フルルドリスと過ごす夜

フルルドリスと過ごす夜


質量を持つソリッドビジョンを用いたデュエルが実用化に至り、誰のデュエルディスクにもそれが標準搭載されるようになった時代。

まことしやかに語られる噂話に、こんな話があった。

『カードを愛し、カードに愛されたデュエリストが持つそのカードには、魂が宿る』……という。


俗に『カードの精霊』と呼ばれるその噂の出処は定かではないが、曰く……精霊が宿るカードを召喚に用いると、デュエル中でなくともリアルソリッドビジョンを呼び出せるとか、しかもその感触はあまりにリアルだとか、対話すら可能だとか、たっぷりと尾ひれをつけてデュエリストたちの間で語られていた。

その噂を眉唾ものだと言って信じないものもいれば、血眼になってエースカードに愛を注ぐものもいる、そんな街で。

『あなた』は、ひとりのデュエリストとして暮らしている。


そこはひとりで暮らすには部屋数が余る、マンションの一部屋。

きれいに片付いた自室で、あなたは一枚のカードを手にしていた。


そのカードは、『教導の騎士フルルドリス』。

あなたのデッキで重要な役割を担うエースカード。

机の上に置かれたデュエルディスクにそれをセットした瞬間――デュエル中以外では起動することのないリアルソリッドビジョンシステムが起動し、放たれた粒子が部屋の中央にひとりの女性を作り出す。

長身でグラマラスな体型の、アヤメ色をした長い髪の女性。つまり……フルルドリスを。


フルルドリスはあなたの目の前でゆっくりと目を開き、そして、にこりと微笑んだ。


「お呼びでしょうか。主様」


――ソリッドビジョンは質量を持っていても、そこに意思は与えられていない。

言葉を口にするとしてもせいぜいが掛け声程度であるはずのビジョンが、あなたの目の前で、ひとりの女性として言葉を話す。


眉唾ものの噂話に、どうしてそんなにも尾ひれがついて広まっていったのか。

『すべて本当のことだから』……という答えが、あなたの目の前に確かにあった。


過程はどうあれ、あなたは精霊を宿したフルルドリスのカードを持っていて――それをデュエルディスクにセットすることで、フルルドリスという女性をいつでも呼び出すことができるのである。

フルルドリスもまた、精霊となる過程であなたと確かな信頼に裏付けされた主従の関係を築いており、呼び出されることに抵抗は無い。むしろ、呼んでもらえることが嬉しいとさえ感じている。


長くともに過ごした相棒が、ひとりの人間として形を持って目の前にいる。

自らに絶対の忠誠と親愛を示す女性。その彼女を前にして、あなたはわずかにどもりながらも口にした。

様子のおかしな主人を前に、はてなと首をかしげるフルルドリスへ。



――オナニーを、したいので。

――下着を、見せてくれませんか。



頭を下げて、そう言った。


「……………………はいっ……?」


思わず聞き返すフルルドリス。ごめんなさいと謝るあなた。

しかし撤回するつもりはなく、股間は下着の中で痛いくらいに膨らんでいる。

目の前に現れてくれた彼女を『そういう目』で見てしまった瞬間から、抑えきれずにいた情動。


「……その……ええと…………、……主様。顔を、上げてくださいませんか?」


謝罪と要求の意味で下げたままの頭を持ち上げると、赤面したフルルドリスがあなたを見つめていた。

そこに拒絶や失望といった感情は無く、むしろ――。


「見たい、のですか。私の…………下着が」


ぎゅっと両手で自身のスカートを握るフルルドリス。

彼女の姿はカードに描かれたままのフルプレートではなく、『二人の聖女』というトークンカードで描かれている略礼装。

故にスカートを持ち上げれば――薄い黒のタイツ越しではあるが――主人の要求に、応えることができる服装である。


見たい、見せて、お願い。

今夜だけ、一度だけでいいから――と、そう口にしながらあなたは息苦しくてたまらない下半身を解放する。

ぴん、と勃起して上を向いた性器の姿はフルルドリスへの欲情をありありと示しており、それを目にしたフルルドリスは耳まで赤く染めながら、小さくこくりと頷いた。

握ったスカートを少しずつ上に持ち上げながら、自身の股間を凝視する主人と同じく、自身も主人の股間に釘付けになって。


「…………し……仕方、ありませんね……っ、もう……今夜だけ……ですから、ね…………?」


固く握った両手がお腹の上までたどりつき、黒タイツ越しにレースの下着が露わになる。

普段見ることのできない領域を、今夜だけ許しを得て見せてもらっている。自分の相棒の、フルルドリスの下着。

その非日常的な実感があなたの背中をぞくぞくと駆けのぼって、気が付けば夢中で性器を扱き立てていた。





今夜だけ。今夜だけの、お願い。

互いに何度もその言葉を口にしあって、ドクドクとフルルドリスの黒タイツへ吐き出した精液の量と性器に走った快楽は、今までにないものだった。

行為を終えた後も火照ったままの顔でお互いを見つめ合い、ぼうっと放心したあなたとフルルドリスは、そのまましばらく性器と下着を見せ合っていた。

ごめんなさい、そう言って自らの股間を隠したのはどちらが先だったか、よく覚えていない。


――そうして、ある種の線引きを小さな一歩で越えてからのこと。

あなたは夜が来るたびにフルルドリスを呼んでは、すでに固く熱を帯びたそれを取り出しておいて、「今夜だけ」のお願いを繰り返した。

それに対するフルルドリスの返事も、また。


「…………本当に、本当に仕方ありませんね、主様……。…………今夜だけ……ですよ」


あなたの要求は夜を重ねる度、まるで一歩ずつ歩みを進めるようにエスカレートしていった。

次の夜はタイツを脱いで直接下着を見せて欲しいと頼んだ。

その次の夜は胸を見せて欲しいと頼み、そのまた次の夜は上の下着を脱いで欲しいと頼み。


そして、今。

あなたの目の前で、フルルドリスは昨夜と同じ姿を見せている。

上着を脱いで、豊満な胸を支える下着も脱いで――四本の指を畳み、胸の先端だけを隠した姿を。


昨晩はその姿をおかずに射精した。息を切らしながら、気持ち良かったと正直な気持ちを口にして、それなら良かった――とはにかむ彼女の笑顔が記憶に新しい。

その彼女は、まるで何かを待つようにじいっとあなたの顔を伺っている。

あなたのように自慰行為を行っているわけでもない、ただ半裸を晒しているだけの体を、ぽかぽかと火照らせながら。


射精が近づく。精液が立ち上る。

そして口から吐き出る、フルルドリスへの『お願い』。


――おっぱい、全部見せて。


するすると、少しずつフルルドリスの手が下へと降りていく。

薄いピンク色をした乳輪がわずかに見えたところで、手はぴたりと止まり。


「…………こんなこと、私以外に頼んだら……ダメ、なんですから……っ」


見るのなら、私のものだけを。頼むのなら、私だけに。

そんな想いに満ちた言葉を一言挟んでから、するりと両手が滑り落ちる。

胸の先端から胸の下へ。そこを隠していた手で自らの乳房を持ち上げ、見せつける形へ。


乳輪からぷっくりと膨らんで勃起した、フルルドリスの大きな乳首を見た瞬間。

あなたは息をするのも瞬きするのも忘れて、ピンク色のそこだけを凝視しながら、びゅくびゅくと精液を迸らせた。

フルルドリスのおっぱい。自分だけが見れる、彼女のおっぱい。頭の中で何度もそう繰り返しながら、手で扱くだけでは飽き足らず、無意識に腰を動かして射精する。


下着越し、あるいは手に隠されていた局部をはじめて見た興奮は、たった一度の射精で収まることなく。

息を整えて休憩を挟むあなたを、露出したままの胸を近づけてフルルドリスが優しく抱きしめれば、射精したばかりの性器に募っていた疲労など簡単に吹き飛んだ。


――もう少し、もうちょっとだけ、このまま…………。


フルルドリスの乳房に顔をうずめながら、抱きしめられたままの体勢でぐちゅぐちゅと精液まみれのそれを扱く。

見て行った先程とは違う、触れて、堪能しながらの自慰。人肌に包まれながらの安堵と興奮が、ともに心の中でぐちゃぐちゃに融けて混ざる。

自分の体に、胸に、それほどまでに興奮してくれているという実感は、フルルドリスの子宮にも熱を灯し――。


「…………ぁの……主様」


たっぷりの熱を閉じ込めた吐息が、あなたの耳元を撫でて。


「……吸っても…………いいですよ……?」


たぷん。と。

頬にぴったりとくっついている乳房がわずかに揺らされた。

 

その揺れを感じた瞬間、あなたの頭の中で、なにかがぱちんとはじけて――体を少しだけ後ろに引き、視界に現れるフルルドリスの乳首を、大きく開けた口でぱくりと頬張った。


「はあっっ――♥♥」


瞬間、聞こえてくる上擦った喘ぎ声。まるでしゃぶられるのを心待ちにしていたかのような、喜ぶような声。

大好きなフルルドリスのおっぱいに吸い付いてからのあなたに、理性は無かった。

吸う、しゃぶる、舐める、顔を埋めて、また吸う――射精しても射精しても、手が止まらない。精液とともに外へ溢れ出る興奮が、次から次へと補充されていく。


「んっ、ぁ……♥ 主様っ……♥ そんなに、そんなにっ――興奮、しますか……っ?♥ ……私の、おっぱい……っ♥♥」


フルルドリス自身に、自慰の経験は無い。とどのつまり、開発されて特別感じやすい箇所があるわけでもない。

けれど――愛しい主人に自分の体を貪られる経験が、彼女の体に小さくない変化をもたらす。

乳首をしゃぶられるのが、気持ちいい。おっぱいを貪られるのが気持ちいい。ひたすら興奮してもらえることが、嬉しくて嬉しくてたまらない。


「主様っっ♥♥ っどうぞ、今夜だけは、私のおっぱいを好きに味わってください……っ♥ いっぱい、いっぱい吸って、いっぱい堪能してっ♥ 今夜だけっ……今夜はっ♥♥」


――結局、その晩は何度射精したかわからない。

締め切っていない蛇口から漏れる水のような量の精液がとろとろと溢れるばかりで、刺激がじんじんとした心地いい痛みに変わる頃、あなたの頭をぎゅっと抱き寄せて優しく撫でてくれる手の感触だけを感じながら、気絶するように眠ったのが最後の記憶だった。





それから数日。


愛する彼女の大きな乳房に吸い付きながらの射精という刺激を覚えてしまったあなたは、毎晩欠かさずフルルドリスにそれを求めた。

今夜ぐらいは我慢しよう、そう心に決めたとて、夜が更ければ思い出す。フルルドリスの胸。その感触と、彼女の嬌声。

フルルドリスのおっぱいが魅力的なのは無論のこと――口をつければ、必ずと言っていいほど彼女が喘ぎ声をあげてくれることが、あなたにとって何より悦ばしく、心を満たすものだった。


それとは別に。

あなたは、『それ以上』は望まなくなった。

正しく言えば……望んでいる。フルルドリスとのそれ以上の関係や、まぐわいを何より求めている。

しかし、これ以上は自慰行為の範疇に収まらない。もともと自分が願い出て、彼女に付き合わせてしまっているだけのこと。

今までと同じように膨らみ続ける欲求は、『胸に吸い付きながらの自慰』という大きな刺激をも、『彼女を犯したい』という最大級の欲望を必死で圧し留めた結果の要求となっていた。



そんな、膨れ上がった性欲を実感しながらの夜。

あなたは、彼女の下着を見て以来、はじめてフルルドリスを呼ばなかった。



――深夜。

寝息を立てるあなたの横に、フルルドリスは立っていた。

召喚されたわけではなく、ソリッドビジョンが与える質量を得ていない状態――精霊としての姿で。

あなたの寝顔を見下ろす彼女の格好は、普段の略礼装ではなく、『妖眼の相剣師』の服を纏っていた。


「…………」


じっとあなたを見つめる目つきは、凛としつつも優しさに満ちている。きゅっと結んで閉じた口の形には、僅かながらの不満がにじみ出ている。

夜を重ねる度、あなたのフルルドリスへの想いはより大きく、より明確なものになっていった。

では……フルルドリスがあなたに向ける、想いは。


「…………ぁ……っ」


彼女の口があなたの耳元に近づき、熱い吐息とかぼそい嬌声が、そっとあなたの耳を撫ぜる。

今夜、触れてもらいたくて、吸ってもらいたくて待っていたそこを、フルルドリスは自らの両手でやさしく撫でた。

白い布地に包まれた、自身の大きな乳房。

指先をそっと滑らせるだけで、背中にぞくりとした快感が走るほど、彼女の胸は敏感になっていた。


妖眼の相剣師の服は、彼女が普段纏う礼装と違い、その大きな胸を包む部分が布一枚薄い。

その白い布地は、本来はもっと厚いものなのかもしれない。けれど彼女が……あなたのフルルドリスが望んで着たその服は、より薄く、よりそこが目立つように仕上がっていた。

胸の大きさは無論のこと、何よりも目立つのは。


「……っ♥ ふぅ……ふぅ……っ♥」


すりすりと、周囲を指先で撫ぜれば、すぐにむくりと大きく膨らむ先端。

あなたが見たいと求めてくれる、乳首。

いつも懸命にしゃぶってくれるお陰で、この上ないほど感度が高まってしまった、乳首。


「ん……っ♥ んぅ♥ くふっ……♥ ふっ……ふぅっ……んっ♥」


フルルドリスは、徹底してそこ以外を責め立てる。

ぎゅっとつまみたい、かりかりと刺激したい、ぐにぐにと押し潰したい、そんな欲求を抑えに抑えてひたすらに胸や乳輪をくすぐるように撫で回す。

弄ることも揉むこともせず、フェザータッチを繰り返し、募る快感ともどかしさでじんわりと体を火照らせ続ける。


「はーーっ……♥ はーーっ……♥ ……主様、主様、のっ……ぃ……いくじ、なし……♥」


普段は口にできない、主に向けた反感。

というよりも……挑発。あなたが眠っているからこそ見せる、その姿。

じっとりとかき始めた汗が胸を蒸れさせ、ぷっくりと乳首の形を浮かべるそこが、汗で湿って透けている。


「……ずっと、見ているの……知ってるんですよ……っ? 私の胸、でなくてっ……♥ ……その、下……♥ 私が姿を現す際には、今まで、ずっと胸を見ていたのに……♥ 今ではずっと、私の……お腹の……下を、見ていますよね……?♥」


知っている。気づいている。あなたの欲求を。

懸命に手で扱いて慰めているそれを、手ではなく、フルルドリスの体を味わうために使いたい。

フルルドリスは、あなたの想いをよく知っている。――何故なら。


「……私は、そこに……触れたことも、ありません……っ♥ だって……だって、ココは……♥ ん、ぅっっ♥♥」


フルルドリスも、狂おしいほど、欲しているから。

あなたの自慰を見る度に、あなたに胸をしゃぶられる度に、絶頂を重ねるソコがぎゅうぅぅうっと切なく疼く。

使って欲しい。犯して欲しい。めちゃくちゃにして欲しい。切ない、もどかしい、狂う。毎夜――その一心。


「主様だけの、主様のもの、ですからっっ……♥♥ 私の、っココが、味わっていいのは……主様の、そのっ……モノ……だけです、からっっ♥♥ だから――っっ♥♥ ぁっ、あっっ♥♥ 駄目……っ♥♥」


憂いに満ちた上擦った声で、あなたの耳に訴えかける。

あなたの眠りは深く、そのか細い声では目は覚めない。訴えは、届かない。

そのもどかしさがよりいっそう、フルルドリスの心を、子宮を煮えさせる。


フェザータッチを意識していたフルルドリスの手つきに、不意に力が入る。

むにゅぅっ――♥ と歪む彼女の乳房。指と指の間に挟まり、先端への刺激だけはかろうじて避けたものの――焦らされすぎた乳房は、それだけでも容易く絶頂に届き得る。

いけない、これ以上刺激を強めてはいけない、彼を、あなたを起こしてしまう。あなたの身を案じる想いと、あなたに届いてほしいと思う背徳感がフルルドリスの中でごちゃ混ぜになり、彼女の乳房への刺激は、指先だけを用いた愛撫から先端以外の部分を強く揉む激しいものへと移っていく。


――いっそ。

いっそ、起こしてしまったら。

彼は私を――躾と称し、犯してくれるかもしれない。


性欲と愛欲がぐつぐつと煮えるフルルドリスの頭の中で、そんな考えがぱつんと現れた瞬間。

自らの乳房の感触に酔いしれる彼女の両手は、ぱっ――と開き、そして。



“ぎぅぅうぅぅぅっ………………♥♥”



「はぁあぅッッ――!!!♥♥♥」


固く勃起した、大きな乳首を押し潰した。

心待ちにし続けた刺激に、ぶしゅっっ♥ と愛液が溢れる。ロングスカートの内側で、黒いタイツがしとどに濡れる。

そして押し出される、ひときわ大きな嬌声。あなただけにしか聞こえない、甲高く、淫らなフルルドリスの一声。


「っっごめんなさい、申し訳ありません主様、こんなに――こんなに、淫らで申し訳ありませんっっ♥♥ でも――♥ っでも、主様が悪いのです、私を……そんな風に見ているのにっ♥♥ どこまでも優しくてっ、気を使って、私を抱いてくれない主様がいけないのっっ♥♥」


“ぎゅぅううぅうっっ――♥ かりかりかりかり、かりかりかりっ、ぐに、ぎゅぅっ♥♥”


最早一切の遠慮も失われた乳首への刺激と、それがもたらす、じわじわとゆっくりと立ち上ってくる絶頂感。

へこへこと腰を振りながら、あなたの耳元でフルルドリスが愛を囁く。

あなたが育てた愛欲を、フルルドリスが、その股間と口からとめどなく溢れさせる。


――乳首への刺激が子宮に募り、絶頂に至る刹那。

快楽を受容する器にとぷとぷと注ぎ込まれる快感の汁が、ぴったりと縁に表面張力で張り付いた瞬間。


『仕方ない』、『私がお世話や相手をしなければ』、『こんなこと私以外には』――。

普段はそんな建前で隠れてしまう想いが、あなたの耳元で溢れ出る。


「好っっ――き♥♥ 大好き、大好き大好き大好きです主様っっ♥♥ 私を使ってくれるあなたが好きっっ♥♥ 私をえっちな目で見るあなたが大好きっっ♥♥ 私の事っ――を――♥ 想ってくれるあなたがっ、大――好きっっ♥♥♥ ぁ、っっ駄目――!!!♥♥ ぃっ――――♥♥♥」


“ぎゅぅぅうううぅううぅうううぅっっっ……♥♥♥”


「っっっ愛してます愛してます愛してます愛してます、愛してます、主様愛してます――~~~~~~~ッッッ!!!♥♥♥」


囁きが、明確な声に変わる。

強く強くつねり上げられた乳首の先が引っ張られ、大きな乳房がぴんと張って歪む。

とめどなく快楽が流し込まれて、器からだくだくと快感の汁がこぼれ出る。

何秒、何十秒と絶頂が続き、それでも乳首への刺激が止められず……フルルドリスは、どうか目を覚ましてほしい、私を罰してほしい、躾けてほしい――『今夜の分』がほしい、と……幾度となく快感が弾ける頭の中で、あなたにそう訴え続けていた。



――そのあたりで、あなたは目を覚ます。



耳にかかる吐息。誰のものかもわからない喘ぎ声。

未だまどろみの中にある意識で、確かに聞こえたのは、息を切らしたフルルドリスの声。


「…………起きて……いらっしゃいますよね……主様」


その声に、必死で圧し留めていた『今夜の分』を求める体が反応する。

声だけは聞こえるが、気配がない。そこにいることはわかるが――体が無い。

召喚していないのだから当然だ。まだ、彼女を呼んでいない。…………まだ。


「夜分に申し訳ありません……。けれど……今夜は、主様は、いつもの『自慰』を、行っていない様子でしたから……」


声が、耳元から前方へと移動するのがわかる。

まっくらな夜の闇の中で、うっすらとした輪郭だけが動いて見える。

枕元のリモコンで常夜灯をつけて、机の上のデュエルディスクに目を向ける。


「…………今からでも……よろしければ。……私は……準備が……できていますので」


慣れない目をこらし、ベッドの上に膝立ちになって、フルルドリスを手先の感覚で探す。

いや、確か寝る前に、デッキに入れてディスクにセットしていた。今夜だけは、彼女に甘えないようにと。

自動でシャッフルされるそこから彼女が引ける確率は、限りなく――。

…………。


デッキから、カードを一枚、ドローして。

確認することなく、あなたはそれを召喚した。


粒子が、あなたのベッドの上に集まっていく。

窮屈で仕方ないズボンと下着を、あなたはするりと脱ぎ去ってしまう。

ぴんと屹立する先走りでびちょびちょの性器。それを、召喚されている彼女に向ける。


――常夜灯のわずかな明かりが映し出す、彼女の姿は。


礼装でも相剣師の姿でもない。わずかに両膝を広げた、正座の姿勢で。

一糸まとわぬ、乳首も女性器も晒した――。


「…………主様」



『あなたの女』である、フルルドリスの姿だった。



――どさり。

あなたの体を、あなたの女が、押し倒す。


枕に頭を押し付けられ、体の自由を殆ど奪われて、視界は彼女に占領される。

アヤメ色の髪がさらりと落ちる。凛とした顔が紅潮し、凛々しさを残したまま、目の前で淫らに微笑んでいる。


「……今夜は、何を……されますか……?♥」


はぁあ…………っ、と溢れた彼女の吐息とともに、垂れた唾液が、一滴。

目を奪われて、小さく開いたあなたの口元に、ぽたりと落ちた。



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