『プレゼント』

『プレゼント』


「あらルフィ、どうしたの?」

「ロ、ロビン!」

ロビンはアクアリウムバーで珍しく雑誌を読んでいたルフィに訪ねてみるとルフィは咄嗟に雑誌を隠した。ロビンは普段やらないルフィの行動に察した。

「ふふ、ルフィが雑誌を読むって事はウタに関してかしら?」

「いい!?なんでいつもわかんだ!?」

ロビンに指摘された事が図星だったのかルフィは顔を少し赤くしてグニャグニャと自分の頬を弄っていた。ロビンは1ヶ月前にシャンクス達の方へ戻ったウタ関係だと分かるとニコニコと笑みを向けてルフィもそれを向けられると観念したのか隠した雑誌を出した。

「『好きな人へのプレゼント』」

「いつもウタに色々と貰ってるから何かお返しがしてぇんだけど、よく分かんねぇんだ」

ロビンはルフィの隣に座って雑誌をペラペラと捲って見てみると確かにこれはルフィにはまだ分かりづらいだろうと思った。単純にルフィとウタの付き合い方は雑誌の対象年齢よりもだいぶ幼い感じなので大人向け過ぎた。

「確かにこれは2人には合わないわね」

「う~ん、どうしたらいいんだ?小遣いの前借りはあんましやりたくねぇし」

悩んでるルフィにロビンは雑誌を置いて少しだけ助言をしてみた。

「ルフィ、もっとシンプルな物の方がウタは喜ぶと思うわ」

「??」

「ウタに何を貰ったのか考えてみて」

「・・・あっ!分かったぞロビン!!」 

ロビンに言われてルフィは以前ウタから何を貰ったのか思い出すと笑った。

「ふふ、良かったわ。手伝いましょうか?」

ロビンにそう聞かれるとルフィは首を頷きたくなったが自分でやる方が良いと思って止めた。

「ししし、大丈夫だ!けど、本を貸してくれ!!大事に使うから!!」

「分かったわ」

ルフィに言われるとロビンは自分の本のある1冊をルフィに貸してあげた。ルフィは珍しく三日間それを読んである事を覚えていた。





〇〇〇

1週間後、ウタと赤髪海賊団はある場所を訪れていた。それはルフィが以前ドフラミンゴをぶっ飛ばした国であるドレスローザだった。

色々と復興が進んで国には活気が満ちていてウタはルフィにデートのお誘いを受けたので快く了承して来たのだ。

「着いたよ、ドレスローザ!!」

「おぉ、良いところじゃねぇか。ルフィもやるなぁ」

「シャンクス!私、ルフィと待ち合わせしてる場所に行ってくるね!!」

「あ、待てまだお前はここを良く知らねぇ・・・行っちまいやがった」

ウタは元気よくそう言ってルフィがいるであろう待ち合わせ場所の港町までの地図を持ったままさっさと行ってしまった。

「よっぽどルフィにぞっこんのようだな」

「・・・なぁベック・・・」

「黙れ、また3ヶ月ぐらいクロスギルドに放り出すぞ」

「えぇ!?止めてくれよ、あれからバギーが俺を見たら大砲を向けるんだぞ!?最後なんてガチで撃ち始めたし・・・」

「なら大人しくしとけ」

「・・・はい」

またウタの邪魔をしようと企んだシャンクスだがベックマンは何かを言う前に止めた。シャンクスは強制的に止められたのも相まって項垂れた。




〇〇〇

「ルフィ♪ルフィ♪ルフィ♪ルフィ♪愛しのルフィ♪キャッ♪♪♪」

頬を染めてスキップしているウタは待ち合わせの場所を示した地図を見ながら向かっていた。すると大きな声が前から聞こえてきた。

「お~い、ウタ〜!!」

「!!・・・ルフィ〜!!」

目の前の少し離れた所にルフィが手を振りながら呼んでいたのでウタは笑顔ですぐに走って向かっていき、ルフィもウタに向かって走った。

そしてお互いにハグしようと思って手を広げて行くがハグする前に顔を赤くして止まった。

「ウ、ウタ。久しぶりだな」

「う、うん!1ヶ月ぶりだね!」

お互いに久しぶりで今まで会えてなかった分、恥ずかしくなってきたのか広げていた腕を下ろして少し戸惑っていた。ドキドキと煩くなる心臓に合わせて赤くなる顔を見られるのが嫌なので2人はすぐに横に並んだ。

「そ、それじゃ。デ、デートに誘ったんだからエスコート頑張ってね!」

「おう!美味え所とか綺麗な所知ってるからな!」

2人は顔を赤くしながらそうやって話し合ってるとルフィはウタの手を握った。ウタはそれに驚いてルフィの方に目を向けるとルフィは首まで赤くしていたのでウタはそれに嬉しさを感じて何も言わずにただ手の熱さを感じていた。


〇〇〇

デートは上手くいった。ルフィもウタの喜びそうな場所に行ったし、食べ物に関してはお互いに好きな物を食べられる場所にも行き、楽しめる所にも行って大満足で日も落ちてきたのでルフィはウタをレッドフォース号まで送っていた。

「お~い、シャンクス〜!」

「ウタ!帰ってきたのか!?」

「うん、楽しかった!!」

「ししし、シャンクス久しぶりだな〜!」

「久しぶりだなルフィ・・・所でウタに手は・・・」

「お頭?」

「これくらいは良いだろ!?」

「「???」」

シャンクスはウタの喜んでる顔を見て嬉しく感じつつもやっぱり気になったので訪ねようとしたらベックマンに止められて納得出来ず、ルフィとウタはそれに首を傾げていた。

「どうしたのかな??」

「さぁ?・・・なぁ、ウタ。ちょっとだけ待っててくれねぇか?あるもんを取りに行きてぇんだ」

そんな中でルフィはウタに真剣な眼差しでそう言ってきた。

「うん?何か大事な物?」

「あぁ、大事な物だ。ちょっとだけ待っててくれ」

「うん。良いよ!」

ルフィが何を取りに行くのかウタには分からなかったがよっぽど大事な物だろうと云うのは分かったので今日は1日凄くエスコートしてくれたのもあって快く了承した。

ルフィはそれに笑うとすぐにその場から離れた。

「ん?ルフィの奴はどうしたんだ?」

「さぁ?待っててって言われたから待つね。シャンクス」

「そうか・・・寒くなったら船に戻れよ」

「は~い!」

ルフィが突然離れた事に首を傾げたシャンクスはウタに聞いてみるとそう答えられたのでそれだけ言った。

ウタは暫くの間船に乗らずに待ってるとルフィがほんの十分ぐらいしてやってきた。

「ウタ、待たせて悪い!!」

「ルフィ、もう用事はいいの?」

「おう!」

笑顔で答えるルフィにウタは何の用事だったのか気になったので軽く訪ねてみた。

「それでルフィ。何の用事だったの?」

そう聞いた途端ルフィの顔が赤くなった。ウタはそれに首を傾げてるとルフィは顔を赤くしたまま隠し持っていた12本の薔薇の花束を出した。

「??」

「ウタ・・・こ、これ・・・そのいつものお礼だ!!」

「えっ?わ、私に!?」

「お、おう!」

まさかのルフィからのプレゼントにウタは顔を真っ赤にした。ルフィも真っ赤なままで暫くお互いに固まっていたがウタはゆっくりと頷いてその花束を受け取った。

ルフィはそれに嬉しくなるとウタを抱き締めるとゆっくりと2人共唇を近づけていった。

「ギャァァァァァァ!!ルフィ、ウタ!!そこから先に進むなぁ!!」

「「!?」」

「あ、このバ頭!!」

「やっぱりやりやがった!!」

だがそれはレッドフォース号の上から見ていたシャンクスの叫びで止められた。赤髪海賊団の面々は必死に暴れようとしてるシャンクスを抑えていた。

「も、もう!!良いところだったのに!!シャンクスの馬鹿!!」

ウタはムードをブチ壊してきたシャンクスに怒っていてルフィは真っ赤なままだが何かイタズラを思いついたような顔になった

「ウタ!」

「なにル・・・ムッ!?」

「ルフィ〜!!!何やってんだクソガキ〜!!!」

『おぉ!ルフィやるじゃねぇか!!』

ルフィはウタを呼ぶと真っ赤になったまま唇を重ねた。ウタは突然の事に驚き、シャンクスは覇王色が漏れるほど動揺していて他の赤髪海賊団の面々はルフィの大胆な行動に歓声を上げていた。

ルフィは唇を離すと自分がやった事に今更羞恥心が出てきたのかより顔を赤くしてウタは突然の事に固まっていた。

「ウ、ウタ。その・・・また会おうな!!」

「あっ!?・・・う、うん!またね!!」

ルフィはその場から慌てて去っていき、ウタはまだ夢心地なのかボーッとしていた。

「ルフィ〜、あの野郎〜」

「ルフィの奴もやるな」

「だな、12本の薔薇の花束なんてな!」

「ん?なんか意味があんのかヤソップ?」

「いや、俺もバンキーナに結婚する時にプレゼントしたからな」

12本の薔薇の花束の意味は『私の妻になってください』。ヤソップはそう赤髪海賊団の面々に言っていくとシャンクスがあまりの衝撃に堪えきれなくなったのか気絶した。




〇〇〇

「おバカ!!返事をちゃんと聞いてから帰ってきなさいよ!!」

「ルフィ、それは良くないわよ」

一方、サニー号ではあらましを聞いたナミとロビンが逃げるように帰ってきたルフィに小言を言っていたがルフィは顔を真っ赤にしたまま固まっていて完全に耳に入ってなかった。

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