プロローグの終わり
…よし、様子を見たところ、アバンギャルド君と連携して降下猟兵部隊は上手く戦えているようだ。猟兵部隊が戦線を形成し、強力な敵がいる場所にエンジニア部の応急修理&改造型アバンギャルド君を機動戦力として投入。WID第一、親衛隊第二、第三師団及びASS第三、第六師団の手空きの部隊も念の為こちらに向かっている。うむ、問題なし。それを確認したら後は…
「皆さんはアリスの精神世界に入って、彼女を連れ戻してきてください」
“…分かった。行こう!“
「ええ、それでは始めましょう」
…普通に帰れない可能性があるのに行くって結構狂気の沙汰だよなあ…。よし、行くか。原作メンバーに俺と准尉を加えてダイブだ。
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「ここがアリスの…」
「心の中…」
…なるほど、ここがアリスがゲーム開発部と会った場所か。中々神秘的で良い雰囲気だ。
「ねぇ、皆!あそこ!」
ミドリの視線の先に、アリスがいた。
「アリス!!」
モモイがアリスに声をかける。
「……だれ?」
「私たちだよ!」
「アリスちゃん!私たちが来たよ!」
「アリスちゃん!」
「久しぶり…というほど離れてもいないか。迎えに来たぞ、アリス」
「アリスちゃん、無事で良かった!」
ゲーム開発部の面々と准尉がアリスに駆け寄る。俺?あんな小さい子たちの中に加わる勇気は俺にはない。准尉って141cmだから地味にあの中でも一番小さいんだよな…。
“アリス、大丈夫?“
「モモイにミドリ…ユズ…?ボンノウとイクノ、先生まで…?どうして、ここに…?」
「そりゃ、家出したアリスを迎えに来たんだよ!」
「『また会おう』とも言ったしな。友達との約束は守るものだろう?」
「アリスちゃん、早くここから出よう!」
「帰ろう、アリスちゃん」
「あ…アリスは…アリス、は…」
「王女よ、あなたが見てきた光景を忘れましたか?」
「誰!?」
“…Key“
「つまり、あれが…!」
「アリスちゃんと同じ顔をしたあの人が…」
「アリスちゃんを、ここに閉じ込めた元凶…?」
「そういうこっ…事だな」
「さっきぶりだね」
“アリスが見てきた光景って、一体何の話?“
「私たちの戦う光景を見せてきたということでしょう。それでアリスの心を折ろうとしたと」
「ええ、あなた達がこの場に足を踏み入れるまでに戦い、走り、転んで、傷ついてきた光景です」
様々なエリドゥ内での情景を浮かべながら、ケイが話し始める。
「何故このようなことが起きてしまうのか…その答えを、王女は既にご存じなのではないでしょうか?」
「…アリスは…」
アリスが、ポツポツと語り出す。
自分のせいで、皆が傷ついたこと。自分がいたら今後も皆を傷つけてしまうこと。そして────
「アリス、はこのまま消えるのが正しいのです」
だが、それを彼女が許すわけがない。
「『テイルズ・サガ・クロニクル2』は…!私たちが、一緒に作ったゲームは!!特別賞をもらったよ!!!」
ほーら、闇を照らす太陽様のご登場だ。
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「な、な、なぜ、ですか?みんな…どうして…アリスは…魔王なのに…」
「アリスのせいで…みんな、怪我したのに…」
「なんで、みんな…アリスを怖がったり…憎んだりしないで…」
「そうやって…」
「だって!アリスちゃんは…私たちの仲間だから…!」
「…!」
「自分の意志に反して体が動いて、苦しんでいる仲間を憎む奴がどこにいる?」
「アリスちゃんが今までやってきたゲームでもそうだったでしょ?」
「それに、この前アリスちゃんが言ってくれたことがあったよね?『ファイナルファンタジア』、『ドラゴンテスト』、『トールズ・オブ・フェイト』『竜騎伝統』、『英雄神話』『アイズエターナル』…そして、『テイルズ・サガ・クロニクル』…。どんなゲームでも、主人公達は…」
“「決して、仲間を見捨てない(諦めない)」“
…やっべ、先生とセリフ被った。でもこれは言いたかったからね、仕方ないね。(EDF並感)
「アリスは、ただ自分がなりたいジョブを選んで転職すればいいんだよ!」
「戦士、騎士、魔法使い、僧侶─なんでもいいよ、アリスちゃん。もちろん、他の職業でも」
「その…勇者もいるよ」
「アリス、言っただろう?アリスのそういう心は勇者の心持ちだ。勇者への転職条件なんて、とっくの昔に満たしてる。レベル上げないとまだ見習いかもしれないが…」
「そのレベル上げだって皆で手伝う。もちろん、ゲーム部の皆だけじゃなく、私たちも、先生も」
「本物の魔王を見てきた俺が保証する。アリスは、魔王じゃない。」
“だから、アリスの本音を聞かせてほしいな“
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“君がなりたい存在は、君自身が決めていいんだよ───アリス“
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決意を固めたアリスが、光の剣を抜く
「それは…!『王女』よ…あなたのその能力は…!」
「あなたのその力は、世界を滅ぼすために存在するというのに…!」
「違います!アリスのこれは勇者の武器です!何故なら!アリスがそう決めたからです!」
「今のアリスは光属性の勇者…!」
「光よ──────!」
「王女よ…あなた…は…」
「アリスのクラスは『王女』ではありません!」
「アリスは…『勇者』です!」
「理解…不能…」
「…」
周囲が、光に包まれる。さて、これでハッピーエンド。そしてここからは…
俺の合理的我儘の時間だ。
「准尉、すまん。しばらく戻れないかもしれん。皆にもそう伝えておいてくれ」
「えっ」