ペンワイを知ったキッド海賊団目線ss

ペンワイを知ったキッド海賊団目線ss

多分二時間くらいで書いたガバ

142書き直しです

左右間違えタイトルとか直しようがないんで消した……すまない………


ペンワイ可愛いねこの波に今乗れなかったらいつ乗るんだ!と思って隙間時間でちまちま書いていたが全然本人達が出てこない


ワイヤーさんの恋にボケボケな感じが可愛いし情けないペンギンがすごい好きなんだ信じてくれ



 クルーの恋愛に口出しはしない。それは別に珍しくもないだろう。ユースタス・“キャプテン”・キッドは大きな器を持つ船長、というのもあるが、そもそもそんな細々としたことにいちいち首を突っ込むなというのが本音だ。

 痴情の縺れで殺し合いなんざ起きた日には当事者共をぶっ飛ばす。逆に言えば殺し合いにさえならなければ放任だ。

 そして今まで、トラブルになったことはない。

 なかったのだ。

「……旗揚げン時から一緒にいたクルーだしな、お前のことはよくわかってるつもりだけどよ」

 なあ、ワイヤー。目の前の男に冷ややかな目を向ける。

「それァ、ダメだろ。ケジメがつかねぇ」

「カシラ、でも」

「トラファルガーのとこのクルーだぞ!?いくら何でもダメに決まってんだろ!」

 キラーは頭を抱えていた。仮面の下でどんな顔をしているのか、相棒の俺でもわからない。

 ヒートとワイヤーを締め上げてその話を聞いたときは呆然としたものだ。直後トラファルガーの襲撃を受け、口をあんぐりと開けている間に今晩改めて話し合いの場を取り付けられた。

 トラファルガーはギャンギャン吠え立てていたがシロクマと帽子を被った男が引きずって帰っていった。おれ達はただそれを見送るだけで。

「他のやつに示しがつかねぇってのはこの際いい、けど遊ぶなら後腐れないやつにしろ、っていつもキラーは言ってたよなぁ」

 よりにもよってどうして、何故。ワイヤーは目を伏せ、どうにか視線を逸らし続けているが、だからと言って後悔の色は見えない。

 ああ、きっと真面目に交際を考えているのだろう。後に引いてんじゃねぇか。真面目なのはいいことだ、あのワイヤーが……と感慨深くもなるさ。

 だからよ、何度でも言うが。どうしてトラファルガーのとこの奴なんだよ、しかもあっちはあっちで最古参クルーらしいぜ、マジかよ。泣きたいのはこっちだ。

「この後俺はトラファルガーんとこ行って頭下げんだぜ、うちのクルーがてめぇんとこのクソ童貞野郎に手ぇ出して悪かったなってよ!」

 ヤケクソ気味にキレれば周りの金属が浮いた。キラーがおれの肩を叩く。しかしそれもまた着火剤に過ぎない。

「キッド、信じたくないのはわかるがワイヤーが突っ込まれた方だ。そしてペンギンは童貞じゃないぞ、結果的に」

「知るか!じゃあおれはトラファルガーの前でふんぞり返って謝罪を受け取れってか!?そもそも謝って済む話でもねぇだろ!」

「カシラ、殺し合いに発展しないんだから、穏便に済ませましょうよ」

「てめぇらは円満解決だろうがおれとトラファルガーの殺し合いが始まんだよ!このまま丸く収めてみろ!“仲良し海賊同盟”のレッテルを甘んじて受けろってのか!」

 冷静さはどこかに行ったままだ。おれがヒートとキラーに怒りをぶつけていても、ワイヤーからの弁明はない。そして自分自身、もはや何を言っているのか分からなくなってきていた。

「落ち着けキッド。一つずつ片付けていくぞ」

「……おう」

「ワイヤーが真剣に向き合う相手ができた、これはいい事だよな」

「ああ」

ワイヤーの目がキラーを救いの神として崇めているように見えた。

「相手のペンギンは……ハートの海賊団であることを除けば、そう悪いやつじゃない。これもわかるな」

「知るかよ……」

 顔を背けてラムを流し込む。真面目に話しているときに飲むなよ、という指摘は誰からも飛んでこなかった。トラファルガーのとこじゃなければ、攫ってこいと言えたのになァ。

「……ペンギンは、あいつおれをエスコートするんだ」

 笑わせに来てるのか、とも思ったが、ワイヤーの顔は真剣そのものだった。若干の照れが入り混じった表情をしている。

「おれの腕に収まるサイズの癖に、席に座るとき椅子引いたり、突風が起きるとマント抑えたり、さも当たり前のようにそうするからおれ」

 大胆にもこの場で惚気始めたのかとも思ったが、違うらしい。至極真面目にワイヤーは語る。今はそういう話をしてるんじゃねぇと止めようか悩んだが、キラーが静止した。

「味見くらいのつもりでさ。一回からかったら満足だったんだけどよ。襲われた側のペンギンが、開口一番……いや悲鳴のあとだったけど、おれの心配するし、半泣きでおれのために怒ってるし……おれ、どうしたらいいかわからなくて」

 眉尻を更に下げたワイヤー。何度も聞いていたであろうヒートはワイヤーの背を叩く。キラーに至っては年下の初恋話を何度も頷いて聞いていた。

 そしてそれを引き攣った顔のまま聞いていたおれさえ、うちのワイヤーに何してくれてんだあのペンギン!という気持ちが募りつつある。十中八九ワイヤーが先に手を出しているがそんなことは知らねぇ。うちの大事なクルーに傷をつけやがって。火遊びの自業自得?ここまで引き込んだ時点で同罪だ。

「……落とし前をつけてもらおうぜキラー」

「ファ……それは」

「今晩のトラファルガーとの話し合いの場にペンギン連れて来させろ、ワイヤー連れてくからって言っとけ」

「何するつもりだキッド」

 慌てるキラー。何するつもりってそんなのは決まっている。死なば諸共だ。

「決まってる。被害者ヅラするトラファルガーさんにも泥被ってもらおうじゃねぇか」


 ひりついた空気を纏い、会談の場に現れたトラファルガー・ローと、その背後でキッド達の圧に怯える御一行。

 そしてその中にペンギンの姿を見るやいなや、柔らかく笑いかけ、小さく手を振ったワイヤーに、全員が一瞬で阿鼻叫喚の渦に叩き落とされることなどまだ誰も知らない。



おわり



キラーさんは最初から最後まで内心面白がっています


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