フラワーロック小話

フラワーロック小話



 合宿所の食堂、練習が終わってお風呂入ってご飯も食べてみんな自由に過ごしていた。俺はオタマトーンの手入れをしながら隣の愛空に話しかける。ちなみに色は緑、これは愛空の色。

「なあ愛空、俺って実は花だったんだ」

「…熱は無いな」

「人を病人扱いするな、俺は健康だ!」

「いやいきなり自分は花なんだとか言い出すのは熱がある奴くらいだろ」

 くっ、愛空のくせに正論を言ってくるだなんて計算外だ。いやそもそも計算なんてしてないし俺は人間ではあるけども、けど少し前にチームの誰かが話してるのを聞いたんだ。

 そいつの話では何か花になる人みたいな噂があるんだってさ、それでその花の特徴が俺みたいだなーって思ったんだよ。

「へえ、それで特徴って何なんだ?」

「愛空お前、人の心を読めるようになったのか! DFを極めたらそんな事が出来るんだな、今度冴や士道にも教えないと!」

「いや全部口に出してるから、あといつの間に天才ちゃんや仔犬ちゃんと仲良くなったんだよ」

「冴にはぬいぐるみ渡したし士道はあの後で声かけられてお話したら仲良くなった、俺にオタマちゃんってあだ名付けてくれたんだ!」

「…そっか、良かったな」

 愛空が何かを諦めたような顔してる。そんな顔してると労働に疲れたおじさんみたいだから止めるべきだぞ。あれ何の話してたんだっけ。

「話を戻すが閃堂が聞いた花の特徴って何だ?」

「そうだ特徴だ! えーっと、確か心が折れた人が誰かに拾われると花になるらしい」

「あー……うん、なるほど確かにお前と合致するわ」

 遠い目をする愛空はきっと俺を迎えに来た時の事を思い出してるんだろうな。あの時はお姉さんを襲おうとしてる愛空を成敗するのが大変だった、まあ結局は俺の勘違いだったけど愛空も勘違いしてたからノーカンってことで。

 しかし俺って何の花なんだ? かっこいい花が良いけどかっこいい花って何だ?

「なあ愛空、俺って何の花っぽい?」

「あんまり話題をころころと変えない方がいいぞ閃堂。んで花だったか…ヒマワリとかどうだ?」

「ひまわり良いな、すごく大きくなってお姉さんびっくりさせないと!」

 よし決意表明だ、俺はサッカー選手としてもひまわりとしても大きい男になる! 後で冴にも報告しないとな、きっと感動してくれるはずだ!

 意気込んで電話したらながーい沈黙の後でそうかって言ってくれた、よしこれから頑張るぞ!



「俺はひまわり~大きくなろう~」

 作詞作曲自分のひまわりの歌を口ずさみながら俺は中庭に置いてあるベンチに座って月光浴をしていた。両隣には小豆色のオタマトーンと黒のオタマトーン、これは冴と士道の色だから実質二人と一緒に月光浴してるって事だよな。

 風が気持ちよくて眠たくなってくる、けど前にそのまま寝ちゃって愛空にすごく怒られたから我慢しないといけない。そういえばお姉さんは眠い時は楽器を弾くらしい、特にギターの音は眠気覚ましにちょうど良いって言ってた。

 隣に置いてる黒のオタマトーンを手に取る、初めてお姉さんにオタマトーンを貰った時は嬉しかったな。全然上手く鳴らせなかったけどお姉さんは上手だって褒めてくれたっけ。

 お姉さん頑張りすぎて身体悪くしてないかな、心配だし今度電話しよう。俺今度あのブルーロックと試合するから応援してってお願いしないと。

 音楽はたくさんの思いを音に乗せて誰かに届けるものだってお姉さん言ってた、じゃあこの思いもお姉さんに届いて欲しいな。

 俺の音は星が綺麗な夜空に吸い込まれていった。

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