プリチュアおじさんの逆襲 2

プリチュアおじさんの逆襲 2


俺は制服から絞り込み、やつらの通っているらしい鳳真(ほうま)高校へ来た。

ここへは女子高生を視察するために何度も足を運んだが、今日のターゲットはただ一人。

実に憎たらしい、あの学生カップルだ。

考えただけで癪に触るが、もうすぐ復讐できると思えば我慢も容易い。

今頃は俺の存在も忘れて、きっとのんきにいちゃいちゃしてるんだろうな。

あいつらの幸せや財産や大切なものを、この手で全部ぶっ壊すのだ。


外見は覚えている。

女の方は黒に近い青の長い髪と、水色の綺麗な目をしてたなぁ。

ヘアピンを付けてれば判別しやすかったんだが、アクセサリーはなかった。

男は興味がないからほとんど忘れたが、茶色のショートボブだった気がする。

マフラーと制服の中にセーターを着用していたから、きっと寒がりなんだろう。

俺が女を襲ったら男は怒って反撃したり騎士みたいに女を護るだろうけど、まぁあんなチビ共が怖いわけがない。


問題はただ一つ。


学生が多すぎて判別がつかないことだ。

前を見ても後ろを見ても、ターゲットがどこにいるか分からない。

似たような顔のやつらがうじゃうじゃいて、どこに混ざっているか分からない。

あいつらが部活に入っているかどうかも分からないから、絞り込む方法がない。

もしも部活に入っているのなら、あと一時間はここで待たないとならない。

あいつらは見た感じはリア充だし、俺のいない門から抜けてそのまま二人でお出かけ………なんてこともありうる。

なんなら二人で行動していない可能性もあるし、それならなおのこと面倒だ。

さすがに学校の中に入って探せば即通報案件だし、俺はそこまで馬鹿じゃない。

わざわざ高校生どもが学校を出る時間帯を見計らって来たのは、そのためだ。


そこで、聞きこみをすることにした。

捜査というのは、何事も情報が命。

情報がなければ、探偵も調査は不可能。

俺はとりあえずその辺にいた男子高生どもの集まりに目をつけ、話しかけた。

怪しまれないようにできるだけ優しく。


「君たち、この学校の子かな?」

俺に話しかけられたガキどもは返事の代わりにスマホを取り出し、何かをポチポチと打った。

「警察に通報しないでくれ!男同士だろ!」

「ほら、ロングヘアの女の子と茶色い髪の男の子のカップルがこの学校にいるらしいんだが……」


俺のその問いに、「一年にそんなやついなかったか」、「心当たりがあるけどそいつはまだ部活にいると思う」と答えた誰かがいたが、そいつの口を周りの連中が慌てて押さえつけてしまった。

知らない人に軽々と情報を渡す馬鹿はこちらからすれば助かるが、相手にとっては学友を金で売るのも同然の行為だからだ。

まぁ、こちらからすればどうでもいい話だが。

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