フロイライン嫉妬篇

フロイライン嫉妬篇



ふらりとお屋敷の中を散歩する、フロイラインからは

「わたしがいないときに1人で部屋の外に出たらダメだからね?お屋敷の中には恐ろしいヴァンパイアがたくさんいるんだから」

君もそうじゃない?とツッコミそうになったがグッとこらえてその時は

「うん、わかったよ」

と答えたが、なにかに誘われるように部屋を出てしまった。なにやら甘い香りがするようなその部屋に近づくと部屋の中に引きずり込まれた!

「ばぁ!どう?ビックリしたかしら?」

その部屋の主はフロイラインの上司?のヴァンプだった

「なにかご用ですか?ヴァンプ様」

ヴァンプはベッドに腰かけると口を開く

「頭が高いわ、人間。そこに直りなさい」

ヴァンプの前の床を指差された。そっちが部屋に引き込んだと思うのだが……仕方なく床に正座する

「なんてことはないのよ、少しお腹が空いちゃってね。外に探しに行ってもいいんだけど面倒だし……だからフロイラインのペットのあんたでもつまみ食いしようかなって」

ヴァンプが顔を近づけてくる。部屋の外まで感じた甘い香りがふわり顔をつつむ。ヴァンプに顔を掴まれ囁かれる

「なにも命まで取ろうってわけじゃないのよ?ちょっとかぷっ♥️とさせてもらうだけ。ほら、私に身体を心を預けて……」

男を誘い、惑わせ狂わせるヴァンプの誘い。その声、視線、仕草、体つき、そしてこの甘い香りはフェロモンだろうか。その存在すべてが男を堕落させるためにそこにあった。正常な思考が奪われ、蕩けてしまいそうになる……だが

「ほら、きっとフロイラインよりも気持ちよくさせてあげるわよ?」

その一言で目が覚めた

「お断りします、ヴァンプ様」

「は?」

ヴァンプの目が変わる、もはや男を惑わす少女ではなく人を食らわんとする恐ろしいヴァンパイアのそれだった。でも、怖じけついてはいられない。しっかりとヴァンプの目をにらみ返し告げる

「僕はフロイラインのものですからたとえヴァンプ様の誘いでも乗れません。ごめんなさい」

「へぇ……面白いじゃない、人間風情が!」

顔を掴まれる手に力が入る。爪が食い込んできて痛い

「私に誘われて断った男はいなかった!全員壊してやった!なのにあんたは……!力ずくでも手に入れてやるわ!」

そう言うとヴァンプは牙を立て僕の首筋に突き立てようと構えるがその刹那、扉が勢いよく開け放たれた!

「その手を離してください、ヴァンプ様」

「へえ?私に指図するつもりなの?フロイライン!」

そこにいたのはフロイラインだった。かなり怒っているように見える。これはまずい。

「聞こえなかったんですか!ヴァンプ様!はやくその人から手を離せ!わたしがわたしでいられるうちに!」

フロイラインは爪を立て怒りに震えている。フロイラインには命を削りヴァンパイアを強化する能力がある。それは自分自身にも使えるのだ、今ならヴァンプも倒せそうなくらいには力が高まってるのを感じる

「ふぅん……あんたがここまでするなんてね……」

ヴァンプは力が及ばないと感じた……のか定かではないが僕の顔から手を離すと

「そんなに大事なら首輪でもつけて部屋に繋いどきなさい」

僕の首根っこを掴み、フロイラインに投げて放り投げた。そのままフロイラインに受け止められた

「わわっ……大丈夫?ダーリン、ケガはない?」

「うん、大丈夫だよ。助けてくれてありがとう。」

「ううん。ダーリンのためならこれくらい当然よ。それより1人で部屋から出ちゃダメって言ったじゃない!」

「それはごめん、許して欲しい」

「今夜構ってくれたら許してあげる」

「それならお安いご用だよ」

すっかりフロイラインは落ち着いたようだ、よかった

「へぇ……『ダーリン』ねえ……」

その様子を見ていたヴァンプが呆れたように口を開く

「なっ!?勘違いしないでくださいねヴァンプ様!ダーリンって名前をつけて飼ってるだけですから!恋人とかじゃないですからね!」

その誤魔化し方はどうなんだろうか

「まあ、そういうことにしといてあげるわ」

「それよりヴァンプ様どうしてこんな真似を?」

フロイラインは僕を抱き締めながら問いかける

「別に?美味しそうなペット飼ってるしちょっとつまみ食いしてみようかなって。でもそこまであんたが夢中だなんて思わなかったわ」

ヴァンプはまったく悪気なく答える。

「それはその……とにかく!この人は誰にも渡しませんから!ヴァンプ様でもダメです!」

「つまみ食いも?」

「ダメです!」

「はぁ……仕方ないわね。ちょっと外に出てくるわ」

ヴァンプはベッドから起き上がると部屋から出ていこうとする

「どちらに?」

「元々の予定どおりご飯を捕まえてくるのよ」

「行ってらっしゃいませ」

「お見送りありがと、あ、イチャつくなら自分の部屋でやりなさいよね」

「っ~~~!!!もう!はやく行くなら行ってください!」

「はいはい、それじゃあねフロイライン、ダーリンくん。フロイラインに飽きたらいつでも言いなさい?その時は甘い夜を過ごしましょ?」

「ヴァンプ様!!」

「フロイラインに飽きるなんてこと、僕は絶対にありませんよ」

「ダーリン……♥️」

「あーやだやだ、憎たらしい太陽よりも熱いわねあんた達」

呆れた様子で出ていくヴァンプを二人で見送った。

「なんとかやり過ごせたね」

「そうね、それよりダーリン!こういうことがあるかもって思ったから部屋から出ちゃダメって言ったのよ!?」

「うん、今回のことでよく身に染みたよ。気をつけるね」

「わかってくれたらいいのよ。じゃあわたしたちの部屋に戻りましょ?」

フロイラインと手を繋ぎ、部屋に戻る

「ねえ、ダーリン……久しぶりに力を使ったら疲れちゃった……ね?」

彼女はなにかをねだるような誘うような目でこちらを見てくる。うん、誘われるならフロイラインが一番だ

「そうだね、迷惑かけちゃったしフロイラインの好きにしていいよ」

「やったぁ!ダーリン大好き!」

「僕も大好きだよフロイライン」

今夜も長くなりそうだが仕方ない今日こそは気を失わなければいいんだけど。そう思いながら彼女部屋に戻り、二人で愛しあった


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