものキッドもしばらく言葉を失った。

見渡せば、並ぶ他の表情も少しだけ呆れを含んでいるのもあれど大部分は心配の色ばかりで。

どうやら本当にマズい状態だったのだと、遅れて理解が追い付いた。

「あー……ルフィ」

「ギッド゙〜!!い゙ぎでる〜〜!!」

「おー……、生きてるよ」

涙と鼻水で酷い顔になりながら、ぎゅうぎゅうとしがみついて離れない弟の背中を軽く叩いてやれば、更に抱きつく力が強くなる。肩口がしっとりどころかぐっしょり濡れて気持ち悪い。けれどそれを咎める気力はキッドには無かった。

「キッド。……大丈夫か?」

なんとかルフィを引っ剥がし、一息つけばタイミングを見計らった様に差し出された水入りのコップ。

前髪のせいでわかりにくくても心配してるとわかる相棒からそれを受け取って、一息に飲み干して漸く人心地がつく。

それでも。……大分薄れたとは言え、悪夢の残滓と凍えるような怖気の感覚は、未だどこかに残っていた。

「…ちゃんと、逃げ切れたのか」

「あー……」

「キッド?」

ぼそりとしたエースからの問いかけに思わず言葉を濁せば、サボが訝しげに名を呼んでくる。

歳の近い2人に対してほんの少し何時もの負けん気が顔を出しかけて、けれども迷いは数秒で消えていた。

「……ほとんど、目の前だった。後少し遅かったら、捕まってたな。あいつ、追いかけるのが上手くなってやがる」

「――!!」

今は、自分の意地より優先する事がある。なにせ、次に〝アイツ〟から逃げないといけないのは、この2人のどちらかなのだ。


「……マズいな」

「みてェだな」

「………」

わちゃわちゃとキッドを中心に騒いでいる弟達を少し離れて見守りながら、ドレーク、アプー、ホーキンスの3人は厳しい表情を崩す事が出来なかった。

「日の出を迎えても、起きるまでにしばらく間があった。……明らかに、夢が長くなってきている」

「しかもキッドで逃げ切れねェって事は、他の奴らも捕まる可能性が高くなったっつう事だな」

あの日から毎夜下の弟たちに訪れる悪夢は、日に日にその長さと悍ましさを増している。まともに眠れない夜は体力と気力を削ぎ、強がってみせてはいてもじわじわと限界に近付いているのは明白だ。

いくら並の子供どころか大人さえ上回る体力を持っているとは言っても、せいぜいが10歳前後の子供でしかない。……このまま悪夢が続けばどうなるかなど考えるまでもなかった。

「夜眠れねェのが問題だ。体力もだが、精神的にかなり参ってやがる」

「そう、だな。それに……」

「わかっている」

苦々しげに言葉を落としたホーキンスの手元で、炭化したかの様に黒ずんだ木片がぼろぼろと崩れ落ちていく。元は細かな文字が書き込まれていたそれは、もう何の役目も果たしてくれないと誰の目にも明らかだった。

「ウルージ兄の護符も、後3枚か」

「………」

子供は良くも悪くも好かれやすいからと、長兄が手ずから拵えて持たせてくれた守りの木札。ぎりぎりの所で弟達を守ってくれているそれは、けれど日に日に強くなる怪異の力に圧されて1つまた1つと崩れて減り続けている。

せめて本人がここに居てくれればと思っても、電伝虫はあの日からずっと沈黙したままだった。

「とりあえず、オラっち達は狩りに行ってくるとすっか」

「ああ。……その、しっかり休んでてくれ。今お前が倒れると、困る」

「わかっている」

立ち上がってぐぐっと伸びをするアプーに続いて、ドレークもすくりと立ち上がる。

下の5人がまともに動けない日が続く中、それでも食料の確保は欠かせない日課だ。少ない人数で十分な猟の成果を上げる為、そして弟達の世話をする為に、自然と動く面子は決まっていた。

兄弟の中でも料理が得意なキラーと、医療知識や技術のあるローは下の5人の体調管理に。非現実的なあれこれに対して知識を持つホーキンスは全体の取りまとめと、対策を講じる為に。

ならば動けるのは、必然的にドレークとアプーの2人だった。


1人残されたホーキンスはそれを止める事無く見送って、自身の能力を使って藁人形を幾つか作る作業に移った。

(こんなもの、時間稼ぎにしかならないが……)

本来なら真っ先に狙われたルフィから順に追われ取り込まれる筈だった悪夢を、他の4人が肩代わり出来るようにと作った形代。

上の3人がかわるがわるそれを抱えて眠る事で、その1人の周りに影の4人が連れ立っているように見える。そうする事で、相手の親玉はその1人を確実につけ狙った(ゾロも立候補してはいたが、動きが予測不能だからと却下されていた)。

こうしなければ、最初の数日を1人追い回されたルフィは既に限界を迎えていただろう。……だから、これを作った事そのものは後悔はしていない。

それでも、根本的な解決には至らない力の不足と、直接的には助けてやれないもどかしさが消える事は無い。

「ホーキンス」

「ああ」

キッドの手から、昨夜渡した藁人形を受け取る。夜の間ずっとルフィ達の身代わりとしてキッドと共に怪異の世界を彷徨い続け、そして怪異に呑まれたそれらは、もう元の形が分からない程に崩れていて。それを少しだけ見つめて、ホーキンスはさっさと火にくべてしまった。


古いものへの感傷や、過去に引き摺られている暇など無い。

1日でも時間を稼ぎ、打開の芽を、可能性を摘まない事。

……今自分達に出来るのは、そのくらいしかないのだから。 




…………


※以下ネタバレというか勝手な設定もとい妄想の書き連ね

※あくまで個人の勝手な妄想と捏造なので色々と注意



【設定というか説明的なもの】

◆勝手に作ったものすごくざっくりとした流れ

グレイターミナルで日課の物資及び資金調達をしていた時に、落ちていた装飾品をルフィが拾って持ち帰る。

※この時点では誰が見ても普通の装飾品にしか見えなかったので、他の兄達もスルーしていた。

その夜あたりからルフィが悪夢を見始める。

広い屋敷的な場所を彷徨って、何か良くわからないけど気持ち悪いものに追われる悪夢。

夜明けまで逃げ切れば無事に目が覚めるが、睡眠による休息が取れないので体力精神力ともに削られる。

3日目あたりで他の年少組も夢に取り込まれ内部で接触した事でおかしいとバレて説明。何かヤバい相手に目をつけられたらしいと発覚しホーキンスを中心に抵抗するも、相手の正体もわからなければ対応策も不十分という事でジリ貧に。

島外部との連絡や接触も封じられているので年長組やガープとも連絡取れず。

その内ローやキラーも引き込まれ、昼間の現実側にも影響が出始めたあたりで何かおかしいと察知した年長組+連絡を受けたガープが力尽くで島に入り込んで元凶ぶっ飛ばしてエンド。



◆元凶

子を失った、奪われた親の無念や怒り恨み憎しみ愛着庇護欲その他が凝った〝何か〟

核というか媒体になっているのは海賊に息子を〇された上に☓☓されて最期は海に捨てられた貴族の奥方とその装飾品

息子の年齢に近い子供を守ろうと自分の領域に引き込んでくる他、子供に自分の都合の良い存在である事も求めてくる

またそれを核に諸々が混ざっているので会話等は不可能

実は質は悪いがそこまで強力な怪異ではなかったのだが、神の実だのDだの覇王色持ちだのから生気をじわじわ奪った最終的には結果ヤバめのモノになりかけていた

ホーキンスによって撹乱され、ウルージさんによって年少組達から弾き出されて実体化した所をガープ怒りの拳(+覇気)を叩き込まれて消滅する





本当はじっくり最初から最後まで書きたいけど、アホみたいな文量になるのが目に見えてて気力が保たないので書ける部分+設定だけ供養。

気力があれば書きたい。

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