フォービドゥン・ドラグマ
知識は毒である
教導国家ドラグマの最高指導者である大神祇官はこのような定義をした
聖痕を持って生まれたものは完成し選ばれた存在であり、外界の異教徒たちが持つ穢れた知識は彼らにとって毒であると
故に最高指導者たる大神祇官が彼らの目となり耳となることで外界からの汚染をろ過し、彼によって正しく教え導かれることこそ聖痕を持つもののあるべき姿である
大神祇官の統治下の教導国家ドラグマは強固な秩序を保ち、犯罪や貧困のない理想的な国家として存在している
そんな教導国家で国民たちはある話題で持ち切りになっていた
聖女であるフルルドリスの婚約である
フルルドリスは生まれながらに4つの聖痕を持ち、優れた武勇で教導軍の騎士長を勤め、容姿も美しく、その才に驕ることのない人格者である彼女は国民から絶大な支持を受けていた
一方婚約者である貴族も彼女に負けず劣らず優れた人物で、騎士から貴族へとなった父から爵位を譲り受け、その誠実な人柄と優れた教養で国民から尊敬を集める美男子であり、フルルドリスと並べばまさに名画のようで似合いであった
教導国家に自由恋愛という概念は存在しておらず大神祇官による神託によって婚約は決められる
大神祇官は信徒の性格、運命、長所、短所および血統的因縁や課題を見抜く能力によって互いの欠点を補い夫婦となるに相応しい相手を選出している
かつての教導国家では聖痕を持つ夫婦同士であっても生まれた子が聖痕を持たない事例が発生し忌み子として間引かれることもあったが、大神祇官の神託によってそれがなくなったとされている
そのため此度のフルルドリスと貴族の婚約も神託によってもたらされた結果であり、誰もがこの婚約を心より祝福していた……ある人物を除いては
「フルルドリス、あなたのような方を娘として迎えられて私は幸せだ」
「お義父様、ありがとうございます。聖女と言えどもまだまだ若輩者です。ご指導ご鞭泣のほどよろしくお願いします」
貴族の父にしてフルルドリスの義父となるこの男はかつては騎士であったが今はその面影はない肥え太った中年である
顔立ちは息子に似て美男子であった名残が微かに残っている
義父の妻はすでに先立っており、フルルドリスと貴族の婚約を期に共に暮らすようになった
フルルドリスも貴族も忙しい身であるが共に食事を摂ったりと良好な関係を築けている
「明日の仕事終わりは空いているかな?偶には共に杯を交わして語らうのもいいと思ってな」
「お義父様と二人で、ですか?」
明日貴族は務めがあり帰ることが出来ないと聞いている
「そう警戒しなくとも大丈夫だ。息子に対して不平不満を口にしたいわけではない。ただ私は純粋に娘となるあなたと同じ時間を過ごしたいだけだ」
フルルドリスは義父の申し出を無下にはできなかった
「……わかりました。ではお義父様、よろしくお願いします」
「そうか。では明日、楽しみにしているよ」
翌日フルルドリスは務めを終えると義父にある部屋へと案内される
「ここだよ、入ろうか」
「ここですか?」
案内された部屋を見て、フルルドリスは思わず目を見開く
その個室は、中央に大きな白いベッドが配置されていたからだ
小さなサイドテーブル、小洒落た飾りのランプと恐らく事前に用意したであろうグラス等が置かれていた
さらにアロマが焚かれていて、優しい匂いを放つこの部屋は一目でわかる落ち着いた雰囲気でゆっくりと酒を楽めるかもしれないが故にベッドという明らかに異質な存在が際立つ
「お義父様はどうしてこんな所を?カウンターで良かったのでは?」
フルルドリスは純粋な疑問をたずねる
この屋敷にはリビング側にカウンターテーブが配置されており、当然酒類はそこに保管されており、そこでフルルドリスも時折婚約者と酒を酌み交わすことがある
わざわざ寝室で飲むメリットがあるとフルルドリスは思えなかった
「そうかい?こういった場所の方がゆっくりできると思ったのだが?」
そう言いながら義父がベッドへ腰掛ける
「そ、そうですね……」
フルルドリスは戸惑いながらも義父の対面に座ると義父がフルルドリスに酒を注いぐ
「さあ、飲みなさい」
「あ、ありがとうございます」
フルルドリスは注がれたグラスを持ち口を付ける
喉に差し込む甘味は果実酒の類か
務めで疲れた心地よく身体にアルコールが染み渡る
「どうだろう?口に合っているといいのだが」
「ええ、とても美味しいです」
フルルドリスの返答に義父は満足そうに頷くと自身もグラスを傾ける
「それは良かった。そういえば、息子とは上手くやっているかな?」
「はい。彼はいつも私を気遣ってくれています」
「それは頼もしいな。息子は私の誇りだよ。教義にも敬虔で、非の打ち所のない人物だ」
「ええ、本当に素晴らしい人です」
フルルドリスは義父の言葉に同意し賛辞を贈る
婚約者は聖女であるフルルドリスを相手にも色眼鏡をかけることなく誠実に接してくれる
「しかし、あなたも素晴らしい女性だ。その美貌に、武勇に、心根の良さと優しさ。まさに聖女の名にふさわしい」
「お義父様……ありがとうございます」
「私たちを巡り合わせて戴いた大神祇官様、そして聖痕を授かり生を為したことに深い感謝を」
義父はグラスを掲げ、フルルドリスもそれに続く
それからしばらく義父とフルルドリスは穏やかな時間を過ごす
「ふぅ、少し酔ってしまったかな」
義父が苦笑する
「そうですね。でも今日は本当に良い日です。お義父様ともこうしてゆっくりと話せて」
フルルドリスも微笑むと義父は目を細めるとどさりとスプリングが軋む音がすると同時にベッドに寝転がっていた
「あなたも寝転ぶといい。気が楽になるよ」
「いえ……さすがに……」
酒を飲んでそのままベッドに寝転ぶなど不作法もいいところだ
「あなたはとても強い人だ。聖女としても騎士としても、故に誰よりも高潔であろうとしている。だがここは戦場ではない、家だ。自宅でくらい寛いだ程度なら大神祇官様もお赦しになるだろう」
義父の言葉にフルルドリスは逡巡する
確かに自分は聖女として気高くあろうとし過ぎるのかもしれない
息抜きも必要なのは事実だろう
フルルドリスは義父の隣に寝転ぶと自らの腕を枕にして横になった
「いい香りです……」
微かに漂うアロマの香りに思わず呟くと義父が微笑む
「それはよかった。亡き妻もこの香りが好きだったよ」
「そうだったのですか……」
婚約者の母も彼によく似て教導国家の教えに忠実で実直な人物であったフルルドリスも聞いていた
フルルドリスは考える
義父はきっと寂しかったのだろう
だからこの場で自分と過ごすことでその穴を埋めているのではないか
フルルドリスは義父の妻の代わりにはなれないがそれでも少しでも彼の孤独を埋めることができるならそれでいいと思った
そうぼんやりとした頭で考えていたフルルドリスを不意に義父は抱きしめる
「なにを!?」
フルルドリスは意味が分からないまま義父の胸元に身体が収められてしまう
抜け出そうにも、元騎士だけあってかがっしりと腕で閉じ込められてしまう
力を込めて抵抗すればどうにかなるのかもしれないが、それでは義父を傷つけてしまう可能性があり、逃げることができなかった
少しでも落ち着こうと息を吸い込もうとすると匂いが身体中に入り込んできてしまい、とろんと瞼が急激に重くなる
抱きすくめられて初めて自覚する
義父の肉体の質感はフルルドリスのものと異なりお互いの性別を嫌でも認識させられた
「お義父様……一体なにを?」
義父は応えずフルルドリスのベッドに押しつけられていない側の頬を柔らかく手のひらで撫でる
くすぐったいような感触にフルルドリスはただただ困惑するばかりであった
「美しい……」
義父はそう呟くと身体を起こすとグラスに残った果実酒に口をつける
フルルドリスはも身体を起こし逃れようとすると義父が阻むように口づけをする
「ん……」
フルルドリスは口を伝うアルコールの香りに眉をしかめたのと同時に、すぐに喉を同じものが通っていった
やけに甘ったるい味の果実酒がアルコール混じりの舌をねじ込まれて、少量ずつ
喉へと流し込まれる
「ぷはぁ……」
ようやく唇が離れるとフルルドリスは顔を紅潮させ、義父を睨みつけた
「何故こんなことをしてるのか?そう言いたげだね。それは私にもわからないんだよ」
義父は自嘲気味に笑うと空っぽの口で再び口づけをされた
唇同士を触れ合わせたまま身体をベッドに押し倒されて、フルルドリスは義父下敷きにされてしまう
抵抗しようと両腕を動かせば、その腕をベッドに縫い付けられてしまい、されるがままに深く口づけられる
閉じた唇を甘噛みされると、反射的に口を開いてしまい、分厚い舌が入り込んできた
「んあ、あ……っ……」
フルルドリスの口内を探るように、舌がぬるぬると動き、口内の皮膚も、歯の裏も、舌の裏も、すべてを味わいつくされていく
義父の動きに手慣れた様子はなく、まるではじめて得た玩具を試しているかのようなたどたどしい口づけだった
「んん……」
二人の混ざりあった唾液が喉へと流れ込んでくると今度は嚥下するしかなく、こくりこくりと小さな音をたてて喉を鳴らす
「ふぁっ、んっ……や、やめ……っ」
「あなたもこのような愛らしい声を出せるのだね。いつも毅然としているあなたがこんなにも弱々しく甘い声を出してくるとは……」
「ぷはぁ……お義父様ぁ……こんなことやめてくださいぃ……」
「それはできない相談だよ。あなたも感じているはずだ。私と同じ昂ぶりを」
「そんなことは……っ、んあっ!」
フルルドリス急に身体へ痺れるような刺激が走り、言葉が途切れてしまい、訳が分からず目を目をぱちぱちと瞬きする
「ここがいいのだろうか」
「ぇ…っ、あっ、あっ、あ……」
上顎のざらついた所を舌先でくすぐられ、そのたびにびりびりと甘い痺れが広がってきた
そんな場所でこのような感覚が襲うことをフルルドリスは知らなかった
これからなにが起こるのか
フルルドリスは未知の感覚に恐怖を覚える
ぬるぬるとひたすら上顎を責め立てられる動きに合わせて、フルルドリス身体がびくびくと反応を示す
「んっ、う……っ、んんっそこ、だめ……っ! あうぅぅ」
「そうか?嫌なら違うところにしようか」
そういうと義父は唇を離しほんのり赤く染まった耳たぶにちゅっと唇を当てると、びくんとフルルドリスの腰が揺れる
「うあ……っ」
耳に熱を帯びた吐息がふりかかるとぬちゃりと舌が入り込んでくる
「ひっ……いやぁっ!やめてっ!お義父様、やめてください……っ!」
ぐちゅぐちゅといやらしい音がフルルドリスの脳内に直接反響する
「他の場所も試してみよう」
義父はフルルドリスの首筋を舐めると半開きの口端から涎が垂れた
ハッとしたフルルドリスは反射的に口の端を腕で拭った
ぬるぬると白い首に舌を這わされると、お腹の奥でこれまで感じたことのない奇妙な
感覚が生まれてくる
「はぁ、はぁ……やめてください……」
フルルドリスは蕩けた瞳でぼんやりと義父を見るとその瞳の奥はちりちりと燃える炎のようで異教徒たちとの戦いに向かう騎士の顔を想起させた
フルルドリスはまるで狩られる獣になったように少しも動けなくなる
フルルドリスには恐怖した
穏やかな義父が突然なにかに取り憑かれたように豹変して自分の身体に知らないなにかを植えつけていることに
「ああ、あなたはそんな顔を見せるのか……もっとあなたが知りたい」
「お義父様……あっ、ああぁ……っ」
義父はフルルドリスの上着のボタンを外す
刹那、フルルドリスの中で冷静な思考が目を覚ます
理解したのだ
義父がこれからしようとしていることを
それは教導国家では禁忌である
このまま実行させてしまえば義父は罪人となり罰を受けてしまう
故に覚悟を決める
なんとしても義父の凶行を止めねばならないと
義父に罪を背負わせてはいけないと
フルルドリスの行動は早かった
胸元に伸びた義父の手をすぐさま跳ねのけると、逆に組み伏せてベッドに押し倒す
「うぉっ」
「お義父様、しっかりしてください」
フルルドリスは義父の頬を両手で包み込み、その瞳をじっと見つめる
「お義父様もわかっているはずです。大神祇官様により夫婦の神託を受けていない男女がまぐわえば、どのような罰を受けるのか」
「ああ、もちろんわかっているとも……」
教導国家には厳格な掟が存在する
性交を許されるのは神託を受けた夫婦のみであり、それを行えるのは大神祇官が定めた日だけであり、体位とその順番も決められた手順に則って行われなければならない
先ほど義父が行ったねぶるような口づけも耳を舐める行為も法に定められた手順には存在しない
そのためフルルドリスは服に手をかけられるまで義父が性交を目的にしているとは思いもしなかった
義父はジタバタと藻掻くがフルルドリスは教導軍最強と評されるほどの騎士
一度組み伏せればそう簡単に逃れることはできない
「なにか理由があるのでしょう?私にお聞かせください。私でよければお力になりますから」
フルルドリスは義父を落ち着かせるように優しく語りかける
「す、すなまい……フルルドリス。私はどうかしてしまったようだ」
冷静さを取り戻したことを確認するとフルルドリスはそっと手を離すと、警戒を解かずにじっと義父を見つめる
義父はしばらく口にするのを躊躇っていたが真っ直ぐに自身を見つめるフルルドリスを前にやがて観念したように重く口を開き過去を語る
「私は……病気なのだ。異教徒から毒を受けたあの日から……」
それはまだ義父が騎士であった頃
大神祇官の神託に従い妻を娶り、決められた手順に従い後にフルルドリスの婚約者となる子を授かった
教導国家でのなに不自由のない日々を疑うことなどなかった
しかし、その歯車は狂い始める
それは戦地で異教徒から夜襲を受けて仲間と散り散りになった日のことだ
義父は暗闇の中から仲間を探し彷徨う中で異教徒の野営地を見つける
息を潜めて様子を伺うとそこには2匹の獣がいた
一人は桃色の髪をした青年、もう一人は女性であった
彼らは互いに愛の言葉を囁き、求め合い、まぐわいあっていたのだ
教導国家による教えから大きく逸脱した獣たちの交わりは義父にとってあまりにも衝撃的であった
まぐわう二人はまるで獣のように乱れ、腰を振りあい、口づけを交わして、矯声を発して恍惚な表情を浮かべていた
そのとき義父は自身が教導国家の騎士であることを忘れその光景に魅入られてしまう
やがて獣たちは行為を終えると、それまでの激しさから一転して穏やかな表情を浮かべながら語り合う
『女の子だったらリズという名前にしよう』『いや、それは少し安直かもしれない。フェリジットなんてどうだろう』
未来を語り合う獣たちはなんとも幸せそうで、美しくて見えた
義父は妻との仲は良好であったがあそこまで強く互いを想いあっているとは言えず、単なる子を成すための性行為であのように心で触れ合う感覚はない
自分もあのようにすればもっと妻との仲が深まってより幸せになれるのではないか
そのような感情を抱いたと同時に義父はそんな自分を嫌悪した
聖痕を持たぬ獣たちに感化されて教導国家の法を背くことなど許されるはずがないと
だがしかし、義父の脳裏に焼き付いたあの光景は消えることはなかった
その後義父は戦場で異教徒と相対しても彼らの姿が浮かび武器を振るうことができなくなるという騎士が極稀に発症する病に侵される
そのため義父はカウンセリングを行ったが、騎士としての復帰は認められず新たな役職に従事しながら現在に至る
「私はこの感情を心の奥底にしまい込み、蓋をした。カウンセラーにそれを口外すれば他の誰かに感染するリスクがあると重く告げられ妻や息子にも打ち明けることはなかった」
「………」
フルルドリスはゴクリと唾を飲み込む
先程義父に押し倒されて際に感じた困惑や恐怖心とは違う得体の知れない感情の正体が悦びであることに、もしかしたら自身も発症してしまったのではないのかと
「最近までは落ち着いていたのだ。しかし、あなたが息子との婚約をしたと聞いて再び心がざわついた。喜ぶべきことなのに胸を締め付けるような痛みと苦しさが襲った。そして奇妙な衝動湧き上がった。あの獣たちが見せたまぐわいをあなたとしたいと。亡き妻や他の女性では自制できた感情が抑えられなくなってあのようなことを……」
それはまさしく禁断の果実
一度その存在を知ってしまえば手にすることができず、手にすべきではない事実によってそれは危険なまでに魅惑的なものに見えてしまう
考えてはいけないと頭では理解していてもそれがかえって想像力を掻き立てその果実を口に含めばどのような味をするのかを想像してしまい手を伸ばさずにはいられない
「……やはり話すべきではなかった。聖痕を持って生まれながらに獣に成り下がった私は許されるはずがない。このことは大神祇官様に報告し、潔く罰を……」
そう言いかけた義父をフルルドリスはぎゅっと抱きしめた
「お義父様、この衝動を発散したいと思った相手は私以外には存在しないのですか?」
「え……?ああ……」
義父は困惑するがその実フルルドリス自身もなぜこのようなことをするのか理解してはいなかった
「ならば、その咎を私も背負いましょう。家族なのですから」
「それはいけない。あなたは聖女だ。教導国家においてなくてはならない存在だ。それに息子の婚約者でもある。私のように堕ちてはいけない」
「私は諦めるつもりはありません。病であるならば必ず治す術があるはずです」
するとフルルドリスは自らの着衣に手をやり、生まれたままの姿になる
「っ!?フルルドリス?」
義父は驚愕しながらもフルルドリスの肢体に目を奪われる
豊満な乳房にきゅっとくびれた腰つき、臀部は上向きにたっぷりと肉が付き、締まりながらも女性らしさを醸し出している
「お義父様の話によればあの獣は男性器から白い液体を放てば興奮状態から落ち着くのですよね?」
「あ、ああ……」
「そうであれば同じことをすればお義父様の衝動を抑えることができるのやも」
「それは……そうかもしれないが……っ」
義父はごくりと生唾を飲み込むとフルルドリスの肢体に手を伸ばす
「んっ、ふぅ、あっ……」
そして義父の指先がフルルドリスの柔らかな双丘に沈み込むと形を歪めて変形し、ぷっくりと主張する先端をつまみ上げる
「はぁああっ!んあっ!」
その感触を確かめるようにくりくりと弄る度にフルルドリスの口から嬌声が溢れ出て部屋に響き渡る
「す、すまない……私はまたこんなことを……っ」
「私は大丈夫ですから……それよりお義父様を鎮めませんと」
義父の肉棒は着衣越しでも分かるほどに勃起しており、フルルドリスはそれを脱がしにかかる
すると勢いよく飛び出してフルルドリスの頬をべちんと叩く
「ひゃっ!お、お義父様これは……っ」
「すまない。フルルドリスのことを考えると私のそれは何故かこのようになってしまうのだ。申し訳ない……」
「い、いえ……大丈夫です」
フルルドリスは恐る恐るその肉棒に手を伸ばし、上下に擦る
手から伝わってくる感触は熱くて硬い不思議な感覚であった
「お義父様、痛くはありませんか?」
「ああ、大丈夫だ……」
しなやかな指はぎこちないながらも懸命に義父を慰めようと動く
「くっ……はぁ、はぁ……」
そして義父の肉棒は手淫によってさらに硬度を増していくとつんとした雄の匂いが漂ってくる
「はあ、この香りは……っ」
好奇心に駆られたフルルドリスは顔を近づけその匂いを胸一杯に吸い込むと頭がぼんやりとしてきて義父の肉棒から目が離せなくなる
フルルドリスの表情は艶っぽく火照っており、瞳は潤んで呼吸も荒い
普段の様子とは異なるその美しさは煽情的で義父は己の肉棒がさらに脈動するのを感じる
「すごい。ビクビクと震えています」
「あっ…くっ…この感覚は……射るっ!」
やがて限界に達した義父は昂った肉棒から白濁液をフルルドリスに向けて放つ
長年使用されることのなく溜まりに溜まったそれは勢いよく噴き出してフルルドリスの顔や手、胸にべったりと張り付いた
「ふぁ……っ、凄い……」
「ああ、すまないフルルドリス……」
射精の快感とフルルドリスを汚してしまった罪悪感が入り混じった義父はどうすればよいかわからなかった
「落ち着きましたか?」
「いくぶんか楽になったよ。身体から毒素が抜けたような気分だ」
「それはよかったです。また同じような症状が出たら遠慮なく言ってください」
「しかし、私はあなたになんてことを……」
義父は改めて自分の行いに罪悪感を抱くがフルルドリスは微笑む
「お義父様。私たちは家族なのでしょう?だったらそんなことを気にする必要はありません」
「……ありがとう……」
義父はうすうすわかっていた
彼女も心の奥底でその禁断の果実に興味を抱いてしまったことを
それを禁忌であると知りながらも一度踏み外した道はもう戻ることはできなかった
義父はこれからフルルドリスの婚約者にして最愛の息子に自身の罪を隠しながら彼女と共に歩んでいくことに強い悔恨と自身の心の内を知る理解者を得たことへの安堵が綯い交ぜになったまま生きることとなる
排他的かつ非情な教導国家ドラグマ及び大神祇官への背信という大きな代償を払いながら