ペロロダイナマイト!

ペロロダイナマイト!



~ペロロダイナマイト! 前編~


「あれ? ヒフミじゃん。今日は補習授業部の友達と一緒?」

「あ、こんにちは映画ちゃん。はい。今日は補修授業も無い日なので、みんなで一緒に映画を見に行こうって話をしていたところなんです」


「えと……ヒフミ。誰その人、知り合い?」

「あ、はい。私のクラスメイトで、大の映画好きなので皆からは映画ちゃんって呼ばれてます!」

「あら、そうなんですか。ふふっ、同じヒフミさんのお友達同士、よろしくお願いしますね」

「うん。ヒフミの友達なら、私にとっても大切な人だから」

「その、よ、よろしく……」

「こちらこそよろしく! 私も補習授業部のみんなとは一度話してみたかったんだよねー!」


「それにしても、映画と聞いたら黙ってられないね!
 実は私、遺失映画研究部(非公式)(部員1名)の部長もやってるんだけど……もし良かったら、今から部室にある映画のBDとか観ていかない?」

「え!? い、いいんですか? も、もしかして、ペロロ様の映画もあったり……」


「ふっふっふ……モモフレ映画ならとっておきのものがあるよ!
 子供向けのアニメ映画として制作されながらも、描写の一部が対象年齢に不適切だと試写会でクレームが相次ぎ、上映前に公開中止処分を喰らった幻の問題作!
 その名も『ペロロダイナマイト!』」

「!? ま、まさかあの、ブラックマーケットですら見つからなかった伝説の!? 私もまだ一度も観たことがないのに、現存していたなんて……ぜひ観させてください!」


「え、えっと、よく分からないけどそれって持ってたらヤバいやつなんじゃ……こ、これは監視で仕方なくなんだからね!」

「うん。モモフレンズの映画なら、私も見たい」

「ふふっ、なんだかインモラルな香りがして、興味がありますね💛」


「よーし! そうと決まれば、さっそく上映室へレッツゴー! 今日はみんなに、忘れられない体験をさせてあげるよ!」







~ペロロダイナマイト! 後編~


~~~


「うふふ、なかなか刺激的な映画でしたね。ある意味とても楽しめました💛」

「……いやいやいやいや、終始ツッコミどころしかなかったんだけど!
 ていうか冒頭でペロロジラとペロロサウルスがずっと市街地で暴れてたシーンはなんだったの!? あれ結局その後のストーリーに何の関係もなかったわよね?
 ねえ、私がバカだから分からなかっただけで、私の頭の方がおかしいの? ねえ!」

「うっうっ、可哀想なペロロ博士……いつものモモフレンズとは違って、少し辛くて悲しかったけど……それでも、とっても感動的なストーリーでした!
 特にクライマックスでペロロ様が、爆弾を埋め込まれたペロロ博士を断腸の思いでジェリコ星人のUFOに投下するシーンは涙無しには見られませんでした!
 ねえ、アズサちゃんもそう思いますよね!」

「……えっ、あっうん」

「こ、こんな映画、エッチじゃないけど駄目! 禁止! こんなの子供に見せたら死刑っ!」


「いやー楽しんでもらえて何よりだなぁ! ヒフミは前から絶対いいリアクションしてくれるって思ってたんだよね!
 けど、こんなのはまだまだ序の口だよ。また明日来てくれたら、今度はもっと胸糞な……もとい、面白い映画を沢山観せてあげて……」

「──あら。こんなところでお会いするだなんて。奇遇ですね、補習授業部の皆様。それに……」

「……え、園長っ!? どうしてこんなところに!」

「それはもちろん、私だってトリニティの生徒ですもの。自分の通ってる学校にいたらおかしいかしら?」


「あら? あなたはマティア分派の代表の……ふふっ、はじめまして。お噂はかねがね。それと、その節はどうも💛」

「……ええ。はじめまして、浦和ハナコさん。私もあなたのお噂はよく耳にしておりますわ。
 そのせいでしょうか……あなたとは初めてお会いした気がしませんね」

「はい。私も同じ気持ちです。私としては、いつか『あなた方』とも仲良くさせて頂ければとも思っているのですけれど」

「あら。それは嬉しいですね。……うふふ」


「……と、それはそれとして。あなた、部外の人間に今度はいったい何を見せたのかしら?」

「い、いや園長、今日は本当に大丈夫なやつを選んだから……」

「そっちの銀髪の子、少し気分が悪そうに見えるんだけど」

「え? えっと、本当に私にもわけがわからず……そ、その、ごめんなさい?」


「……うふふ。私はこれから、この方と大事な『お話』がありますので、これで失礼いたしますね。
 それではハナコさん、それから補習授業部の皆様も、ごきげんよう」

「ま、待って園長! どうか慈悲を……クソ映画とクソゲー漬けだけはやめて……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」







~ペロロダイナマイト! おまけ~


「ええと、ハナコちゃん。さっきの方はお知り合いだったんですか?」

「……いえ。お互いに噂程度には聞いていましたが、今日がほとんど初対面です。
 ですが……そうですね。直接お顔を合わせるまでは確かめられませんでしたが、存外仲良くなれそうな方で、少し安心しました💛」


「あのような方々がいるのなら……ふふっ。トリニティもまだまだ、捨てたものではないのかもしれませんね」



おしまい



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