フロイライン様のお気に入り
ベリーメロンもはや数週間は前になる。突然異世界から飛ばされて来たというその少年は路頭に迷い、愚かにもヴァンパイアの領域にまで迷い込んでしまったという。
何の力もない少年にとってそこはあまりに危険な場所だが、幸運にも彼は生き残り、やがて一人のヴァンパイアに拾われる。
数いるヴァンパイアの中でも特に変わり者とされる怠惰なその少女の名はフロイライン。
傘を差したまま気怠げに見つめてきた少女の姿は、少年にとっては女神に見えたそうだ。
フロイラインの最近のお気に入りは、こうしていつもの惰眠に浸る際にその少年を抱き枕として眠ることだった。
豪奢なベッドの上で、日が沈むまではこうして好きなだけ眠る。なんなら一日中眠ることだって彼女は厭わないが……そこは抱き枕にしている少年が許さない。
気紛れで拾った彼はフロイラインを恩人として身の回りの世話をするようになり、チューガクセー?というよくわからない身分の割にこの屋敷を切り盛りしている。
怠け癖の強いフロイラインにとって、身の回りのことを色々してくれる彼は確かにありがたいものだった。
「んんぅ……あったかい……」
生きている子供の体温はなんと心地良いことか。絞め殺さぬようある程度力は抜いているが、ぎゅっと抱き締めれば安心感がフロイラインを包む。
「んっ……」
少年はといえば抱き枕にされる時はいつも背を向けていた。見た目こそ儚い美少女そのものなフロイラインからの抱擁を、正面から受けるのは流石に色々耐えきれない。
それでも背中に当たる仄かな胸の感触はとても柔らかく、首元にチラチラあたってくる銀髪は滑らかで、耳に滑り込んでくる微かな身動ぎや寝言はあまりにも少年に酷なものだろう。
思春期真っ只中だったらしい彼の股間が堅く滾り始めるのも当然のことだった。
「うーん……」
ぐっすり眠るフロイライン。こんな生活を何日も過ごした少年が、我慢の限界になるのは仕方ないことだった。
拾ってくれた恩人であり、今やお嬢様と呼んで親しくする相手にそういう感情を抱くのは憚られたものの、鎌首をもたげた感情を止める術がない。
こっそりと抱き枕状態から抜け出して、身を起こして眠るフロイラインを眺める。一度寝たら起きない彼女だ。少しくらい触っても……
「……どうかしたの?」
何かモゾモゾしだした少年に、フロイラインは寝惚けながらも問いかけた。どういうわけか、今日は眠りが浅く何となく目覚めてしまったのだ。
ぎょっとした少年は固まるが、伸ばされた手はフロイラインの胸に至っている。柔らかい感触につい指が動いてしまえば、フロイラインは小さく声をこぼした。
「んっ……」
殺される!と慌てて手を引く少年は怯えていたようだが、フロイラインは不思議と怒りは湧いてこなかった。よく見てみれば彼の股間は膨らんでいて、興奮していることをフロイラインは悟る。
寝込みを襲おうとした事実に怒りが浮かぶよりも、ああ男ならそうなるのか?と何とも言えない納得もあった。
「ハァ……仕方ないわね」
起き上がるのも億劫だったが、静かに眠るためなら仕方ない。
身を起こしたフロイラインは溜め息をつきつつも、その黒い衣装を自ら脱いでいく。晒された薄いキャミソールに、少年が息を飲む音が聞こえたがフロイラインは気にすることもない。
「主として、スッキリさせてあげるわ」
ヴァンパイアとなってそれなりに長いためか、その手の羞恥心をフロイラインはほぼ感じない。
食い入るように眺めてくる少年の目の前でキャミソールのリボンを解けば、はらりと大きくはないが形の良い美乳が晒された。ヴァンパイア特有の白い肌に対し、元が人間だったフロイラインの乳首のみ乳白色が残っている。
「まずは……触ってみる?」
軽く問いかけてみれば、少年は思わずといった様子で頷いた。すぐに赤くなる彼だが、フロイラインは何も言わず隠すことすらしない。やがて欲望に負け遠慮しがちにも、少年は手を伸ばしてきた。
「んんっ……」
抱き枕にしている時とは違い、ダイレクトに伝わってくる人肌のぬくもり。少年は逆にヴァンパイア特有の肌の冷たさに驚いているようだが、だんだん指の動きが大胆になっていく。
むにゅむにゅ、ふにふに、とゆっくりと揉みしだかれる度に、むず痒いようななんとも言えない感覚がフロイラインを襲っていた。
「ん……そんなに、触って楽しい?」
思わず聞いてみれば、少年は素直に気持ちいいと言ってきた。ならばいいと好きにさせていくフロイラインだが、ひたすらに揉みしだかれ先端を擦られを繰り返していくうちにだんだん何かが抑えられなくなっていく。
「んぅ……あっ……んぁっ……ふっ……」
フロイラインが微かに漏らす甘い声。それは少年を昂らせ、より興奮させてズボンに出来た山の頂上にはシミを作り始めている。
それに気付いたフロイラインは、おもむろに少年の股間を撫でた。驚く少年に対し、囁く。
「ここを治めれば、落ち着くのかしら?」
ゆっくりと撫でただけで少年の肩は震え、気持ち良さそうに頬を染めていた。少年の手は止まってしまったが、フロイラインはそのままチャックを外し彼のズボンを、その下のパンツも脱がしていく。
「こんな風になるのね?」
興味深くフロイラインは別の生き物のようにひくつく肉棒を眺めていた。冷たい指先で軽く撫でれば少年は微かに声を漏らし、フロイラインは好奇心のままに優しく握り込んでいく。
「熱い、わね?」
ヴァンパイアゆえに体温が低いからだろうか。フロイラインはソレが熱を持っているかのように、思わず錯覚してしまう。
そのままゆっくりと手を動かせば、少年の肉棒はびくつきながらもより硬くなっていく。
「ん、扱けばいいの?」
少年に聞けば手で扱くのだと教えられ、ゆっくり棒に沿わせて手を上下させていく。分泌された我慢汁は白いフロイラインの手を汚し始めていた。
たどたどしい手付きだが、少年にとってはそれだけでも十分だったのだろう。出ると少年が呟くと同時に、ちょうど先端を覆ったフロイラインの手に精液が吐き出されていく。
「手……ベトベトね?」
白濁した精液で汚れた手をじっと見ながらフロイラインは呟く。拭くものはなく、どうしようかしら?と眺めていたが、思い付いたように口に近付けていく。
(確か、ファシネイターやサッカーが美味しいとか言ってたかしら?)
たまに訪れる珍客の言葉を試してみるか、とフロイラインは手に付いた精液をチロチロと舐め始めた。
そのあまりにも淫らな光景を少年が見ていることも忘れて、猫のように手を舐めていく。
「れろっ……ちゅぷ……美味しくは、んんっ、ないわね……?でも……」
舐めれば舐めるほど、なんとも言えない感覚がする。これのことをあの二人は言っていたのだろうか。
フロイラインは手に付いた精液を全て舐めとってから、落ち着いたはずの少年を見たが。
「あら?さっき、治まったはずだけど……」
困惑するフロイラインだが、少年は鼻息荒く自分を見つめていることに気付かない。その手が、フロイラインの下半身を目指していることにも。
「んんっ……!?」
フロイラインの下半身に少年の手が到達すれば、彼女は胸を触られていたときとは違う感覚に戸惑った。
レースで縁取られたショーツの中に、遠慮なく挿し込まれた指がぎこちなく蠢く。それだけなのに、フロイラインの身体は敏感に感じているようだ。
「んっ、待ちなさ、い……んぅ……」
有無を言わさず、リボンを解かれてショーツが脱がされていく。
そういう部分だけは人間らしく残っているらしい。すでにしっとりと濡れていたフロイラインの秘部は、少年の指に弄り回されただけで愛液を垂らしていた。
「ココに、入れたいの?」
赤い瞳を揺らして尋ねれば、少し平静を取り戻した少年が頷いた。
勝手な行動を咎め、このまま罰することだってフロイラインにはできる。されど、その先への興味がフロイラインから抵抗を奪っていた。
「仕方ないわね、いいわよ……?」
人間の時に捨てなかったこれを、今になって捨てるのか。何となく自嘲気味に笑うフロイラインだが、不思議と嫌悪感は湧いてこない。
肯定されて腰を近付けてくる少年に、フロイラインは思い付いたように口を開く。
「始める前に、口付けをしてくれるかしら?そういうのが作法なんでしょ?」
囁けば、おずおずと少年は口を近付いてくる。まるで眠れる姫が王子から口付けをされる御伽噺のように、寝そべるフロイラインに覆い被さって。
「んっ、ちゅぷ……はふ……んんっ……」
興奮しきっている少年は、口付けが始まればがっつくように舌をフロイラインの口内に入れていく。
少しだけ驚いたフロイラインだが、キスとはそういうものだと知り合いが言っていたのを思い出して舌を絡め返し始めた。
「んりゅ……はぷ、んぅ……」
たどたどしくも舌を絡め合う、慣れない者同士の長い口付け。それが終わり、唇を離せばじっとりとした唾液が糸を引いていた。
フロイラインは足を開いて少年に囁く。あいにく気の利いた言葉は出ないが。
「いいわよ」
その言葉に対し、弾かれたように少年は硬くなった肉棒をフロイラインの秘部に押し付けていく。
少年は入れる場所がわからず迷いかけたが、フロイラインは自らの手で入り口へ導いた。そのまま腰が前に前進を始め、ゆっくりと肉棒がフロイラインのナカに沈んでいく。
「んんっ……」
冷たいヴァンパイアの身体には、熱い杭を挿し込まれたようだった。だが痛みを感じることもなく、強い快感にフロイラインは包まれていく。
まだ成長しきっていない少年だが、そういう経験をすることなく生きてきたフロイラインにはほどよく収まった。
根元まで挿し込まれた後に、フロイラインは囁く。
「一応、ハジメテよ?男はそういうのが好きって聞いたけど……どうしたの?」
解くに気にしないように言い出すフロイライン。しかしそれが少年を昂らせ、理性を外す要因になった。
「んんぅっ!待ちなさっ……んあっ、んんっ♡」
猿のように腰を打ち付け始める少年。フロイラインはいきなり激しくナカを掻き回されて、珍しく慌てたように声をあげたがそれもすぐに甘いものに変わる。
「あっ、んんっ……♡はふっ♡んんぅっ♡」
フロイライン自身、自分の身体が興奮し始めていたことに今の今まで気付いていなかったようだ。
オスを受け入れたことで、より一層快楽を感じやすくなった身体は、少年が腰を打ち付ける度にフロイラインの落ち着きを完全に崩壊させていく。
「ひあっ……ああっ、あるじ、なのにっ……んっ♡」
従者に乱れさせられている。その事実にフロイラインは混乱したように喘ぐことしかできない。
とはいえ、少年もまた甘く喘ぐフロイラインを前にして、理性を溶かしきっていた。
「んっ♡あっ♡んんっ♡あっ♡あっ♡ああっ♡」
ヴァンパイアは性行為を好むと知り合いが言っていたのを、少年と絡み合いながらフロイラインは思い出す。血を吸うだけに飽き足らず、淫魔のように相手を求めてしまうのだと。
それがこのことか、フロイラインは今になって気付くものの、少年の肉棒は彼女のナカへ欲望を吐き出したくて仕方ないらしい。
(今出されたら……)
あんな熱いものから注がれれば、フロイラインはどうなってしまうのか。されど拒む気は起きない。
心の準備をするよりも早く、少年のピストンは激しくなっていきとうとうその時が来た。
「あっ♡んんっ……ま、待ち……んんんぅぅっっっ♡♡」
一気に注がれる大量の精液。一回出したと言うのに、こんなに出るものなのか。フロイラインは一滴も残さないように注ぎ込まれる熱いソレを、震えながらも受け止めていく。
「やけど、しそう……あっ♡」
ゆっくりと引き抜かれるだけで、フロイラインは軽く喘いだ。脱力しきった身体はしばらく動かなさそうだが、不快感があるわけでもない。
やっと落ち着いたらしい少年は、自分がしたことに気付いて顔を青くしていた。
「怒ってないわ……でも、こんなに、気持ち良いのね……」
自然と出た感想だが、嘘ではなかった。眠るのが一番好きなフロイラインだが、こういうのも悪くはないと。
溜め息をつきつつ、やがて口を開いた。
「起きたらお風呂に入りたいわ……あとシーツの取り替えもお願いね」
身体がベトベトなのは流石に嫌だ。けど今から入るのも交換するのも面倒だった。少年はコクコクと頷きつつ、フロイラインの隣で眠ろうとしたが。
「貴方も、お風呂に一緒に入る?」
フロイラインの何気ない言葉に少年は思わず頷くと、その光景を想像してしまったらしい。
また硬くなったソレをフロイラインは呆れたように見つつ、口を開くのだった。
「まだ、眠れないみたいね……いいわよ♡」
どうやら自分もかなり嵌まってしまったようだ。それを悟りつつ、少年を受け入れるフロイライン。
そうして再び二人は身体を絡ませていく。
結局のところ、やっと眠りつけたのは何時間も後のことだったと言う。